復讐の慰術師

紅蓮の焔

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14章 帰郷

232話 怒りと哀しみ

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涙を拭くとロゼ達の居た場所に戻って行く
「ナ~ァ?」
「俺も……悲しいよ……でも、母さんも、友達も守れなかった……だから……最後の最後、ロゼとアリサだけは守ってやりたい……」
俯いたまま家の角を曲がるとまだ泣いているロゼがアリサの膝を拳で叩いていた
「レンゼ! ロゼが「五月蝿い! 戻ってろ!」」
ビクッと体を震わせるとキッとレンゼを睨んだ
「何よその言い方! 今まで私がどれだけ苦労したと思ってるの!」
「分かってる! 感謝もしてる! ただ……」
顔を上げると無理に作った笑顔を浮かべて小首を傾げた
「ただ、これは俺とロゼの、家族の問題なんだよ……分かってくれ……」
「は、はぁ? だったら私も……ッ!」
レンゼの目を見た途端にアリサは唇を噛んだ
「なんで……なんでよっ! お母さんが死んでも、お父さんが居なくなっても! ずっと、ずっと支えてあげたじゃない! なのに……なんでよ……肝心な時にはそうやって拒絶して……なんで頼ってくれないのよ!」
アリサのすぐ目の前に立ち止まり、今にも泣きそうな声で叫ぶアリサの顔を見上げると、頬にまだ微弱な熱を秘めた雫が降ってきて、耳の下を通って髪に絡み付いた
「これは俺とロゼの問題なんだ……幾らアリサでも……これだけは絶対に譲れない」
そう微笑むとアリサは髪の間に指を滑り込ませて頭を抱えると歯を震わせた
「……やだ……いつも独りで……寂しくて……待ってるのに帰って来てくれなくて……疲れて……哀しくて……もう……やだ……」
叩くロゼの拳を受け止め、親指の腹で撫でるとその手を払い、吸い込まれる様に家の方にヨロヨロと歩いて行った
「もう……やだ……」
家に向かうアリサに肩がぶつかり、俯く
「じゃあ……どうすれば良かったんだよ……何が正解だったんだよ……!」
振り返って見れば鼠色の隙間から光が差し込み、レンゼを明るく照らし出した
「あんたなんでしょ……」
「え……」
「お母さんを殺して……ブレイブを殺して……アリサも死なせようとしてる……」
震えた声で立ち上がるとレンゼを睨んだ
「ダメ……皆……一緒に……永遠に暮らすの! 変わらないで……何時までも……永遠に……」
「お、おい? ロゼ……」
家の方に歩いて行こうとするロゼを止めるとロゼが必死で抵抗する
「離せ! アリサが! アリサが!」
「……ッ! なんで……俺の……せいで?」
ロゼを離して今、家に入ったアリサの後を追い駆けた
「アリサ! アリサ!」
ドアにぶつかると開けようとドアノブに手を伸ばした

ガチャガチャ

「開けろっ! アリサ! なあ、アリサ! ごめん! 謝るから!」
何度かドアを叩くが返事は無い
「くそっ! くそっ!」
ドアに体当たりをするも軽く、入る事が出来ない
「……そうだ! リビング!」
リビングの窓が見えると取手に手を掛ける

ガチャ!

「開いた!」
身を乗り出して中に入ると慌ててリビングを駆け抜け、キッチンへ行く
そこには包丁を今逆手に取ったところのアリサが居た
「やめろ!」
飛び付くが力が無く、何も出来ない
「やめろって言ってるだろ!」
包丁を持っている腕を、体重を掛けて思いっ切り引っ張りなんとか堪えている状態だった
「アリサ~! 俺が悪かった! だから……だから死ぬな~!」
しかしアリサの力が弱まる気配は無く、レンゼの体力も限界に近付き始めていた
「くっ……くそっ……汗で滑る……!」
腕を思いっ切り両腕で抱き締め、目尻に青筋を浮かせて体全てでその腕を抱き締めるとアリサが倒れた
「ッ! マジかよ……」
倒れた瞬間アリサの手から包丁が離れ、レンゼの腕目掛けて落ちてきた

ザシュ!

「うわあぁぁぁあああ!」
この辺り一帯に強烈な悲鳴が響き渡った
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