3 / 15
第3話 薬師令嬢、妹を実験台にする(未遂)
「姉様ああああ!」
平和な朝の実験が、妹の金切り声で中断された。
「あら、ナルラ。元気そうね。隣国まではるばるいらっしゃい」
私は蒸留器から目を離さずに答えた。今は繊細な抽出作業の真っ最中だ。
「元気そうね、じゃありません! こ、これは、どういうことですか!」
ナルラが研究室に乗り込んできた。薄桃色の髪を振り乱し、高級なドレスの裾を引きずりながら。なにかしらの封書を持って。
「どういうことって、何が?」
「とぼけないでください! シュレツ様を誑かしたでしょう!」
「たぶらかす? 失礼ね。番になっただけよ。あなたたち風に言うと運命。うん、運命ってことなのよ」
軽くそう言うと、ナルラの顔が真っ赤になった。
「く、薬で! 薬で操ったんでしょう!」
「ふふふ……半分正解で半分不正解ね」
蒸留が終わったので、ナルラの方を向いた。
「確かに薬は使ったわ。でも、操ってはいない」
「嘘です! 私とシュレツ様は運命の——」
「運命? あらぁ? おかしいわね」
棚から資料を取り出す。
「これ、あなたとシュレツの、最新の相性診断結果よ。なんと相性度12%! 史上最低レベル!」
「じゅ、12%!?」
「そうよ。ほら、ちゃあんと、両国の専門機関で占ってるわよね? 印があるわよね?」
ナルラがよろめいた。ざまあみろ、と心の中で思う。
「あー、でも、第二王子とは番なんでしょ? そっちで満足しなさいよ」
「いやですぅ! シュレツ様も欲しい!」
「こ、こいつ……我が妹ながら……欲張りねぇ……」
呆れていると、扉が勢いよく開いた。
「ミーニェ! 大丈夫か!」
シュレツが血相を変えて飛び込んできた。
「あら、どうしたの?」
「ナルラが来たと聞いて——」
シュレツの視線が、ナルラを捉えた。とたんに、表情が冷たくなる。
「何の用だ」
「シュレツ様! これは誤解です! 姉が——」
「ミーニェは俺の番だが。文句があるなら俺に言え」
ピシャリと言われて、ナルラが怯んだ。しかし、すぐに涙目になって訴え始める。
「ひどいです! 私たちは、運命で結ばれていたはずなのに!」
「おまえに運命など感じたことはない」
「そんな……」
ナルラが崩れ落ちる。
「ナルラ、いい加減諦めなさい」
「うう、姉様が、私からシュレツ様を奪った!」
「はあ?」
今度は私がキレた。
「奪う? あなたが私を追放したんでしょう!? だいたいね、ナルラ! あなたには第二王子がいるでしょう!」
「それとこれとは別です!」
「別じゃない! 運命だっていうなら、ちゃんと彼を愛してあげなさいよ!」
「違うの! 私は欲しいだけなのっ! ああもう! こうなったらーー!」
ナルラが懐から何かを取り出した。
小瓶?
「げ。それ、まさか——」
「ええ、媚薬です! これをシュレツ様に飲ませれば——」
それを聞いたシュレツが厳しい顔をする。そしてナルラが小瓶を開けようとした瞬間——
「ふふふふふ……」
我慢できなくなった。研究者の血が騒ぐ。
「な、何を笑っているんです?」
「ナルラ、その媚薬、どこで手に入れたの?」
「や、闇市場で、最高級品を——」
「なるほどねぇ」
素早く小瓶を奪い取った。
「ちょっと! 返してください!」
「待って待って。品質チェックは大事よ」
スポイトで一滴取り、試験紙に垂らす。
「……あらら」
「な、何ですか?」
「残念! これ、ただの砂糖水に香料を混ぜた偽物よ」
「ええええ!?」
ナルラが青ざめた。
「しかも、香料の配合が下手。これじゃあ、媚薬どころか食欲減退剤ね」
「そ、そんな……大金を払ったのに……」
「ふふふ、可哀想に。じゃあ、本物の媚薬を見せてあげる」
「え?」
研究者魂に火がついた私は、棚から様々な薬品を取り出し始めた。
「ちょ、ちょっとまて、ミーニェ」
シュレツが慌てた声を上げるが、もう私は止まらない。
「いい? ナルラ。本物の媚薬っていうのはね——」
カチャカチャと調合を始める。
「まず、ダマスクロベリアの精油をベースに、イラーニィエを少量」
「は、はあ……」
「そこにマンドラゴラの根を粉末にしたものを0.3グラム!」
「ま、まんど……?」
「仕上げに月光火蝶の鱗粉を一つまみ!」
シェイクして、完成。
ピンク色に輝く、妖艶な液体。
「これが本物よ!」
にっこり笑うと、ナルラが震え上がった。
「え、ちょ、まさかーー!? やだぁ! やだ、助けてぇー! うわぁああん」
「ミーニェ、そろそろ許してやれ」
シュレツが苦笑しながら止めに入った。
「あら、もう? まだ『髪が虹色になる薬』の説明もしてないのに」
「髪が虹色!?」
ナルラは完全に腰が引けていた。
「姉様は、やっぱり恐ろしい人です……っ!うわぁあーーーーん!」
ナルラは転がるように研究室から逃げ出した。
「えぇ~ん!」という泣き声が、廊下の向こうから聞こえる。
「……やりすぎたかな?」
「うん……いや、ちょうど良かったのかもしれないな」
シュレツが私を抱き寄せた。
「あれくらいやらないと、ナルラは諦めなかっただろう」
「そう?」
「ああ。それに——」
額にキスをされた。
「愛されていると実感できて、とても今、嬉しいんだ。本当に、君のことが愛おしいよ」
「も、もう……すぐ愛おしいって言わないで」
「事実だから仕方ない」
真顔で言われて、顔が熱くなる。
「そういえば、さっきの媚薬」
「ん?」
「あれ、本当に効くのか?」
シュレツが興味深そうに、ピンクの液体を見ている。
「効くわよ。でも——」
いたずらっぽく笑った。
「私たちには必要ないでしょう?」
「……確かに」
シュレツも笑った。
「君といるだけで、十分だからな」
「……そうね」
顔をそらす。でも、内心嬉しかった。
「さ、実験の続きをしなきゃ」
「ああ。俺も隣で仕事をしよう」
「隣の部屋でしょ?」
「いや、ここで」
「だから研究室で仕事しないで!」
いつもの押し問答が始まった。でも、これも悪くない。騒がしくも幸せな、薬師と騎士団長の日々は続く。
平和な朝の実験が、妹の金切り声で中断された。
「あら、ナルラ。元気そうね。隣国まではるばるいらっしゃい」
私は蒸留器から目を離さずに答えた。今は繊細な抽出作業の真っ最中だ。
「元気そうね、じゃありません! こ、これは、どういうことですか!」
ナルラが研究室に乗り込んできた。薄桃色の髪を振り乱し、高級なドレスの裾を引きずりながら。なにかしらの封書を持って。
「どういうことって、何が?」
「とぼけないでください! シュレツ様を誑かしたでしょう!」
「たぶらかす? 失礼ね。番になっただけよ。あなたたち風に言うと運命。うん、運命ってことなのよ」
軽くそう言うと、ナルラの顔が真っ赤になった。
「く、薬で! 薬で操ったんでしょう!」
「ふふふ……半分正解で半分不正解ね」
蒸留が終わったので、ナルラの方を向いた。
「確かに薬は使ったわ。でも、操ってはいない」
「嘘です! 私とシュレツ様は運命の——」
「運命? あらぁ? おかしいわね」
棚から資料を取り出す。
「これ、あなたとシュレツの、最新の相性診断結果よ。なんと相性度12%! 史上最低レベル!」
「じゅ、12%!?」
「そうよ。ほら、ちゃあんと、両国の専門機関で占ってるわよね? 印があるわよね?」
ナルラがよろめいた。ざまあみろ、と心の中で思う。
「あー、でも、第二王子とは番なんでしょ? そっちで満足しなさいよ」
「いやですぅ! シュレツ様も欲しい!」
「こ、こいつ……我が妹ながら……欲張りねぇ……」
呆れていると、扉が勢いよく開いた。
「ミーニェ! 大丈夫か!」
シュレツが血相を変えて飛び込んできた。
「あら、どうしたの?」
「ナルラが来たと聞いて——」
シュレツの視線が、ナルラを捉えた。とたんに、表情が冷たくなる。
「何の用だ」
「シュレツ様! これは誤解です! 姉が——」
「ミーニェは俺の番だが。文句があるなら俺に言え」
ピシャリと言われて、ナルラが怯んだ。しかし、すぐに涙目になって訴え始める。
「ひどいです! 私たちは、運命で結ばれていたはずなのに!」
「おまえに運命など感じたことはない」
「そんな……」
ナルラが崩れ落ちる。
「ナルラ、いい加減諦めなさい」
「うう、姉様が、私からシュレツ様を奪った!」
「はあ?」
今度は私がキレた。
「奪う? あなたが私を追放したんでしょう!? だいたいね、ナルラ! あなたには第二王子がいるでしょう!」
「それとこれとは別です!」
「別じゃない! 運命だっていうなら、ちゃんと彼を愛してあげなさいよ!」
「違うの! 私は欲しいだけなのっ! ああもう! こうなったらーー!」
ナルラが懐から何かを取り出した。
小瓶?
「げ。それ、まさか——」
「ええ、媚薬です! これをシュレツ様に飲ませれば——」
それを聞いたシュレツが厳しい顔をする。そしてナルラが小瓶を開けようとした瞬間——
「ふふふふふ……」
我慢できなくなった。研究者の血が騒ぐ。
「な、何を笑っているんです?」
「ナルラ、その媚薬、どこで手に入れたの?」
「や、闇市場で、最高級品を——」
「なるほどねぇ」
素早く小瓶を奪い取った。
「ちょっと! 返してください!」
「待って待って。品質チェックは大事よ」
スポイトで一滴取り、試験紙に垂らす。
「……あらら」
「な、何ですか?」
「残念! これ、ただの砂糖水に香料を混ぜた偽物よ」
「ええええ!?」
ナルラが青ざめた。
「しかも、香料の配合が下手。これじゃあ、媚薬どころか食欲減退剤ね」
「そ、そんな……大金を払ったのに……」
「ふふふ、可哀想に。じゃあ、本物の媚薬を見せてあげる」
「え?」
研究者魂に火がついた私は、棚から様々な薬品を取り出し始めた。
「ちょ、ちょっとまて、ミーニェ」
シュレツが慌てた声を上げるが、もう私は止まらない。
「いい? ナルラ。本物の媚薬っていうのはね——」
カチャカチャと調合を始める。
「まず、ダマスクロベリアの精油をベースに、イラーニィエを少量」
「は、はあ……」
「そこにマンドラゴラの根を粉末にしたものを0.3グラム!」
「ま、まんど……?」
「仕上げに月光火蝶の鱗粉を一つまみ!」
シェイクして、完成。
ピンク色に輝く、妖艶な液体。
「これが本物よ!」
にっこり笑うと、ナルラが震え上がった。
「え、ちょ、まさかーー!? やだぁ! やだ、助けてぇー! うわぁああん」
「ミーニェ、そろそろ許してやれ」
シュレツが苦笑しながら止めに入った。
「あら、もう? まだ『髪が虹色になる薬』の説明もしてないのに」
「髪が虹色!?」
ナルラは完全に腰が引けていた。
「姉様は、やっぱり恐ろしい人です……っ!うわぁあーーーーん!」
ナルラは転がるように研究室から逃げ出した。
「えぇ~ん!」という泣き声が、廊下の向こうから聞こえる。
「……やりすぎたかな?」
「うん……いや、ちょうど良かったのかもしれないな」
シュレツが私を抱き寄せた。
「あれくらいやらないと、ナルラは諦めなかっただろう」
「そう?」
「ああ。それに——」
額にキスをされた。
「愛されていると実感できて、とても今、嬉しいんだ。本当に、君のことが愛おしいよ」
「も、もう……すぐ愛おしいって言わないで」
「事実だから仕方ない」
真顔で言われて、顔が熱くなる。
「そういえば、さっきの媚薬」
「ん?」
「あれ、本当に効くのか?」
シュレツが興味深そうに、ピンクの液体を見ている。
「効くわよ。でも——」
いたずらっぽく笑った。
「私たちには必要ないでしょう?」
「……確かに」
シュレツも笑った。
「君といるだけで、十分だからな」
「……そうね」
顔をそらす。でも、内心嬉しかった。
「さ、実験の続きをしなきゃ」
「ああ。俺も隣で仕事をしよう」
「隣の部屋でしょ?」
「いや、ここで」
「だから研究室で仕事しないで!」
いつもの押し問答が始まった。でも、これも悪くない。騒がしくも幸せな、薬師と騎士団長の日々は続く。
あなたにおすすめの小説
追放された聖女は、辺境で狼(もふもふ)とカフェを開く
橘 あやめ
ファンタジー
――もう黙らない。追放された聖女は、もふもふの白狼と温かい居場所を見つける――
十二年間、大聖堂で祈り続けた。
病人を癒し、呪いを祓い、飢饉のときは畑に恵みの光を降ろす。
その全てを、妹の嘘泣きひとつで奪われた。
献金横領の濡れ衣を着せられ、聖女の座を追われたアーシャ。
荷物は革鞄ひとつ。行く宛てもない。
たどり着いた辺境の町で、アーシャは小さなハーブティーのカフェを開くことに。
看板は小枝の炭で手作り。
焼き菓子は四度目でようやく成功。
常連もできて、少しずつ「自分の居場所」が生まれていく――。
そんなカフェに夜ごと現れるのは、月光のように美しい銀色の狼。
もふもふで、不愛想で、でも何かとアーシャのことを助けてくれる。
やがて、穏やかな日々を壊しに――妹が現れる。
※追放聖女のカフェ開業もの(もふもふつき)です!ハッピーエンド!
家族から虐げられた令嬢は冷血伯爵に嫁がされる〜売り飛ばされた先で温かい家庭を築きます〜
香木陽灯
恋愛
「ナタリア! 廊下にホコリがたまっているわ! きちんと掃除なさい」
「お姉様、お茶が冷めてしまったわ。淹れなおして。早くね」
グラミリアン伯爵家では長女のナタリアが使用人のように働かされていた。
彼女はある日、冷血伯爵に嫁ぐように言われる。
「あなたが伯爵家に嫁げば、我が家の利益になるの。あなたは知らないだろうけれど、伯爵に娘を差し出した家には、国王から褒美が出るともっぱらの噂なのよ」
売られるように嫁がされたナタリアだったが、冷血伯爵は噂とは違い優しい人だった。
「僕が世間でなんと呼ばれているか知っているだろう? 僕と結婚することで、君も色々言われるかもしれない。……申し訳ない」
自分に自信がないナタリアと優しい冷血伯爵は、少しずつ距離が近づいていく。
※ゆるめの設定
※他サイトにも掲載中
【完結】辺境伯の溺愛が重すぎます~追放された薬師見習いは、領主様に囲われています~
夢宮るか
恋愛
王都の薬師ギルドで見習いとして働いていたアディは、先輩の陰謀により濡れ衣を着せられ追放される。絶望の中、辺境の森で魔獣に襲われた彼女を救ったのは、「氷の辺境伯」と呼ばれるルーファスだった。彼女の才能を見抜いたルーファスは、アディを専属薬師として雇用する。
役立たずと追放された令嬢ですが、極寒の森で【伝説の聖獣】になつかれました〜モフモフの獣人姿になった聖獣に、毎日甘く愛されています〜
腐ったバナナ
恋愛
「魔力なしの役立たず」と家族と婚約者に見捨てられ、極寒の魔獣の森に追放された公爵令嬢アリア。
絶望の淵で彼女が出会ったのは、致命傷を負った伝説の聖獣だった。アリアは、微弱な生命力操作の能力と薬学知識で彼を救い、その巨大な銀色のモフモフに癒やしを見いだす。
しかし、銀狼は夜になると冷酷無比な辺境領主シルヴァンへと変身!
「俺の命を救ったのだから、君は俺の永遠の所有物だ」
シルヴァンとの契約結婚を受け入れたアリアは、彼の強大な力を後ろ盾に、冷徹な知性で王都の裏切り者たちを周到に追い詰めていく。
政略結婚なのに、陽キャ辺境伯の溺愛が子ウサギ系令嬢を狂気で満たす甘い檻に閉じ込めた
宮野夏樹
恋愛
───政略結婚。それは退屈な貴族社会で、唯一の娯楽でもある。
子兎のように愛らしく小悪魔じみた伯爵令嬢、フィオナ・シャルメリーズは、東部辺境伯レオナール・エスティネルとの婚姻を命じられる。
噂によれば、彼は陽気で社交的な美丈夫。だが過去には、愛しすぎて一人の令嬢を“壊した”という黒い噂もあった。
けれどフィオナは恐れない。
むしろその噂すら“手玉に取る”つもりで、彼を甘く見ていた───。
婚約内定から結婚式、輿入れへ。
屋敷では従順な使用人たちと穏やかな日々が始まる。
甘やかされ、愛され、理想通りの“手のひらの上”に収まったはずの生活。
フィオナは日々レオナールへの依存度を高めることで、より確実に彼を支配しようとする。
しかし、夫の過去───かつて壊した令嬢───その存在を知った瞬間から、フィオナの心にわずかな歪みが生まれる。
さらに街での買い物中、野党に襲われた夜。レオナールの“陽気な仮面”が剥がれ、血に濡れた狂気の笑顔を見たとき───。
(この人は、本物だ)
逃げられない。けれど逃げる気もない。
小悪魔令嬢とサディスティック辺境伯の、甘く狂った愛が今、静かに幕を開ける───。
※アルファポリス直接投稿にあたり、見やすさを重視し、改行を行ったブラッシュアップ版としてお届けします。
※4/23 21:00更新分にて完結いたします。
結婚式当日に捨てられた私、隣国皇帝に拾われて過保護に溺愛されています~今さら姉を選んだ王子が後悔しても手遅れです~
唯崎りいち
恋愛
結婚式当日、私は“替え玉”として捨てられた。
本物の姉が戻ってきたから、もう必要ないのだと。
けれど——
私こそが、誰も知らなかった“本物の価値”を持っていた。
世界でただ一人、すべてを癒す力。
そして、その価値を知るただ一人の人が、皇帝となって私を迎えに来る。
これは、すべてを失った少女が、本当に必要とされる場所へ辿り着く物語。
私と義弟の安全は確保出来たので、ゆっくり恋人を探そうと思います
織り子
恋愛
18歳で処刑された大公家の令嬢、セレノア・グレイス。
目を覚ますと――あの日の6年前に戻っていた。
まだ無邪気な弟ルシアン、笑う両親。
再び訪れる“反逆の運命”を知るのは、彼女だけ。
――大公家に産まれた時点で、自由な恋愛は諦めていた。だが、本当は他の令嬢達の話を聞くたびにうらやましかった。人生1度きり。もう少し花のある人生を送りたかった。一度でいいから、恋愛をしてみたい。
限られた6年の中で、セレノアは動き出す。
愛する家族を守るため、未来を変えるために。
そして本当の願い(恋愛)を叶えるために。