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名探偵 レニー
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2.
世界的に有名な窃盗団「knock」を消滅させようと、各国で特別チームが作られた。
ここ、マザルス地区にも「knock」対策として、警察所内に、特別チームが作られた。
「おい!また奴らが現れたぞ!緊急会議だ!集まれ!」
タバコの煙が充満している部屋から、むさ苦しいほどの男たちがバラバラと出て来た。
「今度は、どこが襲われたんですか?」
オーエンは、もたもたと机の上を片付けながら、向かいにいるひげ面の男に話しかけた。
「アイザック邸だそうだ」
ひげ面の男は、彼の片づけをしている姿をみながら言った。
「アイザック邸って、また大胆な事をしましたね」
見られている事も知らずに、のろのろ片づけをしているオーエンの手を持ち、ひげ面の男は「お前、片づけるの下手クソだな」といった。
オーエンは、握られている手を見て苦笑いしながら「あ、それで?これからどうするんですか?もちろん彼らの姿なんてないんですよね?」
握られていた手をそっとほどき、両手をこすりながら聞いた。
ひげ面の男は、にやりと笑いながら「もちろん、姿かたちもないが、奴ら、手掛かりを残していった。というよりか、メッセージだな」とオーエンの肩をガシガシ叩きながら言った。
叩かれた場所をこすりながら、オーエンは、キョロキョロと辺りを見回した。
「ん?あ?なんだ?どうした」
「いや、あの、その、メッセージってなんですか?」
話をそらすように言うと、ひげ面の男は、唸りながら口髭をなでた。
「【KNOCK参上!アイザック邸のお宝を頂戴する ルパン】とな。おかしな話、アイザック氏は、盗まれたものなどないと言ってるんだ。不思議だろう?」
ポカーンと口を開けたまま、オーエンは話を聞いていた。
「ルパンが、盗んで行ったものは一体なんだと思う?」
「いや、それは……」
「そんな事も分からないようでは、いくら先輩だろうが、このチームには置いておけないですね」
オーエンとひげ面の男は、声のする方を見た。
「レニー・サリマン……」
苦虫を噛み潰したように嫌な顔をしたひげ面の男。
「やっと来た」
満面な笑みで、声の主を迎えるオーエン。
対象的な二人に見られながら、ツカツカと部屋に入り込んでくるレニーと呼ばれた女。
「既に警察の人間でもないお前が、よくここを出入りできるもんだ」
「失礼ね。私は、あたたち警察に呼ばれて来たっていうのに。大体、あなたたちがもっとしっかりしていればあんな馬鹿げた窃盗野郎なんて、簡単に捕まえられるのに」
「探偵風情が……」
言葉に詰まったひげ面の男は、それだけ言ってその場を離れて行った。
つんっとした顔で、ひげ面の男を見送ると、くるりと向きを変え、オーエンの顔を見た。
「先輩」レニーは、ため息交じりにオーエンを呼んだ。
「え、なに?」
「私は、あいつをずっと追ってますけど、そんなんじゃコケにされるだけですよ?」
むっとした表情でオーエンに近づき、オーエンが持っている資料をひったくった。
「と、どういう意味だよ」
「あ、みんな集まったみたいですね」
レニーは、ひったくった資料をひらひらさせながら、話をそらすように、オーエンの前を通り過ぎて行ってしまった。
世界的に有名な窃盗団「knock」を消滅させようと、各国で特別チームが作られた。
ここ、マザルス地区にも「knock」対策として、警察所内に、特別チームが作られた。
「おい!また奴らが現れたぞ!緊急会議だ!集まれ!」
タバコの煙が充満している部屋から、むさ苦しいほどの男たちがバラバラと出て来た。
「今度は、どこが襲われたんですか?」
オーエンは、もたもたと机の上を片付けながら、向かいにいるひげ面の男に話しかけた。
「アイザック邸だそうだ」
ひげ面の男は、彼の片づけをしている姿をみながら言った。
「アイザック邸って、また大胆な事をしましたね」
見られている事も知らずに、のろのろ片づけをしているオーエンの手を持ち、ひげ面の男は「お前、片づけるの下手クソだな」といった。
オーエンは、握られている手を見て苦笑いしながら「あ、それで?これからどうするんですか?もちろん彼らの姿なんてないんですよね?」
握られていた手をそっとほどき、両手をこすりながら聞いた。
ひげ面の男は、にやりと笑いながら「もちろん、姿かたちもないが、奴ら、手掛かりを残していった。というよりか、メッセージだな」とオーエンの肩をガシガシ叩きながら言った。
叩かれた場所をこすりながら、オーエンは、キョロキョロと辺りを見回した。
「ん?あ?なんだ?どうした」
「いや、あの、その、メッセージってなんですか?」
話をそらすように言うと、ひげ面の男は、唸りながら口髭をなでた。
「【KNOCK参上!アイザック邸のお宝を頂戴する ルパン】とな。おかしな話、アイザック氏は、盗まれたものなどないと言ってるんだ。不思議だろう?」
ポカーンと口を開けたまま、オーエンは話を聞いていた。
「ルパンが、盗んで行ったものは一体なんだと思う?」
「いや、それは……」
「そんな事も分からないようでは、いくら先輩だろうが、このチームには置いておけないですね」
オーエンとひげ面の男は、声のする方を見た。
「レニー・サリマン……」
苦虫を噛み潰したように嫌な顔をしたひげ面の男。
「やっと来た」
満面な笑みで、声の主を迎えるオーエン。
対象的な二人に見られながら、ツカツカと部屋に入り込んでくるレニーと呼ばれた女。
「既に警察の人間でもないお前が、よくここを出入りできるもんだ」
「失礼ね。私は、あたたち警察に呼ばれて来たっていうのに。大体、あなたたちがもっとしっかりしていればあんな馬鹿げた窃盗野郎なんて、簡単に捕まえられるのに」
「探偵風情が……」
言葉に詰まったひげ面の男は、それだけ言ってその場を離れて行った。
つんっとした顔で、ひげ面の男を見送ると、くるりと向きを変え、オーエンの顔を見た。
「先輩」レニーは、ため息交じりにオーエンを呼んだ。
「え、なに?」
「私は、あいつをずっと追ってますけど、そんなんじゃコケにされるだけですよ?」
むっとした表情でオーエンに近づき、オーエンが持っている資料をひったくった。
「と、どういう意味だよ」
「あ、みんな集まったみたいですね」
レニーは、ひったくった資料をひらひらさせながら、話をそらすように、オーエンの前を通り過ぎて行ってしまった。
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