オオカミ竜・ジャック ~心優しき猛獣の生き様~

京衛武百十

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驚異

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二頭のオオカミ竜オオカミに、上半身と下半身に食らい付かれても、ラーテル竜ラーテルは怯まなかった。それぞれのオオカミ竜オオカミに、前脚と後脚の爪で攻撃を加える。口内を滅茶苦茶に爪で切り裂いたのだ。

さすがにこれにはオオカミ竜オオカミの方が怯み、口を離す。瞬間、下半身に食らい付いていた方のオオカミ竜オオカミの喉に逆に食らいつく。

そんなラーテル竜ラーテルに対し、ジャックも続けて攻撃を仕掛けた。ぶら下がったラーテル竜ラーテルの後ろ脚に食らい付く形で。するとすかさず成体おとなオオカミ竜オオカミが逆の後ろ脚に食らい付き、力の限り引っ張る。と、

「ブヂッ!!」

音を立ててラーテル竜ラーテルの後ろ脚がちぎれた。ラーテル竜ラーテル自身がオオカミ竜オオカミの喉に食らい付いていた力と、ジャックが後脚に食らい付いて引っ張る力とが合わさり、肉が裂け、骨が関節から外れたのだ。

なのにラーテル竜ラーテルはそれさえ気にせず、喉に食らい付き続ける。

だから他のオオカミ竜オオカミ成体おとな二頭も、それぞれ前脚に食らい付き、力の限り引っ張った。

「ブチチッ!!」

今度は片方の前脚がちぎれる。それでもラーテル竜ラーテルは離れない。だから今度はまた別のオオカミ竜オオカミ成体おとなが、胴体に食らい付いた。

前脚と後脚が片方ずつ失われ、残っている方もどちらも食い付かれ、自身はオオカミ竜オオカミの喉に食らい付くことをやめず、遂に残っていた前脚も食いちぎられ、後はジャックに食い付かれている方の後脚しか残っていない。

この状態でもなお、ラーテル竜ラーテルオオカミ竜オオカミの喉に食らい付き続ける。

何という執念か。

しかし今度は、食らい付かれていたオオカミ竜オオカミの喉の肉が引きちぎれ、そのはずみで、胴に食らい付いていたオオカミ竜オオカミやジャックもろとも地面に転がる。転がりつつ、ジャックはラーテル竜ラーテルの後脚を放さなかった。胴に食らい付いていた成体おとながそれを放しても、ジャックは放そうとしない。

それに対し、

「ガアッッ!!」

ラーテル竜ラーテルは、オオカミ竜オオカミの血にまみれた顔をジャックに向けて、彼に食らい付こうとした。だが、成体おとなオオカミ竜オオカミがその頭に食らい付き、渾身の力を込めて噛み締めた。ラーテル竜ラーテルの首に牙が食い込み、遂に、

「ゴギリ!」

と音を立てて骨が砕けた。ラーテル竜ラーテルの首の骨が。それと同時に神経が断たれる。

こうなるとさすがに脳からの指令が首から下に届かなくなり、力が抜ける。これによりジャックが後脚を食いちぎり、離れた。そこにまた別の成体おとなオオカミ竜オオカミが胴に食らい付いて引っ張り、こうして、ラーテル竜ラーテルの首と胴体がちぎれて、完全に動かなくなったのだった。

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