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大希
社会という環境
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『そのやり取りをどこかで見た人物がそのやり方を真似る形で広がっているものだと思われます』
私の言葉に、玲那さんが応えます。
「それ、私も思った。この感じで淡々と意見されるとさ、言われてる方もエキサイトしにくいんだよね。罵り合いになる時って結局、お互いにエキサイトしちゃってる状態だから。でも相手が冷静だと、盛り上がれないんだ」
「そうですね。それはあると思います。私が冷静であろうとするのはまさにそれですから。
以前は、私もついつい感情的になりがちでしたが、それでは状況が悪くなるだけでした。その結果、私は頭を打ったのです。父に諭され、その時は反発もしましたが、今では至極当然のことを言われていたのだと分かります。
感情的になると、その当然のことが分からなくなるのです」
「うん。人間にとって感情って大切なものだとは思うけど、でもいい感情ばかりじゃないってのも事実だと思う。
アニメとかでも『感情に対して素直になれ』って展開があったりするけどさ、それって素直になっていい感情と素直になっちゃマズイ感情とがあると思うんだ。
私は、素直になっちゃマズイ感情に従っちゃってあんなことになったしさ。
感情はもちろん大事だし、感情をなくすなんてことができるなんて思わない。だけど、人間ってそれだけじゃないよね。感情にだけ従ってたらいいんなら、野生と同じだよ。それって人間とは言えないと思う。
感情と理性、両方が大事なんだ」
「そうですね。私もそう思います。
人間は、何も持たずに自然の中に放り出されると生きていけない動物です。遭難などによって命を失う方がいるのはその為です。一方で、犬や猫などは、捨てられても野生化して生き延びる例も人間よりははるかに多いでしょう。それができる動物だからです。
動物としてはあまりに脆弱で非力な人間は、社会を作って寄り添い合い、互いに支え合って生きる道を選びました。そして、社会の中で生きていく為には意図的に他者を傷付けるような振る舞いは非常に危険な行為なのです。何故ならそれは、<社会>というものを破壊する行為だからです。
社会を作り支え合うことでしか生きられない人間にとって、社会を揺るがすというのは自らを危険に曝すことでもあります。故に、そういう存在はリスクとして疎まれ、排除される対象となります。これは、人間という生き物にとっては身を守る術なのです。他者と共感し、価値観を共有し、共に自分達が生きていくための社会という環境を維持することが望まれるのです」
私の言葉に、玲那さんが応えます。
「それ、私も思った。この感じで淡々と意見されるとさ、言われてる方もエキサイトしにくいんだよね。罵り合いになる時って結局、お互いにエキサイトしちゃってる状態だから。でも相手が冷静だと、盛り上がれないんだ」
「そうですね。それはあると思います。私が冷静であろうとするのはまさにそれですから。
以前は、私もついつい感情的になりがちでしたが、それでは状況が悪くなるだけでした。その結果、私は頭を打ったのです。父に諭され、その時は反発もしましたが、今では至極当然のことを言われていたのだと分かります。
感情的になると、その当然のことが分からなくなるのです」
「うん。人間にとって感情って大切なものだとは思うけど、でもいい感情ばかりじゃないってのも事実だと思う。
アニメとかでも『感情に対して素直になれ』って展開があったりするけどさ、それって素直になっていい感情と素直になっちゃマズイ感情とがあると思うんだ。
私は、素直になっちゃマズイ感情に従っちゃってあんなことになったしさ。
感情はもちろん大事だし、感情をなくすなんてことができるなんて思わない。だけど、人間ってそれだけじゃないよね。感情にだけ従ってたらいいんなら、野生と同じだよ。それって人間とは言えないと思う。
感情と理性、両方が大事なんだ」
「そうですね。私もそう思います。
人間は、何も持たずに自然の中に放り出されると生きていけない動物です。遭難などによって命を失う方がいるのはその為です。一方で、犬や猫などは、捨てられても野生化して生き延びる例も人間よりははるかに多いでしょう。それができる動物だからです。
動物としてはあまりに脆弱で非力な人間は、社会を作って寄り添い合い、互いに支え合って生きる道を選びました。そして、社会の中で生きていく為には意図的に他者を傷付けるような振る舞いは非常に危険な行為なのです。何故ならそれは、<社会>というものを破壊する行為だからです。
社会を作り支え合うことでしか生きられない人間にとって、社会を揺るがすというのは自らを危険に曝すことでもあります。故に、そういう存在はリスクとして疎まれ、排除される対象となります。これは、人間という生き物にとっては身を守る術なのです。他者と共感し、価値観を共有し、共に自分達が生きていくための社会という環境を維持することが望まれるのです」
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