THIEF -シーフ-

SIVA

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事件発生

5-1

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5.


 数十分後、ようやくライトたちが帰還した。


 「遅いわ!何もたもたしてたのよ!」


 苛立ちがピークに達していたベスは、思いのままをライトたちに当たり散らした。


 三人は、しばらく黙ってベスの怒りが収まるのを待った。


 「ライト、あんたが原因だな」


チップが去り際に耳打ちした。


 「何で俺が・・・」

目頭に指を当てながら呆れた様子のライトはベスがこちらを睨みつけてきていることに気がつきながらも、視線を合わせないようにしていた。


 「彼女の事、ウォルトとベスには黙ってただろ?」


 「それがなんだ」


ライトは、チップを見下ろした。


チップはライトを見上げその冷たすぎる視線を見て、自分の発言に後悔した。

「い、いや・・・その・・・だから、エリカの事は、黙ってただろ?」


 「だから?」


 「だから、その・・・」


 もう一度同じことを言ってみたものの、相手の気迫に押し負け涙がこぼれそうになりながら今にも食べたものを吐き出しそうなくらい、胃が締め付けられた。


ライトは、チップの青ざめていく顔を見てフッと笑い彼の肩を持つと「お前には話しただろ?」と言って、その場を後にした。



 「そ、そりゃ、あの状況じゃあ・・・」



チップは、どっとため息を漏らした。


隣でひっそりと話を聞いていたウォルトは「チップ、お前からかわれたな」とにやけながら脇をつついた。
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