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2.遡る事、一年前……
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高2の初夏、そいつは突然やってきた。
社会の教員が突然変わり、前教員よりずっと若い男の教員が社会科の担当になって、しかも俺のクラスの担任となった。
教室に入る前から廊下が騒がしかった。
女子たちの目の色が変わり、キャーキャー騒いでいる。
それは教室に入ってからも変わらなかった。
ザワついた教室内を無視するかのように現担任が話を進める。
『えー今日から私に変わって、こちらのぉえっと……』
眼鏡をずらしながら、紙を食いいるように見る老いぼれ教師は、紙と隣に立つ男の顔と交互に見ながら名前を確認した。
『有栖川です。有栖川、恭平』
そう、これが一番最初に見た変態教師だ。
この時はそんな変態オーラなんておくびにも出さず パリッと糊の利いたワイシャツにピシッとシワ一つない、ダークブラウンのスーツを着て、真面目っぽい教師だった。
俺は、顎に手をついて教壇に視線を向けていた。
教師同士がヘコヘコ教壇でしている姿は滑稽だった。
クラスの女子は相変わらずざわついている。
新しい教師がイケメンだの可愛いだのって……百歩譲ってイケメンとしよう。だが何処をどう見て可愛いってなるんだ。
教師にしては無駄に顔がいいしあと声も、仕草も格好もいいけどっ……『モテるんだろうな』
ハッとなり身体を起こした。
俺は今何考えたんだ?
途端に顔が熱くなるのを感じ、視線を教壇に向けた。
刹那、バチッとあいつと目が合った。
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