歌の光花

古川優亜

文字の大きさ
30 / 40
まぶしい笑顔と明るい夏

家族

しおりを挟む
「レイ、大丈夫?」
慣れない環境のせいか、レイは体調を崩し、ベットで寝込んでいる。
私は温かいお粥を作り食べさせているのだけど、なかなか良くならない。
「ウカ姉さん、洗濯物取り込んだよ!」
「ありがとう、チョコ。」
「ウカ姉さん、レイ大丈夫?」
アンは扉に隠れるように立っている。
もちろん、アンの後ろにはラムがいる。
「ウカお姉ちゃん。ラン、何かお手伝いしようか?」
可愛い顔で小首を傾げるのは保護施設の天使、ラン。
薄暗い路地に座っていたところを保護したんだ。
「大丈夫。みんな遊んでおいで。」
私が言うとみんなは心配そうな顔する。
「何か、あったらすぐに来る。」
ラムはアンの後ろに隠れながらぼそりと言った。
アンも笑顔で頷いてくれる。
「レイ!外から綺麗な花、持ってくるね!」
子供たちが笑顔でレイに外からプレゼントを探すために出ていく。
「姉さん・・・。俺もみんなと遊べるようになりたい。」
小さな声でレイは私に言った。
目からは涙が溢れている。
「大丈夫よ。大丈夫。」
私は何度も何度も言い聞かせるように言う。
体調が悪くなれば、みんな寂しい思いはする。
よく、お兄ちゃんが私にしてくれたこと。
♪「ねんねんころりよ」
♪「おころりよ」
私はレイの為に子守唄を歌う。
お母さんがよく歌っていてくれた。
まぁ、小さいころだけど。
レイが静かな寝息をたてている。
『ウカさん。今、大丈夫ですか?』
あ、この声。
私はレイのそばをそっと離れて自分の部屋に行く。
「お久しぶりです、神様。」
私が何もない場所に言えば直接頭に響いてくる。
『ウカさん。氏神から連絡です。』
え?
氏神様から???
私が首を傾げると目の前に映像(?)が浮かび上がる。
「お兄ちゃん!?」
浮かび上がる映像は見間違えるはずのない、大好きなお兄ちゃん。
何で?どうして?
《歌花。久しぶり、元気にしてたか?》
お兄ちゃんは小さくはにかんだ。
「・・・。元気にしてたよ、お兄ちゃん。」
私は久しぶりにお兄ちゃんに会えた喜びと寂しさが入り混じって・・・。
何とも言えない気持ちが心の中で渦巻いていた。
帰りたい。でも帰りたくない。
泣かないように、泣かないようにするのに一生懸命。
《歌花。氏神様がさ、俺を歌花の元に行かせてくれるらしいんだ。》
お兄ちゃんは迷うようにでもはっきりと言った。
「お兄ちゃんとまた一緒にいられるの?」
自分でもわかるほど声が震えている。
お兄ちゃんは肯定も否定もすることなくただ笑っているだけ。
(お兄ちゃんは私にゆだねている?)
それなら・・・。
「お兄ちゃん。私が困ったことになった時に来てよ。」
私が言えばお兄ちゃんも頷いてくれる。
《歌花。お兄ちゃんはいつでも歌花の味方だからな。》
お兄ちゃんは最後にそれだけ言うと映像は消えた。
「神様、ありがとうございます。お兄ちゃんと会えました。」
『ウカさん。大丈夫ですか?その顔色が。』
神様の言いたいことはわかる。
きっと鼻とか赤いんだろうなぁ。
「大丈夫です。レイの元に戻りますね。」
私は立ち上がり、涙をぬぐいながらレイの元に戻る。
レイはまだ寝ている。
私がそっと頭を撫でればレイは幸せそうに笑った。
寝ていても感じるものは感じるんだろうなぁ。
私はレイにそっと額に口づけする。
早く元気になりますようにと願って。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

うわさの行方

下沢翠花(しもざわすいか)
恋愛
まだ十歳で結婚したセシリア。 すぐに戦場へ行ってしまった夫のニールスは優しい人だった。 戦場から帰るまでは。 三年ぶりにあったニールスは、なぜかセシリアを遠ざける。 ニールスの素っ気ない態度に傷つき疲弊していくセシリアは謂れのない酷い噂に追い詰められて行く。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...