THIEF -シーフ-

謎の少女、エリカ

4-4

「何故、エリカ・ベンジャミンをさらったの？！！！」

 隙を狙って、立ち去ろうとしたライトに向かってレニーは叫んだ。


 「そりゃ、俺が聞きたいね」



 意味不明な言葉を残したライトは、手のひらをレニーたちに見せた。


 「なんだ？」


オーエンが目を細めてライトの手を見た。


 隣にいる捜査員は、双眼鏡をレニーに渡した。


ライトは、広げていた手のひらを閉じ、拳を作るとにやりと笑った。


次の瞬間には警報機が一斉に鳴り響き、白い煙が倉庫から出てきた。


「俺は、エリカをさらったりしていない」


 煙で視界を遮られている中耳元でライトの声が聞こえ、レニーは目を押さえながら振り返った。

向かいの建物にいたはずのライトがいつの間にか自分の背後に立っている。

だが視界は最悪自分の動きも封じ込められている状態ではライトを捕らえることは出来ない。

様々な事を考えながら影のように見える男を見上げていると「そうだな・・・あのポスターに次のヒントがある」そう言い残しライトは姿を消した。


 視界がようやく開けた頃には、悶絶している捜査員の姿だけになっていた。


 「一体どういう事・・・」


レニーは、目に涙をためながら拳銃をしまった。



 「大丈夫か？」


 「先輩。どこ行ってたんですか」


 「目を洗いに・・・それより、ルパンを逃がしたな・・・」


オーエンは、目をこすりながら言った。



 「そうですね・・・」


レニーは頼りない先輩を横目にため息を漏らした。