やばい彼氏にご注意を

SIVA

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2.遡る事、一年前……

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睨んだまま、こいつがなんでセーブが効かなくなってるのか考えた。
思い当たる節はいくらでもあるが、一番直近だと─────。

(あれを、あの現場を見られたとしか考えられない)
『っはぁぁぁぁぁマジか』顔を覆って大きく溜め息をついた。
きっとこいつはあの光景を見たに違いない。
有太がこんな風になった事は前にもあった。こんなに執拗に付き合おうと言って来る時は大抵俺に誰かが近寄って来た時で─────でもまだわからない。
フルフルと首を横に振る。
『倫太郎?』
合掌している手の間から片目をつぶって様子を窺う有太。
『いや、何でもない』
あれを見たなら、すぐに言ってくるはずだ。そうしないのは確信が持てない、もしかしたら見てないかもしれない─────いや、あの現場を見られた所であいつが勝手にしてきた事だから結局の所俺が怒られている意味が分からない。

俺はゆっくりと身体を起こし、胡坐をかいておでこをさすりながら『お前がそんだけ必死になってんのって、なんかワケがあんじゃないの?』少し遠回しに聞いてみた。

言わなきゃ俺も言わない。有太には悪いけど、俺はずるいから。
有太もおでこをさすりながら、身体を起こし『なぁ倫太郎。アリスとどういう関係なんだよ。付き合ってんの?』小さい声で言われた。
付き合ってるとか、どこをどう見たらそう言えるかさっぱり理解出来なかったけど、これであの光景を見られたことは確定した。

だから『なぁ、みたの?』腹をくくって聞いてみた。
『え、見たって、何?』

(はぁぁ?ここですっとぼけ?)

『だぁからっ!チャリ置きでの、事、だよ』
最後には自分でも何を言っているのかわからないくらいの小声になっていた。

有太はビクッと肩を上げて、視線を逸らした。
『何の話だよ。オレはただい、言われただけで……あいつ有栖川に、その、お前には勝ち目はないって。そんで、なんか無性に腹が立って、さ。ついイラってして、がっついた勢いでヤッちゃえって思ったり』

(勝ち目?)

『はいぃ?』
何言ってんだ?



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