930 / 2,962
新世代
來編 新しい命
しおりを挟む
「來……」
明らかにクロコディアの姿をしていない我が子の姿を見ながら、それでも來は平然と世話をしていた。
我が子の体に着いた粘液を舐め取っていく。
すると赤ん坊の方も手足をばたつかせながら「みいみい」と声を上げている。
すごく元気そうだ。
「どういうことだ……?」
思わず声を上げた俺に、シモーヌが、
「もしかしたら、私達と一緒に暮らしたことが影響してるのかも……
彼女は、光や灯がまだ赤ん坊だった頃の姿も見ているし、人間の姿に対してあまり強い違和感を持っていない可能性が……」
と。
言われてみれば、なるほどそうかもしれない。彼女にしてみれば俺達も<仲間>だった。その仲間と同じ姿をしているこの赤ん坊も、<我が子>だと認識できてもそんなに不思議はないんだろう。
「そうか…よかった……」
灯が呟いて、その場にホッとした空気が流れる。
ビアンカは涙ぐんで口を覆ってるし、久利生も安堵した表情で妻と子を見守っている。
シモーヌも涙を拭っていた。
來が母親として我が子を育てるというのなら、俺達はそれを手伝うだけだ。
たぶん、これまで育ててきた子供達といろいろ違う部分もあって戸惑うこともあるだろう。人間のように道徳や法律で縛られているわけじゃないから、自分の手に負えないとなればカッとなって手に掛けようとしてしまったりすることもあるかもしれない。
だが、そういう部分は俺達がフォローすればいい。
だから俺は言った。
「來には育てられないかもしれない子を迎えることを決めたのは俺達だ。だったら、來がこの子を結果として育てられなくても、それを責めるのは筋違いだと思う。
この子は俺達みんなで育てよう」
その言葉に、
「もちろん! 最初からそのつもりだよ!」
灯がドン!と胸を叩いて応え、
「はい、私もそのつもりでした」
ビアンカが涙ながらに応え、
「僕はそれこそこの子の父親だからね。育てる義務がある」
久利生はそう言って微笑んだ。
特にビアンカにとってはいろいろと複雑な想いもあるだろうに、そういうこととは切り離して、來の赤ん坊を、
<自分が守るべき対象>
と考えてくれることには本当に頭が下がる。
普通に考えれば他の女性が産んだ<惚れた男の子供>なんて、憎悪の対象になってもおかしくないし、実際にそれで子供を傷付けようとした女性、だけじゃなく時には男性もいたりするそうだが、逮捕されたりということはあるそうだ。
それを思うと、ビアンカは立派だよ。
とは言えそれも、久利生がちゃんと彼女を愛してくれてるからというのもあるかもしれないが。
実際、來が妊娠したことで求めなくなってからは、ほとんど毎日、久利生に愛してもらっているそうだ。
それがゆえの精神的な余裕があるんだろう。
いずれにせよ、新しい命を迎えた來は、穏やかな表情でさっそく赤ん坊に乳をやっていたのだった。
明らかにクロコディアの姿をしていない我が子の姿を見ながら、それでも來は平然と世話をしていた。
我が子の体に着いた粘液を舐め取っていく。
すると赤ん坊の方も手足をばたつかせながら「みいみい」と声を上げている。
すごく元気そうだ。
「どういうことだ……?」
思わず声を上げた俺に、シモーヌが、
「もしかしたら、私達と一緒に暮らしたことが影響してるのかも……
彼女は、光や灯がまだ赤ん坊だった頃の姿も見ているし、人間の姿に対してあまり強い違和感を持っていない可能性が……」
と。
言われてみれば、なるほどそうかもしれない。彼女にしてみれば俺達も<仲間>だった。その仲間と同じ姿をしているこの赤ん坊も、<我が子>だと認識できてもそんなに不思議はないんだろう。
「そうか…よかった……」
灯が呟いて、その場にホッとした空気が流れる。
ビアンカは涙ぐんで口を覆ってるし、久利生も安堵した表情で妻と子を見守っている。
シモーヌも涙を拭っていた。
來が母親として我が子を育てるというのなら、俺達はそれを手伝うだけだ。
たぶん、これまで育ててきた子供達といろいろ違う部分もあって戸惑うこともあるだろう。人間のように道徳や法律で縛られているわけじゃないから、自分の手に負えないとなればカッとなって手に掛けようとしてしまったりすることもあるかもしれない。
だが、そういう部分は俺達がフォローすればいい。
だから俺は言った。
「來には育てられないかもしれない子を迎えることを決めたのは俺達だ。だったら、來がこの子を結果として育てられなくても、それを責めるのは筋違いだと思う。
この子は俺達みんなで育てよう」
その言葉に、
「もちろん! 最初からそのつもりだよ!」
灯がドン!と胸を叩いて応え、
「はい、私もそのつもりでした」
ビアンカが涙ながらに応え、
「僕はそれこそこの子の父親だからね。育てる義務がある」
久利生はそう言って微笑んだ。
特にビアンカにとってはいろいろと複雑な想いもあるだろうに、そういうこととは切り離して、來の赤ん坊を、
<自分が守るべき対象>
と考えてくれることには本当に頭が下がる。
普通に考えれば他の女性が産んだ<惚れた男の子供>なんて、憎悪の対象になってもおかしくないし、実際にそれで子供を傷付けようとした女性、だけじゃなく時には男性もいたりするそうだが、逮捕されたりということはあるそうだ。
それを思うと、ビアンカは立派だよ。
とは言えそれも、久利生がちゃんと彼女を愛してくれてるからというのもあるかもしれないが。
実際、來が妊娠したことで求めなくなってからは、ほとんど毎日、久利生に愛してもらっているそうだ。
それがゆえの精神的な余裕があるんだろう。
いずれにせよ、新しい命を迎えた來は、穏やかな表情でさっそく赤ん坊に乳をやっていたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる