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事件発生
5-4
しおりを挟む「仕方なかったんだよ。チップの誘導の仕方が悪くて、忍び込んだところに彼女がいた」
「あの子が家にいたの?だって、チップがあの日はクルーザーでプライベートパーティーだって・・・」
「あれは、嘘の情報だった」
ベスは呆れた顔でソファーに座り込んだ。
「話に割って入るようだけど、その情報は間違ってはいないわよ」
後ろから声が聞こえ、ベスは勢いよく立ちあがった。
ライトは、何も言わず視線をやった。
「ありがとう。ルパン。私を連れ出してくれて」
「どういたしまして」
素っ気ないライトの態度だが、満足げなエリカの表情を見て、ベスの息はまた上がってきた。
「ここでなら、ちゃんと説明してくれるんでしょうね?」
腕を組んで睨みを利かせるベスに対し、冷静なエリカはベスを見上げるように大きな目を彼女に向けながら「私がお願いしたの。パパから逃げたくて誘拐してほしいと」髪の毛をかき分けながら話をした。
「それで、天下のKNOCKのリーダーがあっさりと連れてきたわけ」
呆れた声を上げるベス。
とぼけるように眉をあげるだけのライトは
「ちゃんと、お宝も渡したわ」
ライトは、右の手のひらをベスに見せるとパッと反対の手からそのお宝を出した。
眉を上げライトの方を見ながら、手の上に乗っている箱に近づいた。
ライトは焦らすように箱を持ち上げベスの目を見た。
ムスッとした顔でライトを見たベスは「何よ」と低い声で言った。
「彼女がここにいる事についてのお前の意見」そう言って、箱をベスの目の前に置いた。
ベスは、大きくため息をつきエリカに視線をやった。
「仕方ないじゃない。もう、ここにいるんだから。それに私がいくら意見を言ったところで、あなたのその頭の中では何か考えがあるんでしょう?」そう言って、ライトから箱を受け取った。
ライトは、エリカを見ると小さく肩を上げた。
エリカは満面な笑みを浮かべてブイサインをした。
「俺は、知らないぞ」チップは、そう言って部屋を出て行った。
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