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広間の魔法陣の上に戻ったミユキは、指折り数えながらやることを頭の中で整理した。
ToDoリストが欲しいところだ。順番は後で考えよう。
・全員を集め、世界樹の森に移動する。
・魔法少年達を安全な場所に戻す。
・少年少女に今後の説明会をする。
・制服を用意する。
・守護竜さん達を安全なところに送る。
・アイテムボックスを少年達と切り離す。
・コウスケさんにふたばのごはんとその他諸々を預けしばらく預かってくれるようお願いする。
・蛙にしたオーク(絶滅危惧種かもしれない)を何とかする。
・2年前の皆さんにむこうの現状の説明をする。
本当は全員の持ち物をかけらでもいいから集めて回ってスマホくらいは返したいのだが……。
(さて、とりあえず、さっきのところに戻ろう。しかし、ほんとにあっちでもできるのかな)
最悪、元の世界に戻れるだけで2年前は無理かもしれないと説明しておくべきだろうな、と考えていると目の前にサルモー達がいて、全員がミユキを見つめていた。この考えただけで実現するという仕様は何とかならないのだろうか。
「……あ、ここに戻っちゃったか……って、お?」
見知らぬ顔の日本人高校生も混じっていた。しかもミユキが家の近所でよく見ていた制服を着ている。これはさすがに制服オンチのミユキでも判った。
「あ、ミユキさん、えーと、探しているのはあと二人です」
全員が固まっている中、ささっと駆け寄ってきた塩谷が真面目な顔で報告した。上官に対する部下のようである。
ミユキはつきささる視線に焦りながらも礼を言って、初対面でもないが制服を着た高校生達に頭を下げた。
「こんにちは。ミユキといいいます。皆さんとは一緒にこちらに来ましたんで初めてではないですが……」
「え……? あのオバ…」
美少女風の女子高生が言いかけたところに、勢いよくドアを開けた柿崎が飛び込んできた。その後ろから笹神と秋月が続く。
「おお、みんないた? 俺らも制服に着替えて来ちゃった……あ、」
「あ、オバさんが、ミユキさん? いてっ」
笹神は秋月に後頭部を叩かれていた。にっこりと笑みを浮かべながら会釈する秋月が何だか怖い、と笹神は小さく震えている。
「こんにちは」
「こんにちは」
「こんにちは」
眼を見張る程きれいなお顔の男子高校生が、微笑んでいる! そしてもうひとりも目がくりっとして、どこかで見たようなかわいいお顔だ……そうだ、このお顔は、数年前の日曜の朝に一年間見続けた運の無い少年のお顔に似ている。ミユキは思い出してスッキリした。この歳になるとなかなか芸能人の名前などが思い出せないのだ。よかった。ほらあの何ちゃらに出ていたほにゃららさん、とよくオットと会話していたのを思い出す。
「あ、ミユキさん、彼らとはさっきギルドで会って大まかな説明をして手伝ってもらってたんです」
塩谷はやはり部下のように説明してくれた。
「おぉ、ギルドで? 会えてよかったですね~。じゃあ、あと二人って?」
「え、と女子と男子ひとりずつらしいですが」
「村原さんと吉沢です!」
少年のひとりが突然口を噤んだ。そして少々トーンが大きくなった自分の声に赤くなってしまったようだ。
「村原さんという方が女の子ですか?」
「あ、俺、瀬上っていいます。さっき、みんながいきなり倒れたあと、動けた兵士が村原さんを抱えてどっかに連れて行って……。俺、追っかけようとしたら他の兵士に押さえられて、そいつらも突然動かなくなったから……追いかけたんだけどわからなくなって……」
「ええ。それで、吉沢さんは?」
「吉沢は、村原さんを追いかけていったんだけど……」
瀬上は力なく首を振った。
「なるほど、ありがとうございます。とりあえず、二次迷子を避けるために、一昨日来た勇者の皆さんはすみませんが、ここから動かないでいただけますか?」
うんうんと尤もらしい顔で頷く塩谷を瀬上が睨みつけた。瀬上はイラッときたようだ。
「なんだよ、一昨日来た勇者って、俺のこと? ていうかあんた誰?」
「先輩だよ」
にこりと笑みを浮かべた秋月が間に入った。
「先輩ぃ?」
「俺たちの前に召喚された先輩だよ」
「そうそう! 魔法も使えるんだぞ」
柿崎が参戦したので話が逸れてきそうであった。
そしてミユキは、何というか、高校生男子同士の会話にはオバさん入っていけないわ~とか思いながらじわじわと後退している。だってみんな背が高いしね! とりあえず何か捜索できる系の魔法がなかったか考えつつ、更に後退していた。
(うーん、海の上じゃないし、鳥になってってのは無理があるしなぁ、憧れるけどね! しかし赤いワンピースは恐れ多すぎるし。ここはやはり、気を探すか? こっちも恐れ多いけど……)
実はどちらとも魔法ではなかった。そうだ、起きている人間の気配を探ればいいのだ、と気づいて眉間に人差し指を当てると塩谷がやってきて横からミユキの肩にそっと手を乗せた。それを見た秋月が会話をやめて何を思ったのか無言で塩谷の腕を掴む。え?と塩谷が顔を上げた瞬間、その場から三人が姿を消した。
「「秋月~~~~~ぃ!?」」
「なんだよ今の! 何で消えるの!?」
目の前で人間が消えたのだ。当然三人は普通にテンパったのだった。
ToDoリストが欲しいところだ。順番は後で考えよう。
・全員を集め、世界樹の森に移動する。
・魔法少年達を安全な場所に戻す。
・少年少女に今後の説明会をする。
・制服を用意する。
・守護竜さん達を安全なところに送る。
・アイテムボックスを少年達と切り離す。
・コウスケさんにふたばのごはんとその他諸々を預けしばらく預かってくれるようお願いする。
・蛙にしたオーク(絶滅危惧種かもしれない)を何とかする。
・2年前の皆さんにむこうの現状の説明をする。
本当は全員の持ち物をかけらでもいいから集めて回ってスマホくらいは返したいのだが……。
(さて、とりあえず、さっきのところに戻ろう。しかし、ほんとにあっちでもできるのかな)
最悪、元の世界に戻れるだけで2年前は無理かもしれないと説明しておくべきだろうな、と考えていると目の前にサルモー達がいて、全員がミユキを見つめていた。この考えただけで実現するという仕様は何とかならないのだろうか。
「……あ、ここに戻っちゃったか……って、お?」
見知らぬ顔の日本人高校生も混じっていた。しかもミユキが家の近所でよく見ていた制服を着ている。これはさすがに制服オンチのミユキでも判った。
「あ、ミユキさん、えーと、探しているのはあと二人です」
全員が固まっている中、ささっと駆け寄ってきた塩谷が真面目な顔で報告した。上官に対する部下のようである。
ミユキはつきささる視線に焦りながらも礼を言って、初対面でもないが制服を着た高校生達に頭を下げた。
「こんにちは。ミユキといいいます。皆さんとは一緒にこちらに来ましたんで初めてではないですが……」
「え……? あのオバ…」
美少女風の女子高生が言いかけたところに、勢いよくドアを開けた柿崎が飛び込んできた。その後ろから笹神と秋月が続く。
「おお、みんないた? 俺らも制服に着替えて来ちゃった……あ、」
「あ、オバさんが、ミユキさん? いてっ」
笹神は秋月に後頭部を叩かれていた。にっこりと笑みを浮かべながら会釈する秋月が何だか怖い、と笹神は小さく震えている。
「こんにちは」
「こんにちは」
「こんにちは」
眼を見張る程きれいなお顔の男子高校生が、微笑んでいる! そしてもうひとりも目がくりっとして、どこかで見たようなかわいいお顔だ……そうだ、このお顔は、数年前の日曜の朝に一年間見続けた運の無い少年のお顔に似ている。ミユキは思い出してスッキリした。この歳になるとなかなか芸能人の名前などが思い出せないのだ。よかった。ほらあの何ちゃらに出ていたほにゃららさん、とよくオットと会話していたのを思い出す。
「あ、ミユキさん、彼らとはさっきギルドで会って大まかな説明をして手伝ってもらってたんです」
塩谷はやはり部下のように説明してくれた。
「おぉ、ギルドで? 会えてよかったですね~。じゃあ、あと二人って?」
「え、と女子と男子ひとりずつらしいですが」
「村原さんと吉沢です!」
少年のひとりが突然口を噤んだ。そして少々トーンが大きくなった自分の声に赤くなってしまったようだ。
「村原さんという方が女の子ですか?」
「あ、俺、瀬上っていいます。さっき、みんながいきなり倒れたあと、動けた兵士が村原さんを抱えてどっかに連れて行って……。俺、追っかけようとしたら他の兵士に押さえられて、そいつらも突然動かなくなったから……追いかけたんだけどわからなくなって……」
「ええ。それで、吉沢さんは?」
「吉沢は、村原さんを追いかけていったんだけど……」
瀬上は力なく首を振った。
「なるほど、ありがとうございます。とりあえず、二次迷子を避けるために、一昨日来た勇者の皆さんはすみませんが、ここから動かないでいただけますか?」
うんうんと尤もらしい顔で頷く塩谷を瀬上が睨みつけた。瀬上はイラッときたようだ。
「なんだよ、一昨日来た勇者って、俺のこと? ていうかあんた誰?」
「先輩だよ」
にこりと笑みを浮かべた秋月が間に入った。
「先輩ぃ?」
「俺たちの前に召喚された先輩だよ」
「そうそう! 魔法も使えるんだぞ」
柿崎が参戦したので話が逸れてきそうであった。
そしてミユキは、何というか、高校生男子同士の会話にはオバさん入っていけないわ~とか思いながらじわじわと後退している。だってみんな背が高いしね! とりあえず何か捜索できる系の魔法がなかったか考えつつ、更に後退していた。
(うーん、海の上じゃないし、鳥になってってのは無理があるしなぁ、憧れるけどね! しかし赤いワンピースは恐れ多すぎるし。ここはやはり、気を探すか? こっちも恐れ多いけど……)
実はどちらとも魔法ではなかった。そうだ、起きている人間の気配を探ればいいのだ、と気づいて眉間に人差し指を当てると塩谷がやってきて横からミユキの肩にそっと手を乗せた。それを見た秋月が会話をやめて何を思ったのか無言で塩谷の腕を掴む。え?と塩谷が顔を上げた瞬間、その場から三人が姿を消した。
「「秋月~~~~~ぃ!?」」
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目の前で人間が消えたのだ。当然三人は普通にテンパったのだった。
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