召喚召喚、また召喚

アデュスタム

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「うわあああああああ!」
 気が付くと志郎は真っ逆さまに落ちていた。
 女神ターシァに異世界へと転移させられたが、その時地図を叩いたのが海の真ん中だったのを思い出した。
「あのエロ女神めっ!どうしよう、このままだと海に叩きつけられて……」
 と下を見ると愕然となった。
「し、島だ!島に落ちるぅ!死ぬぅ!!」
 助けてくれぇという絶叫がドップラー降下とともに、おまけに自由落下という物理法則とともに島に向かって落ちていく。
「うぎゃああああああ!」
 あと百メートル、あと五十メートル、四十メートル、三十メートル、ちょっと跳んであと三メートル、二メートル、一メートル、そしてついに地面と激突した。
   ドビャッシャーーーーン!
 凄まじい激突恩と濛々と巻き上がる土煙。そして大きなクレーター。そのクレーターの中心に地面に頭を突っ込んで足をバタバタさせてる志郎がいた。
「ふがががが。ふごっ!」
 地面から頭を引き抜いた志郎。
「な、なんで俺無事なんだ……」
 土まみれの自分の身体を見て触って叩いて驚愕する志郎。
「生きてるよな……」
 ふうと大きく息を吐くと地面に座り込んだ。
「もしかしてあのエロ女神がくれた力のおかげなのかな……」
 空を見上げ呟く。
『そうでーすよぉ。あたしのおかげだよぉ。ヒック。感謝してねぇ。うっぶ。ではははは』
 頭の中にあの女神の声が響く。
「うわっ、びっくりした。な、なんだよエロ女神!お前のおかげって、お前のせいなんだからな!」
 と文句を言う志郎。
『うきゃきゃきゃきゃっ!怒っちゃいやーん。うふっ。ヒック』
「ほんとどうしようもない酔いどれエロ女神だなお前は」
「うふん。ヒック。でへへへへ』
「おいおい、俺は褒めてないぞ。ってそれよりなエロ女神。ここはどこなんだ?空から落ちてる時に見たけど小さな島だったぞここ」
『あははは。そうなのよねぇ。カンダールを選ぼうとした時に間違って海叩いちゃったからねぇ。でもぉ安心してねぇ。カンダールの召喚師に伝えといたからすぐに迎えにきてくれるわよぉ。たぶん』
「そうか。迎えにきてくれるってか。って’たぶん’ってどういうことだそれ!」
「あははははは。まあまあ気にしない気にしない。お迎えが来るまでなんとか一人で生き抜いててねぇ。その島ってけっこう動植物多いからなんとかなると思うしぃ。んじゃ頑張ってねぇ」
「おっ、おいっこら待てエロ女神!」
 どなるが女神からの返事はなかった。
「畜生め。あのクソエロ女神めっ!今度会ったらあんなことやこんなことしてやる!」
 と拳を握る。
『いやん。待ってるわねぇ』
「まだいたんかい!早く消えろ!」

 それから志郎は島を探検し早いうちに泉を発見。そして食べられそうな果物や木の実、それから食用になりそうな動物を見つけた。
 そしてたった一人のサバイバルが始まった。

「よしっと。今日の食料確保っと」
 木の弦で作った籠に入れたのは羽根の生えた兎のハネウサギと泉の中で二足歩行する魚のアシウオ。そして見た目はバナナで皮を剥くとリンゴのようなバナリンゴだ。ちなみにみんな志郎が命名した。
 女神ターシァが志郎に授けた力はとても便利だった。そのおかげでサバイバルが楽にできた。
なんでも切断できる手刀。岩をも砕くキック力、水の中でも呼吸ができたり、そして透視能力など便利なものが満載だった。おまけに治癒の力も強いようで、傷だらけの豚のようなものに使ったら瞬く間に傷が癒えた。
 何より凄かったのは毒が効かないことだ。ツノの生えたリスが赤いイチゴのようなものを食べていた。ツノリスが食べていたので自分も食べられると思い食べた。まあまあおいしかったのだが、数個食べた時にツノリスを見ると泡をふいて死んでいた。でも自分は大丈夫だった。このことから自分には毒が効かないのだとわかった。
 それらチート能力を志郎は駆使し一人この島で生き延びていた。
 そんな日が続くこと二ヶ月。
 いつものように海に向かい釣り糸を垂れていると水平線に何やら船のようなものを見つけた。
「おっ!あれは!」
 志郎は釣り竿を投げ捨てると船が接岸できそうな岩場に走った。
「やっぱり船だ!一隻だけど救助の船だ!あのエロ女神の言ったとおりカンダールの船が助けにきてくれたんだ。よかったぁ」
 と座り込む。だが座ってては見つけてもらえないとそこらに転がっている木を集めて火をつけてここにいることを知らせた。
「おーい、ここだぁぁぁ!こっちだぞぉぉぉぉ!」
 そして船は島の岩場に接岸した。ただし接岸するまで六時間かかったが。

「長らくお待たせしました勇者様。私、カンダールから参りました召喚師のビスカです。よろしくお願いしますっ!」
 見た目17,8歳ほどだろう、緑の髪で緑の瞳の少女がうれしそうにてを振りながら船から飛び降りた。。
  バキッ!
「ふぎゃっ、あ痛っ!」
 ピョンと岩場に飛び降りたビスカは着地とともにこけた。
「おいおい大丈夫か、すごい音したぞ。えと、ビスカさん」
「あははは。大丈夫です。ちょっと足くじいただけですから。あははは」
「……おい……。足、プラプラしてるぞ。それ、折れてるから」
「へ?」
 と言って自分の足を見るとみるみる顔が蒼くなる。
「う、うぅぅぅぅっ、いったぁぁぁぁぁぁぁい!」
 と悶絶して泡吹いて倒れた。

 ……十分後。
「ありがとうございますありがとうございます!さすがは勇者様!これほどの治癒力を体験したの初めてです。そうです初体験です。私感激です!」
 と言ってビスカはうれしそうに志郎に抱き着く。
「わかったわかった。わかったから抱き着くなって、あはははは」
 といいながら志郎は前かがみだったりする。それを見てビスカは頭の上に?マークを浮かべた。
「なあ、ところでビスカ。船の乗組員は?」
「あ、はい。みーんな嵐に流されたり、海の魔獣たちに食べられたりと少しずつ減っていって、とうとう私一人になってしまいました!あはは」
「えっ!そうだったのか。………あははって笑ってる場合かおい。でも、悪いことしたなあ。ってまあ、あのエロ女神が悪いんだけど。  ところでビスカ」
「あ、はい」
「女神からはなんて言われたんだ?俺のことで連絡あったんだろ?」
「あ、はい。お告げがありました」
 とビスカ。
 今からちょうど二月前、召喚師ビスカに女神からのお告げがあった。
『そなたたちが召喚し勇者はちょっとした手違いでカンダールから南へ千キロに浮かぶ無人島にいる。そなたたちの力で勇者を迎えに行くがよい。勇者の力はそなたたちの希望となるであろう、たぶん』
 とのことだった。
 カンダールはすぐさま人員を集め船を出した。が、航海は困難を極めた。相当に厳しい航海だった。そのため十隻の船団がついにはたった一隻になったのだという。
「た、大変だったんだ」
「あ、はい。でも無事に勇者様に会えました。あはは」
 うれしそうなビスカ。
「それから勇者様……」
「あっ、俺志郎な。本郷志郎。勇者なんて呼ばないでくれ」
「へ?そうなんですか?勇者、かっこいいのに。ま、いいです、わかりました。それでシロー様。すぐにでもカンダールに帰国したいんですけど」
「へ、ああ。でもビスカ、けっこう疲れてるだろお前。二,三日ゆっくりしないと倒れるぞ」
「でも……。まっいいか。ゆっくり帰りましょう」
 そして三日間ゆっくりとして体力を回復させたビスカといつも元気な志郎はボロボロの船でカンダールに向けて出港する。
「それではシロー様出港しまーす!」
「おう。まかせたぞビスカ!」
 志郎は召喚師のビスカとともに二ヶ月サバイバルをした無人島を離れ一路カンダールに向かったのだった。
 それから三か月。ボロボロの船はようやくカンダールの港に着いたのだった。

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