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なぜそれで立てるのか
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ジャックに蹴り飛ばされたジョーカーの体は、まるでゴム人形のように力なく転がった。なのに、ブルンッ!と震えたかと思うと、明らかに異様な動きと姿勢で立ち上がった。どうやら平衡感覚が失われているようだ。ジョーカー自身は真っ直ぐ立っているつもりなのかもしれないが、なぜそれで立てるのか分からない角度まで傾いた状態で立ってみせていた。しかもジャックを睨み付ける目が、すでに焦点さえ合っていない。
その姿は見る者の精神を削るものだっただろう。事実、ジャックの仲間達どころかジョーカーの仲間達まで凍り付いていたのだ。本当に得体のしれない<何か>がそこにいたのだ。
<オオカミ竜のようにも見えるが明らかに何か別のもの>
とでも言えばいいのか。
「グル……ッ!」
さすがのジャックでさえ、明らかに慄いていた。しかし彼は踏みとどまってみせた。ここで自分がパニックを起こせば仲間達は総崩れになる。だからそれだけは避けなければいけない。
「ジャアッッ!!」
明らかに傾いたままの姿勢でなぜ走れるのかも分からない状態で、ジョーカーが襲い掛かる。
けれど、冷静になればもうすでに走る速度も普通のオオカミ竜にも届かない程度だった。あまりにも異様すぎるその姿に恐怖して動けなくなっていたら危険だったかもしれないが、ジャックはそうじゃなかった。
まるで映画に出てくる<走るゾンビ>のようなジョーカーに対してもためらうことなく自らも走り、その首に食らい付いてみせた。そして渾身の力を込めて引きずり倒し、腹に足の爪を突き立てつつ、頸椎を噛み砕き、神経を断ち切る。
それで終わりだった。と言うか、ようやく終わった。
「ゲ……ゲ……ッ!」
呪詛のごとき声をわずかに漏らしつつ、ぎょろりと狂気そのものの目をジャックに向けつつ、ジョーカーは、徐々にその命が失われていくことさえ構う様子がなかった。体はもう動かなくとも、殺意は衰えない。
とは言え、物理的に命を維持できなくなっていくことは止めることができなかった。
「……」
ジャックも油断することなく、完全に命が消え去るのを待つ。そんな彼の背後では、生き延びたジョーカーの仲間達も茫然と立ち尽くしているだけだった。
そして戦意を失った者については、もう<敵>ではなかった。
この戦いで死んだジョーカーとクイーン、そしてジョーカーの仲間達の死骸を、皆で食らう。どれほど狂気に歪んでいたとしても死ねばただの<肉の塊>。生き延びた者の命の糧となる。
<ジョーカーの兄>も、傷を癒すための糧にでもしようとするかのように、ジョーカーの肉を食らったのだった。
その姿は見る者の精神を削るものだっただろう。事実、ジャックの仲間達どころかジョーカーの仲間達まで凍り付いていたのだ。本当に得体のしれない<何か>がそこにいたのだ。
<オオカミ竜のようにも見えるが明らかに何か別のもの>
とでも言えばいいのか。
「グル……ッ!」
さすがのジャックでさえ、明らかに慄いていた。しかし彼は踏みとどまってみせた。ここで自分がパニックを起こせば仲間達は総崩れになる。だからそれだけは避けなければいけない。
「ジャアッッ!!」
明らかに傾いたままの姿勢でなぜ走れるのかも分からない状態で、ジョーカーが襲い掛かる。
けれど、冷静になればもうすでに走る速度も普通のオオカミ竜にも届かない程度だった。あまりにも異様すぎるその姿に恐怖して動けなくなっていたら危険だったかもしれないが、ジャックはそうじゃなかった。
まるで映画に出てくる<走るゾンビ>のようなジョーカーに対してもためらうことなく自らも走り、その首に食らい付いてみせた。そして渾身の力を込めて引きずり倒し、腹に足の爪を突き立てつつ、頸椎を噛み砕き、神経を断ち切る。
それで終わりだった。と言うか、ようやく終わった。
「ゲ……ゲ……ッ!」
呪詛のごとき声をわずかに漏らしつつ、ぎょろりと狂気そのものの目をジャックに向けつつ、ジョーカーは、徐々にその命が失われていくことさえ構う様子がなかった。体はもう動かなくとも、殺意は衰えない。
とは言え、物理的に命を維持できなくなっていくことは止めることができなかった。
「……」
ジャックも油断することなく、完全に命が消え去るのを待つ。そんな彼の背後では、生き延びたジョーカーの仲間達も茫然と立ち尽くしているだけだった。
そして戦意を失った者については、もう<敵>ではなかった。
この戦いで死んだジョーカーとクイーン、そしてジョーカーの仲間達の死骸を、皆で食らう。どれほど狂気に歪んでいたとしても死ねばただの<肉の塊>。生き延びた者の命の糧となる。
<ジョーカーの兄>も、傷を癒すための糧にでもしようとするかのように、ジョーカーの肉を食らったのだった。
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