やばい彼氏にご注意を

SIVA

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**番外編** 「とんでもない正月」

**7**

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リビングから幸太郎さんと再会した尊くんの声がひと際大きく聞こえてくる。
「尊ちゃん、大きくなったわねぇ。相変わらずの美人さん♡」
「お母さん、男の子に向かって美人さんはないと思う」
「あら、いいじゃない?あたしだって美人さんって言われたいものぉ~!」
「菊ちゃんは……うん、可愛いって方が似合うよ」
菊ちゃんのキャンキャンした声から、母さんの笑い声、妹たちの必死のフォローの声も聞こえてくる。

俺はこのまま自分の部屋にこっそりと逃げ込みたい。
「りぃーん!??なにしてるのぉ??」
母さんがリビングから顔を出してこちらに呼び掛けてきた。
「あ、あぁ。今行くよ……」
スマホを取りだし『家に来て』と打ち込んだラインを開いて画面の上の指が止まった。
何で、有栖川に助けを求めてるんだ。
これじゃ、疑惑が確信に変わってしまうだろう。
今は有栖川を呼ぶべきじゃない。
ダメだ。来たら……。
だけど……。
「あ、倫太郎さん。こっちこっち」
重たい足取りでリビングに戻ると、早速尊君に捕まった。
腕を完全にホールドされた状態で、リビングに顔を出すといち早くそれに気がついた菊ちゃんが勢い良く立ちあがり目の色を変えてこちらに向かって来た。
「尊ちゃん!?なんであなたがりんの腕掴んでるわけ!?この子はねちゃんとした大切なかれ─────「あ゛ぁぁぁぁぁ!!!」」

菊ちゃんが早速何か言いそうになった所を体を入れこんで阻止すると、俺の表情が怖かったのかはたと我に返って「こ、この子はあたしの隣に座るんだからね!」と反対側の腕を引っ張り、妹たちがいる方へ引きずろうとした。

「お言葉ですが憲治さん」
「あ゛ぁん??」
“憲治”と言うワードに人一倍敏感な菊ちゃんが男を見せる瞬間。
だけどすぐにニコッと笑うと「なぁに?尊ちゃん?」と首をかしげる。

その“ニコッ”とが全然笑ってない!!!

「僕は、ずっと昔から想い続けてましたから。誰よりも倫太郎さんの事をわかっていると思いますけど。もちろん憲治さんよりも」

ん?

さり気ない発言に突然引きつる俺の表情筋。
菊ちゃんは、何度も名前呼びされている事にピリピリしながら「あら、宣戦布告?けど、あなたのライバルとなる人には絶対に敵わないと思うけどなぁ、あ・た・し・は」
意味深げ過ぎる発言に興味を持った尊くんは「へぇ。それはどんな人物なんですかね。一度お会いしてみたいものです」
こちらもにっこりと笑ってはいるものの、完全に冷め切った目をしている。

なに?
ここでもバトル勃発?

視線をそれとなくそらし、母さんたちの方を見た。
母さんは顔を赤らめながら幸太郎さんの手を見つめている。

んん???
あっちはあっちでどう言う展開なんだ?
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