THIEF -シーフ-

SIVA

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knock現る!

1-1

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1.

「シーッ」


人差し指を口元にもっていきながら、ゆっくりと行動をしている男が一人。


『わかってるって』


耳に付けているインカムから小さな音が漏れる。


「あまり、大きな声を出すな。この屋敷には、音センサーで反応する防犯システムも組まれてるんだ」


『わかってるって、。ちゃんと調べてあるんだから安心してちょうだい』


「その名前……」


ルパンと呼ばれた男はイラっとしながら、インカムを取り外してやろうかと耳に手を当てた。


「チップ。お前後で覚えておけよ」


ルパンと呼ばれた男の言葉にインカムからの声は聞こえなくなった。


ルパンがいる場所はこの町では、超がつくほど有名な富豪、アイザック邸。


壁にへばりついた状態で、辺りを見回す。


ルパンの頭上を黒い影が通り過ぎた。


それを見図り、ルパンは足音を立てずに前へ進んだ。


『次の角を左だ』


インカムからは、静かな声が聞こえてきた。


それを聞きながら、ルパンは素早く左に曲がった。


『おっと!!止まれ止まれ!まずいぞ。前から人が来る!なんとか回避してくれ』


突然インカムから叫び声が聞こえた。


ルパンはむっとした表情で、耳に手を当てた。


道は前と、ルパンが来た道しかない。


舌打ちをしながらルパンは、上を見上げた。


「今日の試合は、俺がかけた方が勝つと思うな」


「いや。今良い勝負らしいぞ?」


インカムからの情報は正しかった。
大柄な男が二人、前から歩いてきた。


この豪邸の見張り番だ。
二人は、テレビ中継されている野球の話に夢中で、頭上でじっとしているルパンの存在には、気付く事はなかった。


「お前、ホントに後で覚えてろよ」


インカムに向かって、低い声で言ってやった。


『悪かったよ。次はもっと早く言うから』


チッと舌打ちをしながら、再び廊下に降り立ち、ゆっくりと立ち上がった。


「距離は?」


『あと、5メートル』


「了解」


ルパンは素早く移動し、目当ての場所まで急いだ。


『ライト。ここの暗号、わかるの?』


インカムから聞こえてきた別の声。


先ほど頭上に見えた黒い影の人物からだった。

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