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2-1.溝に落ちたら召喚
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天気のいい日曜日。暇つぶしに散歩に出かけた志郎。
「いい天気だねえ。……確かあの時もいい天気だったよな。しかも天気がもったいないって散歩に出たし」
志郎はふと数ヶ月前の不可思議な出来事を思い出した。
「あそこだったな。あそこのT字路を左に曲がったらあの変態エロ女神のとこに行ったんだ。……ちょっと遠回りだけど今度は右に曲がろう」
志郎はT字路を右に曲がると足を止めた。
「あちゃ。どこ通ろう」
道いっぱいに広がり五人ほどのおばちゃんが井戸端会議をしていた。
亭主の文句や嫁の愚痴、姑としての心構えと孫自慢。いつ終わるともしれない言葉の押収が乱れ飛んでいた。
「どうしよっか。元の道に戻るのもなんか嫌だし」
とおばちゃんズと壁の間に隙間があるのを見つけた。
「よし」
志郎は気合を入れるとおばちゃんズと壁の間に向かった。
「すみませーん」
と言いながらその隙間に足を着いた時。
「うわっ!」
バランスを崩してしまい道端の蓋の無い溝に落ちてしまった。
「ななななんでやねん!」
すぐに溝の底に足がつきそうなものだが志郎の身体はまっすぐ下に落ちて行った。
そして数秒後。
「あでっ!」
尻餅をついてこけた。
「ここ、どこだ?」
周囲を見るとあの忌まわしい記憶が浮かんできた。
「……真っ白な霧のようなミルクの中のような……。なんか脱力……。ん?あの音は……」
志郎は何かに気づき背筋に冷たい者を感じた。
「ま、まさか……な」
音のした方に行くと……。
「やっぱりな、襖だ……。うーん、なんか展開が読めるんだが……。でも中に入らないと還れない気がするし……」
ぶつぶつ言っていると中から声がした。
「どうぞ~!入れてぇ、じゃなく入ってぇ~!」
と何か月か前に聴いた声が再び聞こえた。
「……やっぱり……。仕方ない入るか」
志郎はため息をつくと襖に手をかけるとスーッと開けた。
壁には大きな文字のカレンダーと花の額。部屋の隅のテレビからは’新婚さんおいでやす’~という声が、そして部屋の真ん中に座るのは金髪緑眼の女性。
「お久しぶりぃ、いらっしゃ~い。待ってたわよ~ん」
「やっぱりエロ女神か。……って今日はちゃんと服着てるな」
とほっとする志郎。
フリフリの白いブラウス、首元にはキラリと光るネックレス。耳たぶにはかわいらしいハート型のピアス。ただブラウスの胸元ははち切れそうでボタンが飛びそうだったりする。
「んもう。もしかして全裸の方がよかった?それならそうと言ってくれれば」
と副を脱ぎだそうとする女神ターシァ。
「ちょっ、ちょっと待て!脱ぐな!そのままでいい!脱ぐなったら脱ぐな!」
あわてる志郎。
「え~っ!せっかくなのにぃ。わかったわよ」
と少し頬をふくらませた。
「それに今日は酒飲んでないんだな」
「うん。褒めて!」
と頭を突き出した。
「なんで俺が?」
「褒めて!」
「だからな」
「褒めて」
「……。わかったわかった」
志郎は突き出されたターシァの頭をグリグリと撫でた。
「でへへへへぇ」
ニヤけるターシァ。
「ふう。……で、なんでまた俺ここにいるんだ?」
「ふふふ。わかってるくせにぃ」
と上目遣い。
「……もしかして、また召喚?」
「あったりぃ~!今度はね、今度はね」
とうれしそうに前回と同じ透き通ったテーブルに拡げた地図を見せるターシァ。
そこには笑ってしまうほど真ん丸の島がひとつ描かれてあった。周囲にも島はなくその真ん丸の島ひとつだけだった。
「真ん丸だなこの島。ギャグかなんかか?」
「あはは。わかるわかる。あたしもそう思うわ」
と苦笑するターシァ。
「えとね、この島はミラース。そしてここが首都のスラーデね。ここから勇者召喚の儀であたしにお願いがあったの。でねでね、今から行ってもらうんだけど」
「おいっ、ちょっと待てって。いつ俺が行くって言った?行かねえぞ俺」
「えーーーっ!そんなぁ。そんなわがままは許しません!シローには拒否権ないんだからね!あくまで行かないって言うんなら、ここであたしとずーーーっと一緒に住むことになるからね。まあ、あたしはそれでもいいんだけど」
赤い舌で唇をペロッと舐めた。
それを見て顔を青くする志郎。
「行きます。はい、行きます。行って勇者になります!」
しかしすぐに背筋を伸ばし大きな声でそう言った。
「あら、残念。でね」
と話を続けるターシァ。
魔族が襲ってきてスラーデは廃墟となりつつある。そこで満を持して勇者召喚をし魔族を討伐してもらうこととなった。
「まあ、簡単にいうとこういうことよ。わかった?」
「あ、うん」
「それとチートの能力だけど前回あげたままになってるからそれで対処してね」
「わかった。で、今から行くのか?」
「そうね。まあ、そんなにあわてなくてもいいんじゃない。お茶くらい淹れるわよ」
と女神ターシァはよいこらしょっと立ち上がった。
それを見て志郎は目を見開いてあわあわする。
「お、おいこらエロ女神!な、な、なんで下はいてないんだ!パンツくらいはけバカ野郎!」
立ち上がったターシァ。上半身は白いブラウスをきちんと着ているが、下半身には何も着けてなくスッポンポンだった。
「てへっ。こんなのもいいかなって。どう?」
と頭に手を上げてポーズをとる女神ターシァ。
「は、はあ。……いいから何かはけ!ど変態エロ女神!」
「あはぁん」
照れる女神ターシァ。
「さて、転送するわね」
テーブルに拡げた地図を見てトントンとスラーデを指で叩くターシァ。
「ああ。でも今度はちゃんと転送しろよな。こないだは孤島で苦労したんだから」
「あははは。ごめんねシロー。でも、今度は大丈夫。ちゃんと間違わないように転送するからね」
そしてターシァはその細い指を志郎の額に当てた。ほんのり光る指。そしてその光る指を今度は地図上のミラースの首都スラーデの上にとんっと置いた。
「あっ!そこ違うぞ!」
「へ?」
よく見るとそこはスラーデではなくヌラーデだった。
「あはは。またやっちゃった。てへっ」
「そ、そんなあ……」
志郎の身体が白く光るとあっと言う間に部屋から消えた。
「さーてと。おそうめんでもたべよっかなぁ」
女神ターシァはお腹すいたわぁとキッチンに向かった。
「いい天気だねえ。……確かあの時もいい天気だったよな。しかも天気がもったいないって散歩に出たし」
志郎はふと数ヶ月前の不可思議な出来事を思い出した。
「あそこだったな。あそこのT字路を左に曲がったらあの変態エロ女神のとこに行ったんだ。……ちょっと遠回りだけど今度は右に曲がろう」
志郎はT字路を右に曲がると足を止めた。
「あちゃ。どこ通ろう」
道いっぱいに広がり五人ほどのおばちゃんが井戸端会議をしていた。
亭主の文句や嫁の愚痴、姑としての心構えと孫自慢。いつ終わるともしれない言葉の押収が乱れ飛んでいた。
「どうしよっか。元の道に戻るのもなんか嫌だし」
とおばちゃんズと壁の間に隙間があるのを見つけた。
「よし」
志郎は気合を入れるとおばちゃんズと壁の間に向かった。
「すみませーん」
と言いながらその隙間に足を着いた時。
「うわっ!」
バランスを崩してしまい道端の蓋の無い溝に落ちてしまった。
「ななななんでやねん!」
すぐに溝の底に足がつきそうなものだが志郎の身体はまっすぐ下に落ちて行った。
そして数秒後。
「あでっ!」
尻餅をついてこけた。
「ここ、どこだ?」
周囲を見るとあの忌まわしい記憶が浮かんできた。
「……真っ白な霧のようなミルクの中のような……。なんか脱力……。ん?あの音は……」
志郎は何かに気づき背筋に冷たい者を感じた。
「ま、まさか……な」
音のした方に行くと……。
「やっぱりな、襖だ……。うーん、なんか展開が読めるんだが……。でも中に入らないと還れない気がするし……」
ぶつぶつ言っていると中から声がした。
「どうぞ~!入れてぇ、じゃなく入ってぇ~!」
と何か月か前に聴いた声が再び聞こえた。
「……やっぱり……。仕方ない入るか」
志郎はため息をつくと襖に手をかけるとスーッと開けた。
壁には大きな文字のカレンダーと花の額。部屋の隅のテレビからは’新婚さんおいでやす’~という声が、そして部屋の真ん中に座るのは金髪緑眼の女性。
「お久しぶりぃ、いらっしゃ~い。待ってたわよ~ん」
「やっぱりエロ女神か。……って今日はちゃんと服着てるな」
とほっとする志郎。
フリフリの白いブラウス、首元にはキラリと光るネックレス。耳たぶにはかわいらしいハート型のピアス。ただブラウスの胸元ははち切れそうでボタンが飛びそうだったりする。
「んもう。もしかして全裸の方がよかった?それならそうと言ってくれれば」
と副を脱ぎだそうとする女神ターシァ。
「ちょっ、ちょっと待て!脱ぐな!そのままでいい!脱ぐなったら脱ぐな!」
あわてる志郎。
「え~っ!せっかくなのにぃ。わかったわよ」
と少し頬をふくらませた。
「それに今日は酒飲んでないんだな」
「うん。褒めて!」
と頭を突き出した。
「なんで俺が?」
「褒めて!」
「だからな」
「褒めて」
「……。わかったわかった」
志郎は突き出されたターシァの頭をグリグリと撫でた。
「でへへへへぇ」
ニヤけるターシァ。
「ふう。……で、なんでまた俺ここにいるんだ?」
「ふふふ。わかってるくせにぃ」
と上目遣い。
「……もしかして、また召喚?」
「あったりぃ~!今度はね、今度はね」
とうれしそうに前回と同じ透き通ったテーブルに拡げた地図を見せるターシァ。
そこには笑ってしまうほど真ん丸の島がひとつ描かれてあった。周囲にも島はなくその真ん丸の島ひとつだけだった。
「真ん丸だなこの島。ギャグかなんかか?」
「あはは。わかるわかる。あたしもそう思うわ」
と苦笑するターシァ。
「えとね、この島はミラース。そしてここが首都のスラーデね。ここから勇者召喚の儀であたしにお願いがあったの。でねでね、今から行ってもらうんだけど」
「おいっ、ちょっと待てって。いつ俺が行くって言った?行かねえぞ俺」
「えーーーっ!そんなぁ。そんなわがままは許しません!シローには拒否権ないんだからね!あくまで行かないって言うんなら、ここであたしとずーーーっと一緒に住むことになるからね。まあ、あたしはそれでもいいんだけど」
赤い舌で唇をペロッと舐めた。
それを見て顔を青くする志郎。
「行きます。はい、行きます。行って勇者になります!」
しかしすぐに背筋を伸ばし大きな声でそう言った。
「あら、残念。でね」
と話を続けるターシァ。
魔族が襲ってきてスラーデは廃墟となりつつある。そこで満を持して勇者召喚をし魔族を討伐してもらうこととなった。
「まあ、簡単にいうとこういうことよ。わかった?」
「あ、うん」
「それとチートの能力だけど前回あげたままになってるからそれで対処してね」
「わかった。で、今から行くのか?」
「そうね。まあ、そんなにあわてなくてもいいんじゃない。お茶くらい淹れるわよ」
と女神ターシァはよいこらしょっと立ち上がった。
それを見て志郎は目を見開いてあわあわする。
「お、おいこらエロ女神!な、な、なんで下はいてないんだ!パンツくらいはけバカ野郎!」
立ち上がったターシァ。上半身は白いブラウスをきちんと着ているが、下半身には何も着けてなくスッポンポンだった。
「てへっ。こんなのもいいかなって。どう?」
と頭に手を上げてポーズをとる女神ターシァ。
「は、はあ。……いいから何かはけ!ど変態エロ女神!」
「あはぁん」
照れる女神ターシァ。
「さて、転送するわね」
テーブルに拡げた地図を見てトントンとスラーデを指で叩くターシァ。
「ああ。でも今度はちゃんと転送しろよな。こないだは孤島で苦労したんだから」
「あははは。ごめんねシロー。でも、今度は大丈夫。ちゃんと間違わないように転送するからね」
そしてターシァはその細い指を志郎の額に当てた。ほんのり光る指。そしてその光る指を今度は地図上のミラースの首都スラーデの上にとんっと置いた。
「あっ!そこ違うぞ!」
「へ?」
よく見るとそこはスラーデではなくヌラーデだった。
「あはは。またやっちゃった。てへっ」
「そ、そんなあ……」
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