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5. そして始まる文化祭
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しおりを挟む**有栖川side ⑩**
教室に入った途端に「あぁ!アリスせんせーおっそぉー!ちょっとこれ見てよ!」女子たちがこぞってスマホを掲げてくる。
「お前らさぁまぁよく学校で堂々とスマホ弄ってるなぁ」
「今日くらい、いいでしょぉ?ケチ臭いこと言わないでよ」言いながら、グイグイスマホを掲げてくる女子もいれば「突然教師面とかないわぁ」何処か落ち着き払いながらもスマホをいじる女子にまぁ色々。
そんな堂々とスマホ弄られると一応声をかけたくなるもんなんだよ。
「ってか俺も一応教師なんだけどね?」ぼやく俺をよそに、次々と俺を取り囲んでくる女子たち。
他愛ない会話を始めた隣を無言で通り過ぎていく、暗いオーラを放っている倫太郎。
声をかけようと、生徒の間を抜けようとした瞬間─────「倫太郎。お帰りぃ」背後から、相良有太が思い切り肩を俺にぶつけながら通り過ぎて行った。
こいつ……。わざとか。
ぶつかった肩をさすりながら横目で見ていると、俺を睨みつけながら倫太郎の横を確保している。
女子は相変わらず群がるし、女装した男子どもは俺に悲痛な訴えをしてくる。
「はいはい。話は順番に聞いてやるから。それにしてもすげぇ繁盛したんだな」
掲げるスマホをひとつづつ眺めながら、今日一日の反響っぷりを見た。
「悪かったな。全部任せっきりで」
「まぁ、先生がいない事には別に慣れてるから大丈夫でしたよ?」
あ、そうですか。
頼りない担任で申し訳ない。
「先生も女装すればよかったのに」
「や、俺は似合わないから。がっつり男だよ?」
「そんなことないんじゃないですか?」
「うんうん。手とか指とか綺麗だし」
次から次へと、ホントによくしゃべるな。
でも今気になるのは、倫太郎と相良。
だけど、それを表に出してはいけないんだけどさ、もう嫉妬しちゃうよね。
あぁもう、今すぐ俺の倫太郎に近づくなって叫んで教室から飛び出したい。
**有栖川side end**
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