69 / 95
方針転換
しおりを挟む
ジャックは、獲物を確実に捕えながらもなるべく他の群れとは遭遇しないように気を付けるようにした。飢えている群れであれば勝てるだろうが、元々この辺りを縄張りにしていた群れと今の時点で遭遇してはかなり不利なのは分かっていたからだ。
しかし、その<他の群れ>に、毎日のように遭遇した。どうやら同じようにこちらに移動してきた群れが続々と集まってきているようだ。
だからか、獲物の数が目に見えて減ってきていた。確かに獲物の数は、あの疫病の蔓延以前のそれと変わらないくらいいたのだろうが、オオカミ竜をはじめとした肉食獣がやはり獲物を求めて集まり、結果として肉食獣の数が異常なそれになったのだろう。<狩られるもの>と<狩るもの>のバランスがまたしても崩れてしまったのだ。
このままではいずれ、同じように獲物がいなくなってしまう。
「グルルルルルルル……」
ジャックにはそれが分かってしまって、ゆえに方針転換を余儀なくされた。
『他の群れを駆除する』
と。降伏し服従の意を示すなら受け入れてもいいものの、そうじゃないものについては駆除しなければならないと考えたのだ。
だから、遭遇したのが勝てそうな相手なら容赦なく倒すことにした。
ジャックとしては本当はやりたくなかった。獲物を狩るのは生きるために必要なので割り切れるものの、仲間を危険に曝してまで他の群れと争うのは彼の望むところではないがゆえに。
事実、一頭、また一頭と仲間が命を落としていく。と同時に、退けた群れの生き残りが新たに仲間に加わったりして、全体としての数は徐々に増えていった。しかし、そうじゃない。そうじゃないのだ。ジャックが大切にしたいのは<群れの勢力>ではなくて、<仲間>なのだ。仲間を犠牲にして群れを大きくしても、意味がない。
「……」
今日もまた、ずっと一緒にいた仲間の一頭が死んだ。その肉を一口食べて、残りは他の者達に譲る。その分、倒した相手の肉を貪る。今回はレオンだった。まったく別の種族なだけあって仲間には加えられなかったから、逃げた者を除いて皆殺しにした。まったく異なる種族だっただけに別に胸も痛まなかった。
いつもこうなら、遠慮する必要がない分、まだ気が楽なのだが……
とは言え、仲間を喪っては元も子もない。
『いつか以前のような暮らしに戻れるのだろうか……』
やはり明瞭な思考ではないものの、それに近い意味合いのことを考える。
同時に、『いつかは戻れる』ことは、ジャックには分かった。こうして肉食獣の数が減っていけば、いずれはバランスが取れるようになることを、何となくではありつつも理解していたのだった。
しかし、その<他の群れ>に、毎日のように遭遇した。どうやら同じようにこちらに移動してきた群れが続々と集まってきているようだ。
だからか、獲物の数が目に見えて減ってきていた。確かに獲物の数は、あの疫病の蔓延以前のそれと変わらないくらいいたのだろうが、オオカミ竜をはじめとした肉食獣がやはり獲物を求めて集まり、結果として肉食獣の数が異常なそれになったのだろう。<狩られるもの>と<狩るもの>のバランスがまたしても崩れてしまったのだ。
このままではいずれ、同じように獲物がいなくなってしまう。
「グルルルルルルル……」
ジャックにはそれが分かってしまって、ゆえに方針転換を余儀なくされた。
『他の群れを駆除する』
と。降伏し服従の意を示すなら受け入れてもいいものの、そうじゃないものについては駆除しなければならないと考えたのだ。
だから、遭遇したのが勝てそうな相手なら容赦なく倒すことにした。
ジャックとしては本当はやりたくなかった。獲物を狩るのは生きるために必要なので割り切れるものの、仲間を危険に曝してまで他の群れと争うのは彼の望むところではないがゆえに。
事実、一頭、また一頭と仲間が命を落としていく。と同時に、退けた群れの生き残りが新たに仲間に加わったりして、全体としての数は徐々に増えていった。しかし、そうじゃない。そうじゃないのだ。ジャックが大切にしたいのは<群れの勢力>ではなくて、<仲間>なのだ。仲間を犠牲にして群れを大きくしても、意味がない。
「……」
今日もまた、ずっと一緒にいた仲間の一頭が死んだ。その肉を一口食べて、残りは他の者達に譲る。その分、倒した相手の肉を貪る。今回はレオンだった。まったく別の種族なだけあって仲間には加えられなかったから、逃げた者を除いて皆殺しにした。まったく異なる種族だっただけに別に胸も痛まなかった。
いつもこうなら、遠慮する必要がない分、まだ気が楽なのだが……
とは言え、仲間を喪っては元も子もない。
『いつか以前のような暮らしに戻れるのだろうか……』
やはり明瞭な思考ではないものの、それに近い意味合いのことを考える。
同時に、『いつかは戻れる』ことは、ジャックには分かった。こうして肉食獣の数が減っていけば、いずれはバランスが取れるようになることを、何となくではありつつも理解していたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる