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新世代

翔編 マリッジハラスメント

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しょうの出産は、幸い、大きなトラブルもなく順調に終わった。元々アクシーズは、人間の基準で見ると超未熟児の状態で子供を産むこともあって、難産になることは比較的少ないようだ。出産中も外的に狙われ易い危険な時間でもあるしな。

いずれにせよ無事に済んだのなら幸いだ。

子供はどうやら雌のようだった。楼羅ろうらと名付ける。別に深い意味はない。単に響きがいいなと思っただけだ。

楼羅ろうらも元気で、しっかりとしょうの胸にしがみついて早速おっぱいに吸い付いてた。

「よかった」

「よかったですね」

その様子をタブレットで見守りながら俺とシモーヌはホッとしていた。すると、今日の調査を終えて帰ってきていたあかりも、

「カワイイね♡」

と彼女にとっては姪っ子に当たる楼羅ろうらにデレデレだな。

ただこうなると、あかりにもと思ってしまう。すいにも清良せいらがいるんだし。

さりとて、こればっかりは本人がその気にならないとなあ。親がいくら気を揉んでも仕方ない。

が、老化抑制処置を受けていないあかりの時間は俺やシモーヌよりもずっと短い。そういう意味では焦りも覚える。

今の人間社会では『結婚しろ』みたいに口出しすると<マリッジハラスメント>になるんだが、時間的な余裕があることで、今ではわざわざ口に出す者も少ない。しかしここだと俺達よりははるかに時間的な余裕がないから、ついつい口出ししたくなる気持ちも分からないでもないな。

それでも口には出さないが。

出したところで物理的に『相手がいない』。現状では相手になりそうなのはじゅんだけだ。しかし正直なところ、じゅん相手にはそういう気持ちになれないそうだ。

好きでもない相手とやれと言うわけにもいかないし。

だから、

「まあ、無理に子供作らなくてもいい。お前に任せる」

とは言ってある。

「ごめんね~」

あかりは頭を掻きながらそう応えた。

いや、謝る必要はないさ。野生だってすべての個体が子供を残せるわけじゃないんだ。結果として子供を残せなかったとしてもそれも込みで摂理というものだろう。

まあ、あかりの子供が見られないのは、正直、残念ではあるけどな。しかしそんなのは俺の勝手な想いでしかない。それをあかりに押し付けるわけにはいかないよ。

シモーヌもそう思ってくれてる。

「私も、コーネリアス号乗員の秋嶋あきしまシモーヌとしてここに来るまでは、結婚とか子供とか考えていませんでした。たまたま同じコーネリアス号の乗員の男性でなんとなく『いいかな』と思える人がいて、その上で遭難したことでここに根付いていこうということになり結ばれましたが、それがなければ結婚してなかった可能性もありますね。私から積極的にアプローチすることもなかったですし」

とのことだった。

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