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2.遡る事、一年前……
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フラフラしているうちに、三階から一階まで降りてきてしまった。
隣の校舎につながる渡り廊下を歩き、グラウンドで体育の授業をしている生徒を横目に、裏庭へと向かった。
『倫太郎!!いた!いたっ!!』
再び腕をまた掴む有太は、反対側を向いて少し先を歩いていた俺を引き戻した。
身体が斜めになりながら、有太が指さしている場所に視線をやると、事すでに終わったであろう二人の後ろ姿があった。
『戻ったほうがよさそうだ。こっち向かってるっぽい』
『なんだよぉ。つまんねぇな。何されたのか見たかった』
何が起こったのかわからなかったが、あの松本の表情がすっかり変わっていた。
ツンツン尖っていた松本が何をどうしたら、あんな風な表情を見せるのか。
さっきのあの有栖川の表情、行動からして、松本はフルボッコくらってるかと思ったけど、奴のスーツはおろか松本の制服は綺麗なままだった。
『あぁ完全に不発だよ』
有太は残念そうに言った。
事が起こらずホッとした俺は、爽やかに笑っている有栖川の横顔を見つめた。
『あんなふうに笑えるのか』
『誰が?』
我に返り『だっ、誰でもないっ』って言って掴まれてる手を引っ張り急いで教室に戻った。
隣の校舎につながる渡り廊下を歩き、グラウンドで体育の授業をしている生徒を横目に、裏庭へと向かった。
『倫太郎!!いた!いたっ!!』
再び腕をまた掴む有太は、反対側を向いて少し先を歩いていた俺を引き戻した。
身体が斜めになりながら、有太が指さしている場所に視線をやると、事すでに終わったであろう二人の後ろ姿があった。
『戻ったほうがよさそうだ。こっち向かってるっぽい』
『なんだよぉ。つまんねぇな。何されたのか見たかった』
何が起こったのかわからなかったが、あの松本の表情がすっかり変わっていた。
ツンツン尖っていた松本が何をどうしたら、あんな風な表情を見せるのか。
さっきのあの有栖川の表情、行動からして、松本はフルボッコくらってるかと思ったけど、奴のスーツはおろか松本の制服は綺麗なままだった。
『あぁ完全に不発だよ』
有太は残念そうに言った。
事が起こらずホッとした俺は、爽やかに笑っている有栖川の横顔を見つめた。
『あんなふうに笑えるのか』
『誰が?』
我に返り『だっ、誰でもないっ』って言って掴まれてる手を引っ張り急いで教室に戻った。
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