7 / 9
決着、そして...
しおりを挟む
バキッ!
確実に殺られたと思っていた私は攻撃が来ないことを不思議に思い、顔を上げた。視界が白い布で覆われている。
「ひとつめ様!助太刀に来ました!」
「すまないパイロン...。だが何故お前がここに?」
私を庇うようにして立っているパイロンの後ろに、文の身体を乗っ取った怪物がよろめいているのが見えた。
「これだけ暴れていれば来ない者はいません。私が 異次元に落ちてきた時に手に入れた能力で時間を稼ぎますから、貴方は別場所で体制を立て直して下さい!」
そう言うとパイロンは、再び戦闘態勢に戻った。私でさえ苦戦したのだから別場所に行くわけにはいかず、その場で回復能力を使う。
パイロンの能力は「結界師」...名前こそ防御に突出した能力に見えるが、こいつの結界は相手にかけ、拘束することもできるのだ。こんな、戦闘にしか使わない能力を私達が持っているのは、異次元で今回のように暴走した怪物を止めるために次元側が動いたのだろう...。
「閉じ込めなさい!」
パイロンの声が聞こえた。驚いたな。私でも捕らえられなかったあの怪物を縛り上げるとは...。
「凄いな...。よくやってくれたパイロン!」
今のうちに文の身体から怪物を出そう...と思ったのも束の間。
パリン!とガラスが割れるような音と共に、結界が砕け散った。しかも一時的に拘束されていたので逆上している...。
「パイロン、チビ人外達を連れて屋敷の外に出ていなさい」
「そ、そんな...恩人である貴方だけを戦わせて逃げるなんてできません!」
「逃げるんじゃない。今あいつらを助けられるのはお前しかいないだろう?」
パイロンの気持ちは嬉しいが、これ以上居ては危険である。いくらもう死んでいるとはいえ、こちらの次元でもひどい怪我をする可能性は充分あるのだ。
「かしこまりました...どうかご無事で...!」
そう言ってパイロンは部屋を出て行った。
私は再び怪物に向き直る。拘束系の能力は使えない事はないが、肉体的、精神的な消耗が激しい為、外したら終わりなのである。だから極力使わずに済ませようと思っていたが...もう他に方法は無いようだ。
「縛りつけろ!拘束!」
大きな輪のようなものが3つ、文の身体に向かって唸りをあげて飛んでいく。怪物はやはり避けるが、今度はそうはいかない。この能力は追尾式だ。放ったあとも私の意のままに操り、飛ばすことが出来る。
ガチャン!という音がして、輪が3つとも奴にかかり、その身体を締め上げる。これで終わるわけではない。力を込めた指先で操り、輪を身体に押し込める。この能力の1番の特徴は、対象を内側から拘束できることだ。だからさっきのように力ずくで破られる事もない。文の身体を乗っ取った怪物はしばらくそれを外そうともがいていたが、やがて能力が効いたらしく、その場に倒れ込んだ。
意識を無くした文の身体を担いで外に出た。テレパシーでパイロンとチビ人外達を呼ぶ。
(パイロン、タマゴ、USA、セバスチャン。治療の時間だ。こっちは片付いた。)
そう送ると、数分も経たない内にパイロンがチビ人外達を連れて来た。
「よくぞご無事で居てくれました!先程は部屋があんなに荒れていたからどうなることかと...」
「あぁ。何とかなった。チビ人外達の事、ありがとな。さて...治療を開始する。パイロン達は文の記憶と血を確保してくれ。」
すると彼らは各々の能力で作業を始める。
「ごめんな、少々手荒くするぞ...。」
私はそう言って、文の身体に手を突き刺した。
確実に殺られたと思っていた私は攻撃が来ないことを不思議に思い、顔を上げた。視界が白い布で覆われている。
「ひとつめ様!助太刀に来ました!」
「すまないパイロン...。だが何故お前がここに?」
私を庇うようにして立っているパイロンの後ろに、文の身体を乗っ取った怪物がよろめいているのが見えた。
「これだけ暴れていれば来ない者はいません。私が 異次元に落ちてきた時に手に入れた能力で時間を稼ぎますから、貴方は別場所で体制を立て直して下さい!」
そう言うとパイロンは、再び戦闘態勢に戻った。私でさえ苦戦したのだから別場所に行くわけにはいかず、その場で回復能力を使う。
パイロンの能力は「結界師」...名前こそ防御に突出した能力に見えるが、こいつの結界は相手にかけ、拘束することもできるのだ。こんな、戦闘にしか使わない能力を私達が持っているのは、異次元で今回のように暴走した怪物を止めるために次元側が動いたのだろう...。
「閉じ込めなさい!」
パイロンの声が聞こえた。驚いたな。私でも捕らえられなかったあの怪物を縛り上げるとは...。
「凄いな...。よくやってくれたパイロン!」
今のうちに文の身体から怪物を出そう...と思ったのも束の間。
パリン!とガラスが割れるような音と共に、結界が砕け散った。しかも一時的に拘束されていたので逆上している...。
「パイロン、チビ人外達を連れて屋敷の外に出ていなさい」
「そ、そんな...恩人である貴方だけを戦わせて逃げるなんてできません!」
「逃げるんじゃない。今あいつらを助けられるのはお前しかいないだろう?」
パイロンの気持ちは嬉しいが、これ以上居ては危険である。いくらもう死んでいるとはいえ、こちらの次元でもひどい怪我をする可能性は充分あるのだ。
「かしこまりました...どうかご無事で...!」
そう言ってパイロンは部屋を出て行った。
私は再び怪物に向き直る。拘束系の能力は使えない事はないが、肉体的、精神的な消耗が激しい為、外したら終わりなのである。だから極力使わずに済ませようと思っていたが...もう他に方法は無いようだ。
「縛りつけろ!拘束!」
大きな輪のようなものが3つ、文の身体に向かって唸りをあげて飛んでいく。怪物はやはり避けるが、今度はそうはいかない。この能力は追尾式だ。放ったあとも私の意のままに操り、飛ばすことが出来る。
ガチャン!という音がして、輪が3つとも奴にかかり、その身体を締め上げる。これで終わるわけではない。力を込めた指先で操り、輪を身体に押し込める。この能力の1番の特徴は、対象を内側から拘束できることだ。だからさっきのように力ずくで破られる事もない。文の身体を乗っ取った怪物はしばらくそれを外そうともがいていたが、やがて能力が効いたらしく、その場に倒れ込んだ。
意識を無くした文の身体を担いで外に出た。テレパシーでパイロンとチビ人外達を呼ぶ。
(パイロン、タマゴ、USA、セバスチャン。治療の時間だ。こっちは片付いた。)
そう送ると、数分も経たない内にパイロンがチビ人外達を連れて来た。
「よくぞご無事で居てくれました!先程は部屋があんなに荒れていたからどうなることかと...」
「あぁ。何とかなった。チビ人外達の事、ありがとな。さて...治療を開始する。パイロン達は文の記憶と血を確保してくれ。」
すると彼らは各々の能力で作業を始める。
「ごめんな、少々手荒くするぞ...。」
私はそう言って、文の身体に手を突き刺した。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる