オオカミ竜・ジャック ~心優しき猛獣の生き様~

京衛武百十

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守ってもらわないと

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普通、オオカミ竜オオカミの雄がボスの座に就くまでには、最低でも七~八年の時間は必要であるという。なのにジャックはわずか五年足らずでボスの座に収まったのだ。これは異例なことであると言えるだろう。

そんな<若いボス>ではあったものの、群れは穏当に維持されていた。キングが率いていた側は不運にも非常に強い猪竜シシと遭遇してしまったこともあって弱体化していたが、ジャックの群れに合流することでそれも解消された。ジャックが率いていた若いオオカミ竜オオカミ達が立派に育っていたからである。

さらにそこに、他の群れから巣立った雄が合流。これまたいきなりボスのジャックに挑むというなかなか骨のある雄だったので、先に合流した雄の奪い合いに負けたキングの娘が新しく合流した雄とつがい、子を生した。

こうして、いずれまたジャックと番うことになる候補の雌が生まれたわけだ。

なお、オオカミ竜オオカミの群れの場合、基本的にはボスが雌を力尽くで従わせるのではなく、あくまで雌がボスと認めた雄を受け入れるだけである。選択権は実は雌の方にあるのだ。とは言え、たいていは力があり群れを率いる器を持つ雄は大変に魅力的なので、受け入れるのが当然ではあるが。

ちなみに、ボス以外の雄は、複数の雌と番うことはまずない。複数の雌に言い寄られても、その内の一頭しか選べない。ボスではないからだ。ジャックはその辺り気にしてはいなかったようだが、本能的にそうなってしまうのだろう。

だから、先に加わった雄も、新しく加わった雄も、それぞれキングの娘一頭と番っている。

また、そういう雄の子は、ボスの子に比べると相対的にヒエラルキーの点で地位は低くなる傾向にある。雌はそれでもボスの寵愛を受けられれば逆転の目もあるものの、雄の場合は、ジャックのように飛び抜けた才能を持つか、それこそ一発逆転を狙い自らがボスの座に座るしか上位に這い上がる道がない。あとは、群れを出て他の群れに合流することで新たなヒエラルキーに飛び込むかだ。

それができないものは、それこそ兵隊として酷使されるか、そもそも幼体こどもの内にイジメられて命を落とすかになる。

ただ、ジャックは、幼体こども達がそこまで一方的にイジメることを良しとはしなかったようだ。基本的には自分の子であろうと他の雄の子であろうと等しく守るし、イジメられている子がいれば自分の傍に置くことで守ったりもした。けれども、やはりそうやって守ってもらわないとダメな子はそもそも生きる力が十分ではないのか、気が付いたら死んでいたりということも多かったのだった。

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