オオカミ竜・ジャック ~心優しき猛獣の生き様~

京衛武百十

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容赦ない攻撃を

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ジャックとしてはせっかく獲物がいるのにわざわざ他の群れと争うというのは避けたいというのが正直な気持ちではあったものの、飢えて追い詰められていた仲間達のその怒りは、無理に抑えつけると思いがけない形で爆発しそうな予感があった。だから、

「ガアアアアアアーッッ!!」

愚かな真似をして獲物を逃がしてしまったオオカミ竜オオカミの群れに対し、ジャックは仲間に容赦ない攻撃を命じた。怒りの矛先を明確にするために。<敵>をはっきりとさせて、不平不満を向ける相手を限定するために。

もちろん、その群れも追い詰められてそうなってしまっただけであろうことは分かる。分かるが、ジャックの群れもすでに極限状態だったのだ。だから襲った。

ジャックらに襲われたオオカミ竜オオカミは痩せ細っていてあまりにも非力だった。そういう意味ではまだ余裕があったジャックらには勝てなかったようだ。

また、数の上でもジャック達が有利だった。仲間内で共食いをしたことで数を減らしたのかもしれない。

そうしてたちまち六頭のオオカミ竜オオカミを倒し、その肉にありつけた。仲間の肉は一口しか食べられなかったジャックも、今回はしっかりと食べられた。

これにより一息吐けたことで、ジャックも安堵した。インパラ竜インパラには逃げられたとはいえ、遠くの方にはまだインパラ竜インパラの姿が見える。ならば焦る必要もないだろう。次の機会を待てばいい。

と、ジャックの視界に、小さな影が。

幼体こどもだった。オオカミ竜オオカミ幼体こどもだ。先ほどの群れの子のようだ。四頭いる。

「グルッ!」

仲間がそれに気付いて襲い掛かろうとしたが、ジャックはその前に立ちはだかって止めた。

『もういい……獲物はいるんだから……』

ジャックはそう思った。その幼体こども達に分け与えても、オオカミ竜オオカミの肉は余った。だからもういいと……

今回の群れは、幼体こどもを食って生き延びたわけではなかったようだ。もしかすると仲間内で共食いをしたわけでもなかったのかもしれない。だからこそ飢えていたのかもしれない。そう考えると切なくもある。

だが、これも<生存競争>というものの一面だろう。何が正解で何が間違いなのか、誰にも分からない。

『生き延びた者が勝ち』

という厳然たる事実以外には。

なればこそ、今回の群れは、自分達は犠牲になったが幼体こども達はこうしてジャックの群れに合流して生き延びたのだから、ある意味では<正解>だったのだろうか……

そして翌日には、改めてインパラ竜インパラを狙い、見事それを仕留めることができた。

ただ、昨日のオオカミ竜オオカミの肉については、夜が明ける前にはきれいさっぱり骨だけになっていたが。

どうやら夜のうちにテチチ竜テチチが平らげてしまったようだ。

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