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いつ終わるかもしれねえ人生を楽しむ

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てな調子で、いつ終わるかもしれねえ人生を楽しむことになった俺だが、まあ普通にいい感じだったぜ。

蟷姫とうきとはそれこそ相性ばっちりだったと思う。今のところ、彼女も俺を見限るような気配もない。

考えてみりゃ、カマキリ怪人自体、妊娠率は高くねえのかもしれねえな。そうじゃねえと、この調子でヤっててポンポン子供が生まれりゃ数が増えすぎちまうだろ。これまでのところ、この密林じゃおそらく最強クラスの捕食者の数が増えすぎりゃ簡単にバランスが崩れちまうだろうさ。

そうならねえためには、そんなに数が生まれねえか、子供のうちに次々死ぬか、ってことじゃねえとおかしいしよ。

なら、まだしばらく猶予はある感じか。

なわけでホッとした俺は改めてこの密林の状況を確認することにした。

すると今度は、

「……イノシシ…?」

あの<毛の生えたヴェロキラプトルみてえな獣>に取り囲まれて、

「フゴッ! ブゴアッッ!!」

と吠えながら大立ち回りをしてる獣に出くわした。そうだ。ぱっと見で<イノシシ>と感じたくらいにイノシシそのものな印象のある獣だった。いや、体も実はそんなに大きくねえし、しかもほとんど毛が生えてねえ(ように見える)からどっちかっちゃ<ブタ>に近い感じかもしれねえが、どう見ても凶暴そうなその様子は、やっぱイノシシだよな。

ブタも凶暴な奴は凶暴らしいけどよ。

で、その<イノシシみてえな獣>は、ヴェロキラプトルみてえな獣に取り囲まれてもビビることなく、突っ込んでいった。

イノシシっちゃあ、『猪突猛進』ってえ言葉もあるくれえに直進番長なイメージがあるかもしれねえが、実際にゃフットワークも軽くて方向転換だって自由自在なんだぜ? そしてこっちのイノシシみてえな獣もそれと同じで、右に左にフェイントを使いつつ、突進を躱そうとしたヴェロキラプトルみてえな獣の一匹を撥ね飛ばしやがった。

「ギイッ!」

悲鳴を上げながら吹っ飛ばされつつ、ヴェロキラプトルみてえな獣の方も簡単にゃ怯まない。俺とやり合った時でも、仲間の半数以上がやられるまで戦意が途切れなかったぐれえだ。仲間が吹っ飛ばされた隙を突いてイノシシみてえな獣の後ろ足に噛み付く。

そしたらイノシシみてえな獣も、

「ビキーッッ!!」

吠えながら後ろ足を無茶苦茶に蹴り出して、噛み付いたやつを振り飛ばそうとしやがる。

こりゃあ見ごたえのある勝負だな。

どっちも、この密林じゃ当たり前に繁殖してる獣みてえだから、そりゃヤワじゃねえか。

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