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ハーレム
発見(二千年前のとは、驚きだ)
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操舵室の中は、意外な程に綺麗だった。宇宙船だからか当然、空気は清浄化された上で循環していたんだろう。埃も殆ど積もってない。荒らされたり破壊された形跡もない。俺と同じで、遭難した時の状況もそれほど深刻なものでもなかったようだ。当時の整然とした様子が伺える。
搭乗員達も無駄にパニックを起こしたりせず、淡々とここでのサバイバル生活を営んでたんだろうな。
ぐるりと中を見回していた時、エレクシアの視線が止まった。その理由に俺も気付く。
「人間、か…!?」
操舵室の壁にもたれかかるようにして座り込んでいる人影が見えた。だがすぐに、人間ではないことが分かる。
「メイトギア…!?」
呟いた俺にエレクシアも応じる。
「どうやらメイトギアのようですね。バッテリーは完全に上がっているようですが」
エレクシアが近付いて確認すると、間違いなくメイトギアだった。腰まで届きそうな銀髪に細身の顔立ち。全体的に華奢な印象があるシルエットだ。当時はこんな感じのが流行ってたんだろうか。
まあそれはさておき、メイトギアがいたなら、下手な情報端末よりも詳しい情報が得られる可能性がある。そこで俺はエレクシアに命じた。
「起動できるようなら起動させてみてくれ」
俺がそう命じるであろうことを予測していたエレクシアは、既に再起動の準備を始めていた。
「銀河歴一〇三七年であればユニバーサル規格の無線給電が一般化していた筈ですので、まず充電を試みます。内臓電池はさすがに劣化しているでしょうからメインフレーム内のデータは消えている可能性が高いですが、バックアップ用のストレージには情報が残っているでしょう。自動復旧機能があればそれを基に復元できるかもしれません」
説明しながらも淡々と用意を済ませ、充電を開始した。
「やはり完全にバッテリーが上がっている状態ですね。バッテリーそのものも劣化しきっていますがキャパシタはまだ生きているようですので、起動は可能だと思われます」
キャパシタとは、蓄電池の一種で、つまりバッテリーの一種なんだが、一般には化学反応により電気を蓄えるものが<バッテリー>と呼ばれている。それに対しキャパシタは電気を電気のままで蓄えることができ充放電の効率も化学反応式のものとは比べ物にならないくらいに高い上に劣化が殆どないんだが、残念ながら蓄えられる電気の量が少なくて、化学反応式のバッテリーをサポートする程度の役目しか与えられていないものだった。ただこのおかげで、交換の為にバッテリーを外してもデータは保持されるんだがな。
キャパシタの容量だけだと、たぶん、半日くらいしか動けなかった筈だ。
無線給電機のモニターを見ると給電はされてるようなので、一分ほど様子を見て、エレクシアが起動スイッチを押す。
フォーンという感じの柔らかい音が聞こえてきた。もしかすると起動音か? 起動に成功したということか?
と、そのメイトギアが目を開き、起動時特有の無表情な顔でエレクシアを見た。こいつ、動くぞ。
「ご利用ありがとうざいます。私の名前はセシリアCQ202。内部ストレージにバックアップがあります。復元しますか?」
あ、自動で復元しないのか。プロテクトが掛けられてるな、これは。
それでも念の為に「イエス」と告げさせてみる。すると当然、
「バックアップデータを用いて復元します。パスワードを入力してください」
との返事。仕方ない、復元は諦めるか。だが、標準でインストールされてる情報にならアクセスは可能だろう。メイトギアならエレクシアのサポートにも使えるだろうし、このまま持ち帰るか。なので復元は行わず通常起動させる。だが。
「ユーザーコードを入力してください」
ときた。当然か。ユーザー以外に勝手に使われたら困るからな。まあいい。機能は制限されるがリストリクテッドモードで起動しよう。この辺り、ロボットはロボットだなと思い知らされる。
さりとて、人間でも素性の知れない初対面の相手には警戒したりすべての情報を明かさないのが普通だから、それと似たようなものとも言えなくもないかな。
「起動を完了いたしました。現在、制限付きモードで作動中です。ユーザーコードを入力していただければ、すべての機能にフルアクセスできます」
ようやく起動させられたので立ち上がらせる。が、今度はよろよろとひどくぎこちない。
「各関節に想定外の負荷が掛かっています。メンテナンスが必要です」
無理もない。どれくらいの期間放置されていたのか分からないが、百年や二百年じゃないだろうからな。ひょっとしたら二千年以上かもしれない。こうやって動くだけでも大したものなんだろう。
そこで、セシリアCQ202には椅子に座って待機してもらうことにして、当初の目的通り情報端末を探す。それ自体はタブレットがすぐに見付かった。こちらは何とか通常の起動ができた。もっとも、パスワードが分からなかったからやっぱり新規ユーザーとしての起動になってしまったが。
操舵室でははっきりした情報は得られなかったので、エレクシアにさらに船内を捜索してもらったのだった。
搭乗員達も無駄にパニックを起こしたりせず、淡々とここでのサバイバル生活を営んでたんだろうな。
ぐるりと中を見回していた時、エレクシアの視線が止まった。その理由に俺も気付く。
「人間、か…!?」
操舵室の壁にもたれかかるようにして座り込んでいる人影が見えた。だがすぐに、人間ではないことが分かる。
「メイトギア…!?」
呟いた俺にエレクシアも応じる。
「どうやらメイトギアのようですね。バッテリーは完全に上がっているようですが」
エレクシアが近付いて確認すると、間違いなくメイトギアだった。腰まで届きそうな銀髪に細身の顔立ち。全体的に華奢な印象があるシルエットだ。当時はこんな感じのが流行ってたんだろうか。
まあそれはさておき、メイトギアがいたなら、下手な情報端末よりも詳しい情報が得られる可能性がある。そこで俺はエレクシアに命じた。
「起動できるようなら起動させてみてくれ」
俺がそう命じるであろうことを予測していたエレクシアは、既に再起動の準備を始めていた。
「銀河歴一〇三七年であればユニバーサル規格の無線給電が一般化していた筈ですので、まず充電を試みます。内臓電池はさすがに劣化しているでしょうからメインフレーム内のデータは消えている可能性が高いですが、バックアップ用のストレージには情報が残っているでしょう。自動復旧機能があればそれを基に復元できるかもしれません」
説明しながらも淡々と用意を済ませ、充電を開始した。
「やはり完全にバッテリーが上がっている状態ですね。バッテリーそのものも劣化しきっていますがキャパシタはまだ生きているようですので、起動は可能だと思われます」
キャパシタとは、蓄電池の一種で、つまりバッテリーの一種なんだが、一般には化学反応により電気を蓄えるものが<バッテリー>と呼ばれている。それに対しキャパシタは電気を電気のままで蓄えることができ充放電の効率も化学反応式のものとは比べ物にならないくらいに高い上に劣化が殆どないんだが、残念ながら蓄えられる電気の量が少なくて、化学反応式のバッテリーをサポートする程度の役目しか与えられていないものだった。ただこのおかげで、交換の為にバッテリーを外してもデータは保持されるんだがな。
キャパシタの容量だけだと、たぶん、半日くらいしか動けなかった筈だ。
無線給電機のモニターを見ると給電はされてるようなので、一分ほど様子を見て、エレクシアが起動スイッチを押す。
フォーンという感じの柔らかい音が聞こえてきた。もしかすると起動音か? 起動に成功したということか?
と、そのメイトギアが目を開き、起動時特有の無表情な顔でエレクシアを見た。こいつ、動くぞ。
「ご利用ありがとうざいます。私の名前はセシリアCQ202。内部ストレージにバックアップがあります。復元しますか?」
あ、自動で復元しないのか。プロテクトが掛けられてるな、これは。
それでも念の為に「イエス」と告げさせてみる。すると当然、
「バックアップデータを用いて復元します。パスワードを入力してください」
との返事。仕方ない、復元は諦めるか。だが、標準でインストールされてる情報にならアクセスは可能だろう。メイトギアならエレクシアのサポートにも使えるだろうし、このまま持ち帰るか。なので復元は行わず通常起動させる。だが。
「ユーザーコードを入力してください」
ときた。当然か。ユーザー以外に勝手に使われたら困るからな。まあいい。機能は制限されるがリストリクテッドモードで起動しよう。この辺り、ロボットはロボットだなと思い知らされる。
さりとて、人間でも素性の知れない初対面の相手には警戒したりすべての情報を明かさないのが普通だから、それと似たようなものとも言えなくもないかな。
「起動を完了いたしました。現在、制限付きモードで作動中です。ユーザーコードを入力していただければ、すべての機能にフルアクセスできます」
ようやく起動させられたので立ち上がらせる。が、今度はよろよろとひどくぎこちない。
「各関節に想定外の負荷が掛かっています。メンテナンスが必要です」
無理もない。どれくらいの期間放置されていたのか分からないが、百年や二百年じゃないだろうからな。ひょっとしたら二千年以上かもしれない。こうやって動くだけでも大したものなんだろう。
そこで、セシリアCQ202には椅子に座って待機してもらうことにして、当初の目的通り情報端末を探す。それ自体はタブレットがすぐに見付かった。こちらは何とか通常の起動ができた。もっとも、パスワードが分からなかったからやっぱり新規ユーザーとしての起動になってしまったが。
操舵室でははっきりした情報は得られなかったので、エレクシアにさらに船内を捜索してもらったのだった。
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