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春の物語
少しづつでいいから
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ジョナさんはミカさんを抱きしながら泣いていた。
「ミカ。ミカミカ!ミカぁ。」
ずっとミカさんの名前を呼びながらジョナさんはミカさんを抱きしめている。
「お兄、痛いよ。痛いってば。そんなに強く抱き締めなくてもあたしはここにいるでしょ。」
ミカさんもジョナさんを抱き締めながら泣いていた。
「う、そだろ。ミカがミカが。」
私の後ろでジョナさんのお父さんが涙を流しながら言った。
私はそっと背中を押すと吸い寄せられるように二人の元へと言った。
「お姉ちゃん。何でお兄ちゃんたち泣いてるの?」
「どこか痛い、痛いなの?」
小さな子供たちはいつの間にか私の服を掴んでいった。
私はしゃがんで子供たちに言った。
「痛い痛いじゃないよ。お兄ちゃんたちは嬉しいことがあったから泣いてるの。」
「嬉しいことがあると泣いちゃうの?」
男の子が首を傾げながら言った。
「泣いちゃうのかはお姉ちゃんには分からない。でも。」
私はジョナさんを見る。
初めて会った時ジョナさんは怖い顔をして私を追いかけた。
あんない暗かった目が今は嬉しさで輝いてる。
「人は嬉しいことがあると泣くの。悲しいことがあると泣くの。」
私は子供たちを見てから笑った。
「私も早くあの人に会いたいな。」
子供たちは不思議そうな顔をしていた。
(スイはどこにいるんだろう?)
「ジョナさん。これでもう盗賊しなくていいですね。」
私がそう言うとジョナさんは少し慌てだした。
「ウカ!」
私の声をかき消すように私を呼ばれた。
「はい?どうしましたかジョナさん。」
首を傾げながら言うとジョナさんは汗をかいていた。
「ねぇ、今何ていったの?」
ミカさんは怪しむような目をこちらに向けていた。
「ミカ、何でもないからな!!」
ジョナさんは私からミカさんを隠すように立っていた。
「お兄。どうしてあたしからウカちゃんを隠すの?」
ミカさんはそう言いながら笑っていた。
「いや、隠してなんかいないぞ?なぁ、ウカ??」
私に何かを訴えかけてる。
でも頭の中は?だらけで何を伝えようとしてるのか分からなかった。
ゆっくりと考えてやっとジョナさんの伝えたかったのが分かった。
「ミカさん!ジョナさんの仕事気になりますか?」
私がなるべく大きな声で言うとミカさんは何かを察したらしく「勿論!!」と言いながら意地悪く笑っていた。
「ウ、ウカ?何を言う気だ??」
ジョナさんの口の端がぴくぴくと動いている。
「ジョナさんの仕事はミカさんが早く元気になるようにまた笑えるようにすることです。
そして私は『ミカさんを助ける』という仕事でここに来ました。」
私がそこまで言うとジョナさんは目を丸くしてミカさんは泣きそうになっていた。
「ジョナさん。あなたが今までしてきたことは決して許されることではないと思います。
ですがこれから少しずつ強くなってください。大切な人を守れるように、もう二度と失わないように。」
ジョナさんもミカさんもお互いを見ている。
やっぱり2人は兄は妹が大切で妹は兄が大切なのだろう。
「ジョナさん、私はもうそろそろ村に戻らせてもらいますね。
子供たちを親御さんに返さないといけないし、私を受け折れてくれるか話さないといけないので。」
私は後ろにいる小さな子供たちを見た。
今はジョナさんの村の大人が遊んでくれてるから大人しいが、もうそろそ戻らないと。
だって糸が切れたみたいに眠気が襲ってくると思うから。
「そうだな、あの村まで案内するよ。俺に今まで付き合わせたお礼だから、遠慮はするな。」
ジョナさんはそう言うとミカさんに「ウカを村まで案内してからすぐに帰ってくる。」といい外に出た。
「あ!お兄ちゃんとお姉ちゃんだ!」
「見てみてお花だよ!」
「お姉ちゃん、次は何の遊びするの!!」
小さな子供たちは私とジョナさんが出てくると待ってました!と言わんばかりに駆け寄ってきた。
「お、おう。ちょっと待ってろ!引っ張るな、服が伸びる!!」
ジョナさんは少し怒ったように言いながら小さな子供たちの相手をしていた。
「お兄。それじゃぁ怒ってるように見えるから言葉を選んで。」
ミカさんは椅子に座ったままジョナさんを注意している。
いつかミカさんが女騎士になってたくさんの人を救うだろう。
そんなミカさんを自慢げにジョナさんはたくさんの人に話す。
きっとそれは遠い未来ではない。
少しずつそんな幸せな未来に向かって歩いていけばいい。
少しづつでいいから、ジョナさんとミカさんにはこの先も2人で歩いてほしい。
「ミカ。ミカミカ!ミカぁ。」
ずっとミカさんの名前を呼びながらジョナさんはミカさんを抱きしめている。
「お兄、痛いよ。痛いってば。そんなに強く抱き締めなくてもあたしはここにいるでしょ。」
ミカさんもジョナさんを抱き締めながら泣いていた。
「う、そだろ。ミカがミカが。」
私の後ろでジョナさんのお父さんが涙を流しながら言った。
私はそっと背中を押すと吸い寄せられるように二人の元へと言った。
「お姉ちゃん。何でお兄ちゃんたち泣いてるの?」
「どこか痛い、痛いなの?」
小さな子供たちはいつの間にか私の服を掴んでいった。
私はしゃがんで子供たちに言った。
「痛い痛いじゃないよ。お兄ちゃんたちは嬉しいことがあったから泣いてるの。」
「嬉しいことがあると泣いちゃうの?」
男の子が首を傾げながら言った。
「泣いちゃうのかはお姉ちゃんには分からない。でも。」
私はジョナさんを見る。
初めて会った時ジョナさんは怖い顔をして私を追いかけた。
あんない暗かった目が今は嬉しさで輝いてる。
「人は嬉しいことがあると泣くの。悲しいことがあると泣くの。」
私は子供たちを見てから笑った。
「私も早くあの人に会いたいな。」
子供たちは不思議そうな顔をしていた。
(スイはどこにいるんだろう?)
「ジョナさん。これでもう盗賊しなくていいですね。」
私がそう言うとジョナさんは少し慌てだした。
「ウカ!」
私の声をかき消すように私を呼ばれた。
「はい?どうしましたかジョナさん。」
首を傾げながら言うとジョナさんは汗をかいていた。
「ねぇ、今何ていったの?」
ミカさんは怪しむような目をこちらに向けていた。
「ミカ、何でもないからな!!」
ジョナさんは私からミカさんを隠すように立っていた。
「お兄。どうしてあたしからウカちゃんを隠すの?」
ミカさんはそう言いながら笑っていた。
「いや、隠してなんかいないぞ?なぁ、ウカ??」
私に何かを訴えかけてる。
でも頭の中は?だらけで何を伝えようとしてるのか分からなかった。
ゆっくりと考えてやっとジョナさんの伝えたかったのが分かった。
「ミカさん!ジョナさんの仕事気になりますか?」
私がなるべく大きな声で言うとミカさんは何かを察したらしく「勿論!!」と言いながら意地悪く笑っていた。
「ウ、ウカ?何を言う気だ??」
ジョナさんの口の端がぴくぴくと動いている。
「ジョナさんの仕事はミカさんが早く元気になるようにまた笑えるようにすることです。
そして私は『ミカさんを助ける』という仕事でここに来ました。」
私がそこまで言うとジョナさんは目を丸くしてミカさんは泣きそうになっていた。
「ジョナさん。あなたが今までしてきたことは決して許されることではないと思います。
ですがこれから少しずつ強くなってください。大切な人を守れるように、もう二度と失わないように。」
ジョナさんもミカさんもお互いを見ている。
やっぱり2人は兄は妹が大切で妹は兄が大切なのだろう。
「ジョナさん、私はもうそろそろ村に戻らせてもらいますね。
子供たちを親御さんに返さないといけないし、私を受け折れてくれるか話さないといけないので。」
私は後ろにいる小さな子供たちを見た。
今はジョナさんの村の大人が遊んでくれてるから大人しいが、もうそろそ戻らないと。
だって糸が切れたみたいに眠気が襲ってくると思うから。
「そうだな、あの村まで案内するよ。俺に今まで付き合わせたお礼だから、遠慮はするな。」
ジョナさんはそう言うとミカさんに「ウカを村まで案内してからすぐに帰ってくる。」といい外に出た。
「あ!お兄ちゃんとお姉ちゃんだ!」
「見てみてお花だよ!」
「お姉ちゃん、次は何の遊びするの!!」
小さな子供たちは私とジョナさんが出てくると待ってました!と言わんばかりに駆け寄ってきた。
「お、おう。ちょっと待ってろ!引っ張るな、服が伸びる!!」
ジョナさんは少し怒ったように言いながら小さな子供たちの相手をしていた。
「お兄。それじゃぁ怒ってるように見えるから言葉を選んで。」
ミカさんは椅子に座ったままジョナさんを注意している。
いつかミカさんが女騎士になってたくさんの人を救うだろう。
そんなミカさんを自慢げにジョナさんはたくさんの人に話す。
きっとそれは遠い未来ではない。
少しずつそんな幸せな未来に向かって歩いていけばいい。
少しづつでいいから、ジョナさんとミカさんにはこの先も2人で歩いてほしい。
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