紳士な猫は魔法が使いたい

萎びた家猫

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第四話 別れと帰り道

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 我輩達は虫取りを終え別れを告げると各々の変える場所へと向かって行った。
吾輩と帽子の人を除いて…

「いやぁ… ネコくん今日は本当にありがとうね」

 先程少年少女に伝えたようにまた吾輩にも感謝を告げる帽子の人。
…帽子の人はお家に帰らぬのであろうか?

「ネコくんは私の魔法瓶に興味をもっていたようなのでもしやと思っていたのですが…」

 確かにししょーから買った魔法瓶を持っているのには興味があったのである。 吾輩の記憶が正しければししょーはあの魔法瓶は物を燃やす際に使っていたのである。

「確かに気になっているのである!」

「その反応は肯定として受け取っても良いのですね?」

 吾輩は頭を縦にふる。

「やはりそうでしたか。アリシアさんのところに居ることといい、魔法瓶や研究用の蛹に興味があることといい… どうやら私が研究する魔法に興味がお有りなようですね?」

...!? 言葉が通じぬはずの帽子の人は吾輩が思っていることを言い当てた!!

「そ、そうなのである!! 何故わかったのであるか?!」

「ハハハ 急にガッツイてきますね? まあ簡単なことです」

 簡単なこと? 

「我々研究者…というより魔を探求する者たちは少なからず似た特徴がありますからです」

 特徴であるか? うーむそう言えば、夜空の人も吾輩とししょーは似ていると言っていたのである。

「その感じだとわからないみたいですね? ふむ、そろそろ日も陰ってしまいますし歩きながらお話しましょうか」

 そう言うと帽子の人は吾輩を持ち上げ腕の中に収める形で抱き上げししょーの店がある方へと歩み始めた。

…帽子の人は着ている服でわかりにくいが結構腕が太いのである。 ゴツゴツしてちょっと居心地が悪いのであるな…

「さて話の続きです。 まず私はネコくんの言葉はわからないので分からなかったら反応してくださいね?」

「わかったのである!」

あ! 反応してはならぬのであった!

「今のは了承してくれたのでしょうね。では話を戻します。」

 おお 帽子の人は先程からの吾輩の考えをよく言い当てるのである。 もしかしたらししょーと同じくらい頭が良いのかもしれぬ。

「似ている部分と言いましたが、必ずしも目に見えることではありません」

 早速理解できぬのである。目に見えぬのにどうやって似ているか判断するのであろうか?

「どういうことであるか?」

「雰囲気…というよりも魔法に対する意識の向け方です。ネコくんの場合は私が魔法に関する知識を話すと必ず意識が私の方に向いていました。」

 それは話していたら当然何である。

「もちろん私だけが話しているなら当然でしょうが、ネムちゃんやロウくんも話に加わっている中にネコくんは私の話に一番関心を寄せ意識していたのですよ」

 うーむ? 確かにそれはそうであるが…

「それに魔法以外のウンチクにはあまり良い反応をしていませんでしたからね」

「確かによくわからないことも話していたのである!」

「今何気に酷いことを言われた気がしますが… とにかく! そういう風な言われなければ本人すら気が付かない些細な意識の違いから魔法に興味があるかなどわかったりもします」

 なるほど 吾輩自身が気が付かない事を発見していたのであるな! でもそれは魔法以外でも同じではなかろうか?

「そして他にもあります。というよりこちらが一番重要ですね」

 やはり他にもあったのである!! 最近吾輩も『さきよみ』とやらができてきたのである!

「一番重要なことそれは…」

それは…?

「目です」

 …め?  めとは顔に付いている目のことであろうか? 

「魔法に興味がある者たちは無意識に魔力の波長を見ようと目に魔力を集中させる事が多いのです」

 魔力を目に集中? それは確かにししょーから教わったのであるが吾輩まだ出来たことがないのである。

「それはおかしいのである! 吾輩まだできないのである!」

 吾輩はそれはおかしいと抗議した

「これに関してはまだ未熟な魔法使いや見習いによくあることなのですが、頭で魔に関する事柄を考えて何かを探していると体が反応して無意識に目に魔力集めてしまうのです。」

 体が勝手にであるか?

「遠くのものを見ようとすると目をしぼってしまうのと似ています。 この反応は目に入る光を調節するため体が反応する為だと言われていますが、魔力の場合も同じです。」

 うーむ ちょっと難しくなってきたのである…

「まず前提として魔力には波長、簡単に言えば波のようなものがあります。 目に魔力を集中するとある地点で集中した魔力と探しているものの波長が一致し、探しものを発見しやすくなるのです」

 あ、それは偶にあるのである! この前ししょーが無くしたイヤリングを探し出したとき、ししょーは「よく見つけたわね?」といっていたのである! それのことであろうか?

「どうやらなにか気がついたみたいですね? ネコくんが魔法に興味があると気がついたのはそこです。」

なるほどなのである!

「それに幾ら体の反射といえど魔に関する知識と魔力の流れを感じることができなければ、波長の調節ができるほど目に魔力を集中する事はできませんからね」

 吾輩が魔法に興味があったからこそ目に魔力が集中して、それに気がついた帽子の人は吾輩が本当に魔法に興味があるか確かめるためにウンチクを話していたということであるか!!

「中々さくしなのであるな!!」

 うむ? でも帽子の人はどうやって吾輩の魔力を目に集中しているとわかったのであろうか? 最初から目に魔力を集中していたのであろうか?

「さてそんなこんな話しているうちにアリシアさんの店につきましたね」

おお 気がついたらもうついてたのである!
でももうすっかり暗くなってしまって、ししょーとの約束を破ってしまったのである…

「大丈夫ですよ! 私が遅くなった理由を説明しますから」

 おお そうであった!! 帽子の人が吾輩の遅れた訳を話してくれれば問題なかったのである!

「確かにそうなのであるな!」

「ハハハ ショボクレたり元気になったりネコくんは感情がわかりやすいね?」

 帽子の人はなにか言っているが無視なのである! 吾輩は紳士なので多少の無礼は許すのである!

「アリシアさん入りますよぉ?」

 そう言って帽子の人は扉を開ける。
扉を開けるといつものようにチリンチリンと音がなり奥からししょーの返事が聞こえてきた。

「いらっしゃい。こんな時間に珍しいわね…ってなんでフィラムも一緒なの?」
 
 成り行きなのである!!

「まあ成り行きですかねぇ」

「成り行きで人んちの猫を連れ歩くのはどうかと思うけど、おおよそ虫を探してるときに不審者と間違われないように巻き込んだって感じかしら」

「おお! 流石アリシアさん大正解ですよぉ!!」

 流石ししょーなのである。どうやらししょーのほうが一枚上手で考えてることはお見通しのようである。

「今日はこの子のお陰でかなり研究が捗りそうなので感謝ですねぇ」

 うむ! 吾輩は大活躍なのであった!

「因みに何を取ってきたの?」

「フフフ…聞いて驚いてください! 虹光虫の蛹を100匹以上採取したのですよ!」

どうなのである! 吾輩は木登り頑張ったのである!!

「…普通に驚きだわ。 魔法薬では重宝するけど個体数が少ないって有名なのに」

「ええ、ええ!! 私もそう思っていたのですがね? どうやら固有の波長があるらしくこの子が魔力を目に集中しているのを見て真似してみたところ、もう面白いくらい見つかったのでついつい取りすぎてしまいました!」

 うん? 吾輩が魔力を目に集中しているのは探してる途中で気がついたのであるか?
ということはウンチクはただ好きで喋っていただけではないか!?

「あら フィラムはまだ魔眼を使えなかったとはずだけれど?」

「ほら未熟な魔法使いにありがちな反射的に使うやつですよ」

「ああ、なるほど」

「アリシアさんもいい研究材料を見つけましたね?」

「…勘違いしないで。この子は私の弟子よ」

「…それ本気言っているのですか? あのアリシアさんに弟子…」

「なにか問題でも?」

「いえいえ、少し意外だっただけですので、気にしないでください。他意はありません」

 おっといかぬ。また考え込んでしまっていたのである。二人は何を話していたのであろうか。聞き逃してしまったのである。

「まあ いいわ。それでココに来た用は蛹の自慢だけかしら?」

「おっと本題を忘れていました!」

 本題であるか? なにか注文するのであろうか。

「今日の蛹集めの報酬をあげる約束でしたので、この子の欲しがりそうなものはなにかわかりませんか?」

「あなたネコ相手に報酬の交渉していたの…いつかほんとに兵隊達にしょっ引かれるわよ?」

「いやあ 最初は我ながら怪しいことしてる自覚はあったんですがねぇ。世間は意外と狭いようでこの子は私の甥と遊んでいたのですよ」

 うむ 少年少女と遊んでいたのである! そう言えば帽子の人は少女と帰らなくて大丈夫なのであろうか? 少女の母君がまた怒っていそうなのである。

「まあ程々にしておいたほうがいいわよ。それよりフィラムがほしがるものよね?」

「ええ 私か選ぶと皆さん微妙な反応されますからねぇ」

「それはあなたのセンスがないだけよ… フィラムの喜びそうなものと言えば魔法に関する知識がそうなんだけど、あなたこの子にわかりやすく説明できる?」

 おお! 魔法を教えてもらえるのであるか!
やはりししょーは吾輩の欲しい物をよくわかっているのである!!

「いやー多分できませんねぇ」

 諦めるのが早いのである!!

「そうでしょうね。それじゃあその蛹を幾つかこの子に上げたらどうかしら?」

「確かに魔法薬に関してならあなたが教えたほうがいいでしょうからね。 わかりましたでは10匹ほどお渡ししますね?」

「あらそんなに貰ってもいいの?」

「ええ この子がいなければ1匹取ることすら難しかったですからね」

「そう、なら遠慮なく頂くわ。フィラムこの虫を使って今度魔法薬の勉強をするから羽化したら教えて頂戴」

「わかったのである!」

 新しい事ができると分かって吾輩ワクワクなのである!!

「自分では確認しないんですねぇ…」

「必要なものの管理も魔法師に必要なものよ」

「まさかとは思いますがこの子を魔法師にまで育てる気ですか?」

 魔法師とは確かししょーが王様から呼ばれている称号というものである。 吾輩も王様から認められるくらい魔法を使えるようになりたいものである。

「あくまで知識面での目標よ。そもそも人族じゃないこの子は魔法師として認められないわ」

 ううむ、どうやら吾輩はししょーと同じ魔法師とやらにはなれないようなのである…

「残念なのである…」

「ハハハ どうやら残念がってますねぇ」

「大丈夫よフィラム。反射的にとは言え魔眼を使える時点で有象無象の魔法使いよりはセンスがあるから。すぐみんなみたいになれるわ」

「そうであるか! ならば頑張らねばならぬ!!」

 いつかししょーと一緒に魔法の研究をできるよう頑張るのである!!

「元気が出たみたいですね。おっと話し込んでいたらもうこんな時間ですね。ここらへんで私はお暇させていただきます」

「ええ 蛹ありがとうね」

「ハハハ お礼ならその子に言ってあげてください」

 吾輩であるか?

「たしかにそうね。フィラムありがとう」

 おお またししょーに撫でられたのである!! やはりししょーの手が一番気持ち良いのであるな!!!

「それではアリシアさん、フィラ厶さんさようなら」

「ええ 気をつけてね」

「サヨナラなのである!! 少女と母君とは仲良くするのであるぞ!!」

 皆で挨拶したところで帽子の人は扉を開けると外へ消えていった。

「帰ったわね」

「面白い人だったのである」

「さて晩御飯の用意はもうできているからご飯にしましょう」

 おお 吾輩はお腹ペコペコなのである!

「その前にこの蛹はここの保管瓶に入れておくわね」

そう言って蛹を透明な箱の中に詰め、厨房へと消えていった。吾輩と蛹さんだけになりしんと静まり返った部屋の中で、今日あった出来事を思い返していた。

「やっぱり今日は色々なことがあって良い一日だったのである! お天道様も吾輩が楽しんでるのを見て楽しめていたら嬉しいのである」

 窓の外を見るとすでに太陽は沈み外は完全な暗闇となっていた。

「お天道様、今日も我輩達を見守ってくれてありがとうなのである! また明日までおやすみなさいなのである!!」

「フィラム外なんて見てどうしたの? ご飯持ってきたからこちらにおいで」

 ししょーが厨房から戻り晩御飯のいい香りが部屋中に充満する。 やはりししょーの作る料理はいつも美味しそうなのであるな!

「今行くのである!」

 そう返事をし吾輩はししょーと一緒にご飯を食べるのであった。

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