やばい彼氏にご注意を

SIVA

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7. 最終話 最低で最高の言葉

7-15 *

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**有栖川side⑫**


義母かあさん?何してるんですか?」
突然声をかけられ思わず電話を切ってしまった女性。
動揺を見せないように振り返り、裏手に携帯電話を隠した。
不審な顔をして自分を見降ろしているのは、愛人の子・・・・
憎たらしくも容姿は抜群によくその瞳は、全てを見透かしているよう。
そんな目の前の男は、女性の義理の息子。
何処か掴めないその態度と性格がどうにも好きになれない。
なにより、愛人の子・・・・と言うのが一番気にいらない。
何が好きで憎たらしいあの女の子供を育てなければならなかったのか。
夫の気を疑っている。
思案に暮れている場合ではない。
今目の前の事態をどう切り抜けるか考えなければ。

「き、恭平さん。どうしたの?今日は、外に出ると言っていなかったかしら?」
「あぁ。の携帯知りませんか?昨晩から見当たらなくて」
髪の毛をポリポリかきむしりながら、あたりを見回すそぶりを見せる。
それでも、自分が持っているという事を分かったうえでやっている事なのか定かではない。
「知りません?」
一気に冷たい視線に変わった。
ゾクッとするほどその視線は痛く、隠している手がもたもたとしてしまう。
「義母さんが知るわけないですよね。失礼しました」
パッと表情が和らぐと踵を返した。

「あっ」
思わず声を上げて彼を呼び留めてしまった。
「どうかしました?」
何食わぬ顔で振り返る息子は既にこちらの手元を見つめている。
「あ、え、えっと……」
こちらと向かい合った彼は「もしかして義母さんが手にしているそれって、僕の携帯……ですか?」小首を傾げた状態で真っすぐに見つめたまま、ゆっくりとした口調で話してきた。
ごくりと生唾を飲み込んだが、その音が彼に聞かれてしまうんじゃないかと思うほどの静寂が、廊下を包み込んでいる。
「どうして昨日から携帯がないか考えてるんですよね」
彼はゆっくりとした口調のまま話をつづけた。
「どうして#あなた__・・・_が_#僕の携帯を盗む・・必要があったのか……それは、昨日僕が電話をしていた相手が気になったから……って思ってるんですけど。僕の携帯を盗みとったのは、電話の相手が誰か確かめるため──」
一歩一歩近づかれるたびに体が無意識に後ろへと後ずさる。
「あ、あなたと言ってしまいましたけど、例え話ですよ?そんな事をやるのはあの人しかいないと思っていますけどっ……あ、別にあなたでも構いませんけどね。大した電話帳でもないし、メールもラインも大した話をしているわけでもない。でも、一つだけ教えてくれませんか?今電話をしていた相手の名前だけ」
全て見透かしているような瞳ではない。
全てを知っているその瞳は、徐々に怒りの眼に変わっている。
こういっているものの、恐らく電話をかけた相手も既に誰なのかわかっているのではないだろうか。
「な、何を言っているの?これは私の携帯で、お友達に電話をかけていただけよ?」
咄嗟に嘘をついてその場を離れようと彼に背を向けた。
「大方誰に電話をかけたのか予想はついていますから。でも、それ以上の事をその相手にしたら、はあんたを許さないからそのつもりで」

距離があったはずなのに寒気を感じ耳元でそんな言葉を吐きだされ背筋が凍りついた。
勢いよく振り返るとそこには義理の息子の姿はなくなっていた。
「昔からそうだけど、あの子は恐ろしい子だわ」
冷や汗をぬぐいながら携帯電話の着信履歴を削除し、そっと携帯を元の場所に戻しに戻った。
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