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面倒くさい男と疑惑の払拭
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ロイが闘技場に行っている間、ウィルは別途の中で瞑想していた。すると部屋の扉を誰かがノックする音が聞こえてきた。
「誰だ?」
ウィルは入口に向け問いかけながら、魔法を使って剣を自分の近くに手繰り寄せる。
「王国騎士団のロバートです。入ってもよろしいでしょうか?」
声から察するにどうやらロバートで間違いないようだ。そう思ったウィルはなかに入ることを許可し扉のへ近づき鍵を開ける。
扉の外にはやはりロバートが立っておりウィルを見ると驚いた表情を浮かべ、次第に焦りの表情へ変わっていく。
「ちょっとウィルさん!?重症なんですから大人しく寝ていて下さいよ!?」
「激しい戦闘は厳しいだろうが、普段の生活を送る分にはこれくらいは問題ない」
ウィルはぶっきらぼうにそう言うが、負傷箇所を調べたロバートにはそれが、痩せ我慢である事はよくわかっている。
「そんなわけ無いでしょう!!全身の関節の捻挫や骨にヒビが入っている状態に人が普段通り生活するなんてとんでもない!? ほらまずはベッドに横になって下さい!!」
ロバートはコレ以上怪我をさせない様に細心の注意をはらいながら、ウィルを介抱する。
「さあ、ゆっくり寝転んで下さい」
流石にウィルも気まずくなったためか、痺れを切らし作業を中断する。
「…流石に寝転ぶくらいはできるぞ」
だがその行動がロバートのプライドに日をつけたようで、いっそう元気になったロバートが言葉をまくし立てながら自分の素性を説明しだす。
「貴方はどうやら無茶をする人のようですから、少なくとも私がこの街にいる間はちゃんと療養してもらいますよ。これでも王国騎士団魔法治癒隊の元隊長ですので、怪我人が無茶をするのは見過ごせません」
妙に熱の入った言い方をするロバートを眺めながらウィルは怪訝な表情をする。
「...おまえがか?」
今までの行いによってロバートが誰かを介抱する姿がイメージ出来ないウィル。つい今介抱されたのすら忘れてそんな馬鹿な想像をするくらいにウィルにとっては意外な素性であった。
「言わんとしている事はわかりますが事実です。ですのでちゃんと指示に従ってもらいます。少なくとも怪我が治るまではね!!」
「はあ、わかったからまず何故ここに来たのか。まずはその用を言え」
ウィルの発言を聞いたロバートは、しまったという表情を浮かべながら謝罪をしてきた。
「おっとこれは失礼。熱が入ってしまいました」
「謝罪は良い。何のようだ」
「いえ、実は今回ここに来た要件も謝罪なのです」
「謝罪?」
いまいちピンとこないウィルに対してロバートは正直にコレまでしてきたことを話す。
「ええ、実は最初にお二人に喧嘩をふっかけたのはとある犯罪者…そうですね【虎牙《こが》の剣鬼《けんき》】について調査することが目的だったのです。しかし調査の結果お二人は違うということが判明しましたので、これまでの無礼をまずは謝罪しなければならいと思い今日此方に馳せ参じた次第です」
「…まず何故俺達を疑われる事になったんだ?」
「実はお二方と合う数日前に開拓村の西側で族が獣人種の魔族に襲撃されたという知らせがあったのです」
「獣人種…もしやそれが俺達が狩ったやつだと?」
「ご明察。特殊な魔道具を利用して調べたので間違いはありません。そしてここからがお二方を疑う要因となったことなのですが…」
「その襲撃を偶々同時に遭遇した【虎牙《こが》の剣鬼《けんき》】によって撃退、そしてその後を追う様に剣鬼も消えたと被害を受けた賊が尋問で証言されていたからなのです」
「なるほどな。そこで偶々オレ達が魔族をタイミング悪く狩ったから疑われたと」
「はいその通りです。疑ってしまって申し訳ありませんが、我々の仕事はこの国に住む民を護ることですので…」
「それに関してはかまわんが…試すような事をするくらいなら一言言ってくれたほうが印象が良かったぞ?」
「まあ、それに関しては部下にも怒られました…まあそれはこの際置いておいて…」
「…やはりお前が医療隊の隊長だったというのは信じられないな」
「いや本当ですから!!何なら今回ウィルさんとかに使っている魔道具は特殊で王国の騎士団でも数人しかいないレベルには高度な技術なんですよ!?」
「治療魔法は高度な魔法なのは知っているが…お前がやってる姿が正直思い浮かばないな。これはお前が胡散臭いのが悪い」
「いやごめんなさいって…とにかく今回はお二方の疑惑が晴れたということを伝えたかったのです」
「それに関してはもう気にしていない。それで?その剣鬼というのはそういうやつなんだ?」
疑われた理由で一番気になっていた【虎牙《こが》の剣鬼《けんき》】についてウィルは質問する。
「ご存知ではなかったのですか?まあ、いいでしょう。剣鬼は今王国内で最も危険な辻斬りです。最近おきた被害は前述した通りの賊襲撃事件ですが、その前は剣神流《けんしんりゅう》の門下生が数人惨殺された事件があります。」
「剣神流《けんしんりゅう》は確かお前の流派だったか?」
ウィルの問にロバートは一部だけ肯定する。
「私の流派というよりは、騎士団で主流の流派って解釈が正しいですかね?私を含めほとんどの騎士団員が訓練生時代に習っていますので、そこから自分にあった流派へ変える方もいますが」
「とにかくその門下生がやられた影響で、同門が多い我々の中で大きく問題になったって感じですかね」
「そうか」
そこまで聞くとウィルは興味を失ったのか、一度体を聞く姿勢から、楽な姿勢に戻す。
「ああ、そうだ」
そんなウィルにお構い無しでマイペースに話すロバートが何かを思い出したかのように手を叩く。
「その【虎牙《こが》の剣鬼《けんき》】に関してもう一つ情報があるんですが、実は近々討伐隊が組まれる予定なんですよ」
その話に興味を示したのかウィルは顔だけをロバートの方へ向けながら聞き返す。
「討伐隊?」
「ええ、しかもギルドにも協力依頼が出るみたいなのですよね。良かったウィルさんもご参加されてはいかがですか?」
「…そいつの居所は掴めているのか?」
ウィルの質問に笑いながらロバートは答える。
「ええ大体はわかっています。言っておきますがこれ以上は教えられませんよ?討伐隊の話自体あまり大っぴらに言えないことなのですが迷惑をかけましたからね。まあ、とにかく考えておいて下さい。貴方がいてくれたら百人力です。」
「…何故そこまで俺等に方をいれるんだ」
「貴方があの魔族を撃退したのでしょう?」
その発言にウィルの警戒心は一気にマックスまで引き上がるが、その光景を眺めるロバートは冷静に諭すように静止する。
「何故貴方があの魔族を撃退できたのかはわかりません。この事実を知るのはさきほど言った魔道具を使って現場を調べた私だけです。仲間にも伝えていません」
ロバートはまっすぐにウィルの目を見ながら話す。その目を見たウィルは嘘がないことを確認すると正直な事を話す。
「…誰にも言わないことを誓うなら教えてやるがどうする?」
「…いいえ、やめておきます。知られたくないことは誰にでもあるものですからね」
そう言うとロバートは入口に向かって歩きながら忠告する。
「我々の仕事は王国の善良な住民を護ることですのです。それに反する行為を貴方がするのならば私は容赦なく貴方を罰します。それだけはお忘れなく」
そう言うと扉を開け部屋から退出した。しばらくの間部屋に静寂がまた訪れた。
「何故素直に治癒魔法を使いに来たと言えないのか…めんどくさい男だ」
ウィルはそう言うと静寂の中、また瞑想を始める。だがその静寂も長くは続かなかった。
「先生!!帰りました!!」
「ウィル様お邪魔いたします。お怪我の調子はいかがでしょうか?」
静寂を破るようにロイが元気よく部屋に帰ってきた。そしてその後ろには控えめな態度のレヴィルが入ってきて体調の確認をしてきた。
「どこかのお節介焼きのお陰でだいぶ良くなってきた。恐らく完治までそう長くはないだろう」
「お節介焼き?」「お節介焼きですか?」
二人は顔を見合わせながら不思議な表情をしているが、ウィルがソレ以上話す気がないことを見て少しモヤモヤする二人なのであった。
「誰だ?」
ウィルは入口に向け問いかけながら、魔法を使って剣を自分の近くに手繰り寄せる。
「王国騎士団のロバートです。入ってもよろしいでしょうか?」
声から察するにどうやらロバートで間違いないようだ。そう思ったウィルはなかに入ることを許可し扉のへ近づき鍵を開ける。
扉の外にはやはりロバートが立っておりウィルを見ると驚いた表情を浮かべ、次第に焦りの表情へ変わっていく。
「ちょっとウィルさん!?重症なんですから大人しく寝ていて下さいよ!?」
「激しい戦闘は厳しいだろうが、普段の生活を送る分にはこれくらいは問題ない」
ウィルはぶっきらぼうにそう言うが、負傷箇所を調べたロバートにはそれが、痩せ我慢である事はよくわかっている。
「そんなわけ無いでしょう!!全身の関節の捻挫や骨にヒビが入っている状態に人が普段通り生活するなんてとんでもない!? ほらまずはベッドに横になって下さい!!」
ロバートはコレ以上怪我をさせない様に細心の注意をはらいながら、ウィルを介抱する。
「さあ、ゆっくり寝転んで下さい」
流石にウィルも気まずくなったためか、痺れを切らし作業を中断する。
「…流石に寝転ぶくらいはできるぞ」
だがその行動がロバートのプライドに日をつけたようで、いっそう元気になったロバートが言葉をまくし立てながら自分の素性を説明しだす。
「貴方はどうやら無茶をする人のようですから、少なくとも私がこの街にいる間はちゃんと療養してもらいますよ。これでも王国騎士団魔法治癒隊の元隊長ですので、怪我人が無茶をするのは見過ごせません」
妙に熱の入った言い方をするロバートを眺めながらウィルは怪訝な表情をする。
「...おまえがか?」
今までの行いによってロバートが誰かを介抱する姿がイメージ出来ないウィル。つい今介抱されたのすら忘れてそんな馬鹿な想像をするくらいにウィルにとっては意外な素性であった。
「言わんとしている事はわかりますが事実です。ですのでちゃんと指示に従ってもらいます。少なくとも怪我が治るまではね!!」
「はあ、わかったからまず何故ここに来たのか。まずはその用を言え」
ウィルの発言を聞いたロバートは、しまったという表情を浮かべながら謝罪をしてきた。
「おっとこれは失礼。熱が入ってしまいました」
「謝罪は良い。何のようだ」
「いえ、実は今回ここに来た要件も謝罪なのです」
「謝罪?」
いまいちピンとこないウィルに対してロバートは正直にコレまでしてきたことを話す。
「ええ、実は最初にお二人に喧嘩をふっかけたのはとある犯罪者…そうですね【虎牙《こが》の剣鬼《けんき》】について調査することが目的だったのです。しかし調査の結果お二人は違うということが判明しましたので、これまでの無礼をまずは謝罪しなければならいと思い今日此方に馳せ参じた次第です」
「…まず何故俺達を疑われる事になったんだ?」
「実はお二方と合う数日前に開拓村の西側で族が獣人種の魔族に襲撃されたという知らせがあったのです」
「獣人種…もしやそれが俺達が狩ったやつだと?」
「ご明察。特殊な魔道具を利用して調べたので間違いはありません。そしてここからがお二方を疑う要因となったことなのですが…」
「その襲撃を偶々同時に遭遇した【虎牙《こが》の剣鬼《けんき》】によって撃退、そしてその後を追う様に剣鬼も消えたと被害を受けた賊が尋問で証言されていたからなのです」
「なるほどな。そこで偶々オレ達が魔族をタイミング悪く狩ったから疑われたと」
「はいその通りです。疑ってしまって申し訳ありませんが、我々の仕事はこの国に住む民を護ることですので…」
「それに関してはかまわんが…試すような事をするくらいなら一言言ってくれたほうが印象が良かったぞ?」
「まあ、それに関しては部下にも怒られました…まあそれはこの際置いておいて…」
「…やはりお前が医療隊の隊長だったというのは信じられないな」
「いや本当ですから!!何なら今回ウィルさんとかに使っている魔道具は特殊で王国の騎士団でも数人しかいないレベルには高度な技術なんですよ!?」
「治療魔法は高度な魔法なのは知っているが…お前がやってる姿が正直思い浮かばないな。これはお前が胡散臭いのが悪い」
「いやごめんなさいって…とにかく今回はお二方の疑惑が晴れたということを伝えたかったのです」
「それに関してはもう気にしていない。それで?その剣鬼というのはそういうやつなんだ?」
疑われた理由で一番気になっていた【虎牙《こが》の剣鬼《けんき》】についてウィルは質問する。
「ご存知ではなかったのですか?まあ、いいでしょう。剣鬼は今王国内で最も危険な辻斬りです。最近おきた被害は前述した通りの賊襲撃事件ですが、その前は剣神流《けんしんりゅう》の門下生が数人惨殺された事件があります。」
「剣神流《けんしんりゅう》は確かお前の流派だったか?」
ウィルの問にロバートは一部だけ肯定する。
「私の流派というよりは、騎士団で主流の流派って解釈が正しいですかね?私を含めほとんどの騎士団員が訓練生時代に習っていますので、そこから自分にあった流派へ変える方もいますが」
「とにかくその門下生がやられた影響で、同門が多い我々の中で大きく問題になったって感じですかね」
「そうか」
そこまで聞くとウィルは興味を失ったのか、一度体を聞く姿勢から、楽な姿勢に戻す。
「ああ、そうだ」
そんなウィルにお構い無しでマイペースに話すロバートが何かを思い出したかのように手を叩く。
「その【虎牙《こが》の剣鬼《けんき》】に関してもう一つ情報があるんですが、実は近々討伐隊が組まれる予定なんですよ」
その話に興味を示したのかウィルは顔だけをロバートの方へ向けながら聞き返す。
「討伐隊?」
「ええ、しかもギルドにも協力依頼が出るみたいなのですよね。良かったウィルさんもご参加されてはいかがですか?」
「…そいつの居所は掴めているのか?」
ウィルの質問に笑いながらロバートは答える。
「ええ大体はわかっています。言っておきますがこれ以上は教えられませんよ?討伐隊の話自体あまり大っぴらに言えないことなのですが迷惑をかけましたからね。まあ、とにかく考えておいて下さい。貴方がいてくれたら百人力です。」
「…何故そこまで俺等に方をいれるんだ」
「貴方があの魔族を撃退したのでしょう?」
その発言にウィルの警戒心は一気にマックスまで引き上がるが、その光景を眺めるロバートは冷静に諭すように静止する。
「何故貴方があの魔族を撃退できたのかはわかりません。この事実を知るのはさきほど言った魔道具を使って現場を調べた私だけです。仲間にも伝えていません」
ロバートはまっすぐにウィルの目を見ながら話す。その目を見たウィルは嘘がないことを確認すると正直な事を話す。
「…誰にも言わないことを誓うなら教えてやるがどうする?」
「…いいえ、やめておきます。知られたくないことは誰にでもあるものですからね」
そう言うとロバートは入口に向かって歩きながら忠告する。
「我々の仕事は王国の善良な住民を護ることですのです。それに反する行為を貴方がするのならば私は容赦なく貴方を罰します。それだけはお忘れなく」
そう言うと扉を開け部屋から退出した。しばらくの間部屋に静寂がまた訪れた。
「何故素直に治癒魔法を使いに来たと言えないのか…めんどくさい男だ」
ウィルはそう言うと静寂の中、また瞑想を始める。だがその静寂も長くは続かなかった。
「先生!!帰りました!!」
「ウィル様お邪魔いたします。お怪我の調子はいかがでしょうか?」
静寂を破るようにロイが元気よく部屋に帰ってきた。そしてその後ろには控えめな態度のレヴィルが入ってきて体調の確認をしてきた。
「どこかのお節介焼きのお陰でだいぶ良くなってきた。恐らく完治までそう長くはないだろう」
「お節介焼き?」「お節介焼きですか?」
二人は顔を見合わせながら不思議な表情をしているが、ウィルがソレ以上話す気がないことを見て少しモヤモヤする二人なのであった。
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