THIEF -シーフ-

決着の時

10-18

「あなたがいなくなれば、私はもっと自由になれるのよ」

「それで、俺を犯人に？」

「あなたたちの誰かを犯人にしようと思ってたの。たまたま、あの部屋に来たのがあなただったってだけ」

「不運としか言いようがないわね」

ベスがしゃべると、首のナイフがクイッとあがった。

ベスは、首をあげた。

「自由になれるってどういうことだ？」

「あなたたちがいると、あれ・・がうまくさばけないのよ」

「白い粉か」


「父の名がうまいこと隠れ蓑になっていたのと同時に、父の名を出せば、みんなこぞって欲しがった。私としてはとてもやりやすかったわ」

「親父の名をけがしてたってことか」

「あなただって、お父様の名を見事にけがしていると思うけど？」

「そうだな、その辺に関しては否定はしない。だが、俺は俺の流儀があるんだ」

「何が流儀だか」

ベスがつぶやいた。ライトは首を傾げ「お前がそこ突っ込むか？」と余裕の笑み。

「その余裕の笑みも、今日で見納めだと思うと少し残念な気がするわ。私これでも貴方の事、結構好きだったのに」


「あぁそうか。んじゃよく見とけ。刑務所じゃ俺の顔をこんなに近くで見ることはできないからな」


「あら、刑務所に行くのは、あなたよ？」


エリカはそう言って、ベスをライトの方へ押しやった。