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第一章
カスタードクリームは気分次第
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千冬宅でのご飯会が目前に迫った金曜日の放課後
梅雨のせいも相まってか、この前のキスを思い出して少し憂鬱な気分だった
僕は今にも降りそうな雨に反抗期のような気構えで家路を急ぐ
いつもの交差点に差し掛るが、雨の味方をするように赤信号に歩みを止められる
すると、ポケットが震ているのを感じる。十中八九、姉からの着信だ。
徐ろにポケットからスマートフォンを取り出し、案の定姉からの着信であることを確認する。
電話に出るか否か、コンマ何秒悩んだが、後で姉をねちねち人間にしてしまわないよう電話に出ることにした。
「もしもし」
「あ、ゆう?今帰り?」
部活にも生徒会にも入っていない僕が、こうして電話出てる時点で分かっているであろう事を聞く。
こういった事象に名前はついているのだろうか?
そんな事を口に出したら姉をねっちーにしてしまうのでこれも飲み込む
「うん。もうちょっとでつくよ」
「あーちょっと待った!もう商店街通り過ぎちゃった?」
通り過ぎた先の交差点で電話しているし、更に言えば信号は青に変わっている
が、僕は頼み事の察しはついているので僕はこう答える
「まだだよ」
「良かったー!この前話してたいつも売り切れちゃうシュークリームあったじゃん?あれ、まだ残ってるってピクチャグラムのストーリーに上がっててさ、後でお金渡すから買ってきてくれない?」
お察しの通りだった。姉は最近このシュークリーム事ばかり話していた
まぁでも、僕も気になっていたので今回は教えてくれて感謝だ
「いいよー」
「あれば四個欲しいけど、無かったら...お父さんの分はしゃーなし」
「一個しかなかったら?」
「そりゃ私でしょ」
「ですよね」
分かりきっていたが言わずにいられなかった
「やば、無くなっちゃうかもしれないから頼んだよー!」
そう言うと姉は電話を切った。
青信号にさよならを告げて、僕は来た道を戻る
商店街にはどんどん新しいお店が出来ていく、
この前も突き当りにハンバーガーショップが出来たり、二軒もラーメン屋が出来たり。シュークリーム屋もそのうちの一つだ。
そんな中、古き良きお肉屋さんを見かけると思う事がある。
僕がもしも、億が一にも有名人になって地元を巡るロケで帰省した時に思い出の店として紹介する場所としてここに通いつめておくべきかなと。
でも、そんな事は無量大数が一にもあり得ないので思うだけに留める。
「いらっしゃいませー!」
元気な店員さんに出迎えられながら、お目当てのシュークリーム屋さんに入るとショーケースには二つしかなかった
もしかしたらショーケースの他にも在庫があるかもしれないので念の為、店員さんに確認してみる事にした。
「すみません、もうここにあるだけですかね?」
「そうなんですよー」
食い気味なのに申し訳なさそうに言う店員さんからは見れば分かるだろという圧を感じる
まぁ、二個あれば姉の分とお母さんの分は確保できるか
あわよくば一口もらおう。
店員さんに残りのシュークリームの購入意思を伝えようとした時、お店のドアが開いた。
「すみませーん、まだ残ってますか?」
背中越しに聞こえてきた声はあの夏を思い出すようで、心が締め付けられる。
ものすごく好きだけど一番聞きたくない声だった。
声の持ち主にはすぐ検討がついて何とか気づかれないようにしたかったが、同じ学校の制服の時点で彼女が声をかけないはずがなく。
「あ、来栖くん!」
「あ、ども。」
白々しい自分に腹が立つ。
「あー先越されたー...これもう買ったよね...?」
宮内の顔を直視できず、シュークリームの事なのは分かっているけど、ショーケースを指差す先を見つめてみる
「いや、これから買うとこ」
「だよね...美味しく召し上がれ...」
あからさまにしょんぼりする宮内を見て、かわいこぶるなよ!とか思えたらいいんだろうなって考えが過るけど、彼女がそんなキャラじゃないのは分かってるし、愛おしく思ってしまってる自分にまた腹が立つ。
「待って、一個づつ買おうよ」
僕はつくづく彼女が好きなんだな。
宮内は僕が期待する通りの顔で振り返ってくれた。
「ほんと!?いいの...?」
「いいよ。姉ちゃんに頼まれただけだし、一個あれば大丈夫」
「ありがとうー!」
あの時から、その顔が見たくてつい期待に応えたくなってしまう。
「ありがとうございましたー!」
僕たちは一個づつ目当てのシュークリームを買って店を出た
「来栖くん、もう帰る?」
彼女の言葉は一言一言が心を踊らせるし苦しめもする。
その言葉について行ってしまったら向き合わなきゃいけないのがすごく怖くて僕は逃げる事を選んだ。
「うん、姉ちゃん待たせてるんだ」
あの頃みたいな笑顔が君に向けられない
「そかそか!じゃあ...またね!」
僕たちは手を振ってそれぞれの別の道を歩み始めた。
梅雨のせいも相まってか、この前のキスを思い出して少し憂鬱な気分だった
僕は今にも降りそうな雨に反抗期のような気構えで家路を急ぐ
いつもの交差点に差し掛るが、雨の味方をするように赤信号に歩みを止められる
すると、ポケットが震ているのを感じる。十中八九、姉からの着信だ。
徐ろにポケットからスマートフォンを取り出し、案の定姉からの着信であることを確認する。
電話に出るか否か、コンマ何秒悩んだが、後で姉をねちねち人間にしてしまわないよう電話に出ることにした。
「もしもし」
「あ、ゆう?今帰り?」
部活にも生徒会にも入っていない僕が、こうして電話出てる時点で分かっているであろう事を聞く。
こういった事象に名前はついているのだろうか?
そんな事を口に出したら姉をねっちーにしてしまうのでこれも飲み込む
「うん。もうちょっとでつくよ」
「あーちょっと待った!もう商店街通り過ぎちゃった?」
通り過ぎた先の交差点で電話しているし、更に言えば信号は青に変わっている
が、僕は頼み事の察しはついているので僕はこう答える
「まだだよ」
「良かったー!この前話してたいつも売り切れちゃうシュークリームあったじゃん?あれ、まだ残ってるってピクチャグラムのストーリーに上がっててさ、後でお金渡すから買ってきてくれない?」
お察しの通りだった。姉は最近このシュークリーム事ばかり話していた
まぁでも、僕も気になっていたので今回は教えてくれて感謝だ
「いいよー」
「あれば四個欲しいけど、無かったら...お父さんの分はしゃーなし」
「一個しかなかったら?」
「そりゃ私でしょ」
「ですよね」
分かりきっていたが言わずにいられなかった
「やば、無くなっちゃうかもしれないから頼んだよー!」
そう言うと姉は電話を切った。
青信号にさよならを告げて、僕は来た道を戻る
商店街にはどんどん新しいお店が出来ていく、
この前も突き当りにハンバーガーショップが出来たり、二軒もラーメン屋が出来たり。シュークリーム屋もそのうちの一つだ。
そんな中、古き良きお肉屋さんを見かけると思う事がある。
僕がもしも、億が一にも有名人になって地元を巡るロケで帰省した時に思い出の店として紹介する場所としてここに通いつめておくべきかなと。
でも、そんな事は無量大数が一にもあり得ないので思うだけに留める。
「いらっしゃいませー!」
元気な店員さんに出迎えられながら、お目当てのシュークリーム屋さんに入るとショーケースには二つしかなかった
もしかしたらショーケースの他にも在庫があるかもしれないので念の為、店員さんに確認してみる事にした。
「すみません、もうここにあるだけですかね?」
「そうなんですよー」
食い気味なのに申し訳なさそうに言う店員さんからは見れば分かるだろという圧を感じる
まぁ、二個あれば姉の分とお母さんの分は確保できるか
あわよくば一口もらおう。
店員さんに残りのシュークリームの購入意思を伝えようとした時、お店のドアが開いた。
「すみませーん、まだ残ってますか?」
背中越しに聞こえてきた声はあの夏を思い出すようで、心が締め付けられる。
ものすごく好きだけど一番聞きたくない声だった。
声の持ち主にはすぐ検討がついて何とか気づかれないようにしたかったが、同じ学校の制服の時点で彼女が声をかけないはずがなく。
「あ、来栖くん!」
「あ、ども。」
白々しい自分に腹が立つ。
「あー先越されたー...これもう買ったよね...?」
宮内の顔を直視できず、シュークリームの事なのは分かっているけど、ショーケースを指差す先を見つめてみる
「いや、これから買うとこ」
「だよね...美味しく召し上がれ...」
あからさまにしょんぼりする宮内を見て、かわいこぶるなよ!とか思えたらいいんだろうなって考えが過るけど、彼女がそんなキャラじゃないのは分かってるし、愛おしく思ってしまってる自分にまた腹が立つ。
「待って、一個づつ買おうよ」
僕はつくづく彼女が好きなんだな。
宮内は僕が期待する通りの顔で振り返ってくれた。
「ほんと!?いいの...?」
「いいよ。姉ちゃんに頼まれただけだし、一個あれば大丈夫」
「ありがとうー!」
あの時から、その顔が見たくてつい期待に応えたくなってしまう。
「ありがとうございましたー!」
僕たちは一個づつ目当てのシュークリームを買って店を出た
「来栖くん、もう帰る?」
彼女の言葉は一言一言が心を踊らせるし苦しめもする。
その言葉について行ってしまったら向き合わなきゃいけないのがすごく怖くて僕は逃げる事を選んだ。
「うん、姉ちゃん待たせてるんだ」
あの頃みたいな笑顔が君に向けられない
「そかそか!じゃあ...またね!」
僕たちは手を振ってそれぞれの別の道を歩み始めた。
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