THIEF -シーフ-

事件発生

5-15

チップは、体を起こし、その様子をうかがっていたが、彼のところから見えるのは、熱感知の画像だけだった。



 「ベスのやつ、何やってんだ？」




 首をかしげ、隣のモニターに目をやった。



 「ウォルト？」



 隣のモニターには、はっきりと、ウォルトが写っていた。



 「あぁ・・えっと・・・ウォルト？」



チップは、ウォルトに連絡を入れた。



 『どうした？』



 「そりゃこっちのセリフ。一体そっちはどうなってんの？」



 『どういう事だ？』



 「さっきから、ライトからの連絡が入らない。それに、ベスに言われた部屋から、誰か知らないけど、出てきたみたいだ。どうみても、ライトじゃない」



『ライトからの連絡が途絶えたのは、さっきだろ。今、ベスと、ライトがいる場所に向かってる』




 「向かうのは良いけど、気をつけた方がいいね。俺たち以外に誰かいるみたいだ」




 『そいつの行動を逐一報告してくれ』



 「了解」




チップは、部屋から出てきた謎の人物から目を離すことなく、キーボードをたたいた。



 「ベス。現在地確認。もう少しで、ライトがいると思われる部屋だ」



 『了解。彼の様子は？』



 「熱感知的に、そこに何かがある、いる、としか言えない」




 『ライトか確認できる方法は？』



 「今のところ、皆無」




 『すぐに探して』



チップは、一瞬返答に困った。



だがすぐに「出来る限りやってみる」と返答した。