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あいつを乗っ取った怪物―モノ―
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───────昼食が終わって昼寝をしていた私は、上の階から聞こえた叫び声で目が覚めた。何事だ...?階段を使わずに瞬間移動し、声がする方へ向かった。
私がそこで見たものは、予想だにしていないものだった。そこにいた文の身体は軽く痙攣し、あの若干の幼さを宿した目は釣り上がり、別人...否、別のモノになっていた。人、という言葉を使うにはあまりにも纏っているオーラが違った。見た目こそ人間のそれだが、中身は正に「怪物」だ。
「文...。」 返事は無かった。近づこうとした時だった。
ビュッ!
顔の真横を何かがかすめ、後ろの壁が少し溶けた。そうか……
「そっちがその気なら仕方ない。悪く思うなよ!」私は床を蹴って飛びかかった。すると文…いや、文の身体を借りた怪物もそれに呼応するように殴りかかってくる。拳を避け、首の下に手刀を落とす。怪物が上半身を落として踵で蹴り上げる… 思ったより激しい戦闘になりそうだ。私はこいつと攻防している間に考えた。相手がどんな怪物か知らないが、奴は恐らく元々文の身体に潜んでいたのが暴走して、身体を乗っ取ったのだろう。ならやる事は1つだ。 奴を文の身体から引き剥がす!
「があ"あ"あ"あ"!!」 怪物が雄叫びを上げて襲いかかってきた。先ずは動きを止めなくては…。
「舞い躍る剣!」
奴を目がけて無数の刃がスピードを上げて飛んでいく。怪物は...文の頭から星型が繋がったようなものを振り回し、それを全て叩き落した。今のは怪物の体の一部だろう。物理攻撃は効かないらしい...ならば!
「焔の波!」
部屋の中一時的に炎が包む。この炎は、任意の対象だけを燃やし、他は一切焼かれないようになっている。これなら!
だが、そんな希望も虚しく、奴は少し服が焦げた程度で立ち上がった...。クソッ!この時ほど、ある能力が使えないことを恨んだ事はない。もう気づいた者も多いと思うが、あらゆる能力を使える中、一つだけ出来ない事がある。そう...時間を操ることだ。時間の流れをを速めたり、遅くしたり、止めたり、といった類のものが一切使えないのである。これでは防戦の一方だ...
ザシュッ!
真横にあった棚が真っ二つに斬れた。文の頭から例の星型が出て、威嚇するかのように動いている。斬撃も使えたのか...なら風圧で叩きつけるか?
「風の大砲!」
かなりの強風が怪物を襲ったはずだ。
......やったか?
そう思った瞬間。 真後ろからあいつが飛びかかってきた。しまった...!あいつは風圧で叩きつけられるどころか、その風で吹っ飛んだ壁の欠片を利用して私の視界から姿を眩まし、うまい具合に背後を取ったのだ!
もうダメだ...。私は、防御する余地もなく、思わず身構えて目をつぶった......
私がそこで見たものは、予想だにしていないものだった。そこにいた文の身体は軽く痙攣し、あの若干の幼さを宿した目は釣り上がり、別人...否、別のモノになっていた。人、という言葉を使うにはあまりにも纏っているオーラが違った。見た目こそ人間のそれだが、中身は正に「怪物」だ。
「文...。」 返事は無かった。近づこうとした時だった。
ビュッ!
顔の真横を何かがかすめ、後ろの壁が少し溶けた。そうか……
「そっちがその気なら仕方ない。悪く思うなよ!」私は床を蹴って飛びかかった。すると文…いや、文の身体を借りた怪物もそれに呼応するように殴りかかってくる。拳を避け、首の下に手刀を落とす。怪物が上半身を落として踵で蹴り上げる… 思ったより激しい戦闘になりそうだ。私はこいつと攻防している間に考えた。相手がどんな怪物か知らないが、奴は恐らく元々文の身体に潜んでいたのが暴走して、身体を乗っ取ったのだろう。ならやる事は1つだ。 奴を文の身体から引き剥がす!
「があ"あ"あ"あ"!!」 怪物が雄叫びを上げて襲いかかってきた。先ずは動きを止めなくては…。
「舞い躍る剣!」
奴を目がけて無数の刃がスピードを上げて飛んでいく。怪物は...文の頭から星型が繋がったようなものを振り回し、それを全て叩き落した。今のは怪物の体の一部だろう。物理攻撃は効かないらしい...ならば!
「焔の波!」
部屋の中一時的に炎が包む。この炎は、任意の対象だけを燃やし、他は一切焼かれないようになっている。これなら!
だが、そんな希望も虚しく、奴は少し服が焦げた程度で立ち上がった...。クソッ!この時ほど、ある能力が使えないことを恨んだ事はない。もう気づいた者も多いと思うが、あらゆる能力を使える中、一つだけ出来ない事がある。そう...時間を操ることだ。時間の流れをを速めたり、遅くしたり、止めたり、といった類のものが一切使えないのである。これでは防戦の一方だ...
ザシュッ!
真横にあった棚が真っ二つに斬れた。文の頭から例の星型が出て、威嚇するかのように動いている。斬撃も使えたのか...なら風圧で叩きつけるか?
「風の大砲!」
かなりの強風が怪物を襲ったはずだ。
......やったか?
そう思った瞬間。 真後ろからあいつが飛びかかってきた。しまった...!あいつは風圧で叩きつけられるどころか、その風で吹っ飛んだ壁の欠片を利用して私の視界から姿を眩まし、うまい具合に背後を取ったのだ!
もうダメだ...。私は、防御する余地もなく、思わず身構えて目をつぶった......
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