Rainy Cat

mito

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Past#2 対峙-confront-

Past#2 対峙-confront- 2

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少なくとも雨が降ってからは外に出た形跡はないと思って。
とはいえ、いつから雨が降り始めたのか自分は知らない……。


……駄目だ。全然安心材料にならない。
むしろ不安が増大するばかりじゃないか。


取って付けの悪い木戸をはずさんばかりの勢いで引く。がたんと大きな音がした。もし彼が寝ていたらと一瞬思ったけど、そもそも居なかったら杞憂もいいところ。

書院造をイメージしたというこの離れは四室からなって、襖で部屋が仕切られている。彼が居る書院は、今飛び込んだ仏間の隣。

真っ暗な部屋で、板敷の床を歩く自分の足音だけがする。まるで誰もいないような静けさに、どうしようもなく嫌な予感が広がって、沈黙はそれを肯定するようで、勢い良く襖を開け放つ。


真っ暗な部屋。


光はない。


見当たらない。



……居ない?
出ていってしまった?


ドクドクと鼓動が増す。拍動がうるさい。それしか聞こえない。


あの怪我で出ていったらどうなる?
雨が降ってる。まだ熱もあって、なのにこんな冷たい雨に打たれたら。

傷が悪化したら。



……蘇るのは、小学校の時の記憶。
トラウマともいうべき
雨の季節の、初めて拾った猫の――――



「あ……」



いた。

部屋の隅。
闇が他より色濃く滞る場所で、黒が仰向けに横たわる人の形に盛り上がっている。


無意識に息をついていた。

そうして近寄ろうと思って一歩部屋に踏み込んだ時、不意にかくんと膝が折れたものだから重力に従いそのまま膝頭、畳に直撃。


「…ぅ…ッ」


なんとか声は噛み殺したけど、痛い。
これほんと地味に痛いんですが……ッ


若干涙目を自覚しながら彼を見る。声は抑えたもの、鈍い大きな音を立ててしまったのは確かで、起こしたかと思ったけれど、大丈夫だったらしい。

むしろ自分の不規則な息づかいしか聞こえないし、彼は確かにここに居るのに、それが目の錯覚であるような気さえして。


もしや本当に息してないとか……?


そんな馬鹿な!
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