オオカミ竜・ジャック ~心優しき猛獣の生き様~

京衛武百十

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群れの結束

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強い猪竜シシとの遭遇により多くの仲間を喪っていたキングの元仲間達は、結果としてジャックの群れに合流できたことで救われたと言えるだろう。キングの<妻>であった雌達も、すぐにジャックを受け入れた。この辺りは生存戦略としては当然なので人間の感覚と照らし合わせても意味はない。

これにより、次の繁殖期を迎えた時には、ジャックは四頭の<妻>を抱え、十四頭の子を生したボスとして立派に群れを率いていた。

この間に、ラーテル竜ラーテルに再び遭遇し仲間を一頭喪ったりもしたが、成体おとな十三頭。ほぼ成体おとなと変わらないもの四頭。さらに幼体こども十二頭の大所帯となった。

とは言え、『幼体こども十二頭』という数字からも分かる通り、子供達はやはり次々と命を落とすため、実は群れの規模を表す時には数に入れないことが多い。

なので、成体おとな及び成体おとなと変わらないもの、さらにジャック自身も合わせても十八頭というのは、群れとしては標準的なレベルだろう。あくまで他の群れに比べて幼体こどもの死亡率が低く、このまま育てばかなりの大きな群れになるだろうというだけで。

ちなみに新たに生まれたジャックの子の十四頭の内、生き残っているのは八頭である。半数よりはやや多いというのは立派な数と言える。

なにより、ジャックの群れは仲間同士仲が良かった。揉め事があってもジャックが仲裁してくれるので、いつまでも尾を引かないのだ。

そして今日も無事に生き延びられ、沈んでいく太陽を。ジャックは眺めていた。

「……」

幼体こどもの頃には『あれは何だろう?』と疑問に思いながら見つめていたそれを、さすがに今ではもうそこまで気にはしていない。いくら考えても答えが出ないゆえに、考えるのをやめてしまったのだ。

ただ同時に、

『自分には正体は分からないが、確かにそこに存在する<何か>』

であることは理解しており、そこまで考えが至ることのない他のオオカミ竜オオカミに比べればやはり知能は高いのだろう。

だからこそ、力で押さえ付けるのではなく、

『この群れに穏当に属していることが自身にとっても利になる』

と考えさせるという形で群れの結束を維持していた。仲間に暴力をふるったり、幼体こども達を恐怖で支配しないのだ。

とは言え、自分の息子達が大きくなれば巣立ちさせなけばならないことも、彼は理解していた。娘は群れに残ることがほとんどではあるものの、息子には巣立ってもらわないと近親婚が増えてしまう。それはマズいと本能的に悟っているのだろうか。

そして、他の群れから合流した雄がボスの娘とつがい、ボスとは血縁のない雌が成長して新たにボスからの寵愛を受けるという形である。

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