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第三世代
灯編 ナイスファイト
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ビアンカがケイン達を気にしてることについて、未来は少しヤキモチを妬いているようだった。だが灯はそれに対して、
『お兄ちゃんなんだから我慢しなさい!』
とは言わない。ヤキモチの矛先をケイン達や黎明に向けることは許さないが。だからといってただ我慢を強いるわけでもない。
地球人の大人だって、一方的に我慢させられることを嫌ってたじゃないか。
『言いたいことも言えない世の中なんておかしい!』
とか言い訳して、自分とは何の関わりもない相手を罵っていたりしたじゃないか。そういうのは本来、『礼儀に反する』行いだっただろう? なのに、自分の鬱憤をぶつけようとする。それこそ、『我慢する』ことなく、な。
自分は我慢したくないが、他者には『我慢しろ』と? 随分とムシのいい話じゃないか。
で、
『お前らは我慢してないクセにこっちには我慢させようとする! ふざけんな!!』
とキレた奴がトラブルを起こしたりもする。
散々そういうことを繰り返してきたのに、まだ『自分は我慢したくないが他者には我慢させようとする』というのを続けるのか?
なんでそれで上手くいくと思えるんだ?
とは言え、鬱憤をぶつける相手や手段は選ばなくちゃいけない。灯は、それを未来に教えてくれてるんだよ。
今の時点では未来よりも強い自分に対して、ボクシングのトレーニングの<ミット打ち>的な形で、ヤキモチでむしゃくしゃしてる自分の鬱憤を叩き付ける。そんな未来を、
『メンドクサイ。そんなことしてられない』
なんて甘えたことは言わずに、灯は受け止めてくれる。
ビシッ!! バシッ!!
と、とても幼児が出す音とは思えない衝撃音をさせながら、未来は灯の掌を拳で打つ。
「まだまだ! そんなものか!? ドンドン来い!」
灯はそうハッパを掛けて、未来を鼓舞した。すると未来も、さらに回転を上げる。地球人のプロボクサー顔負けの腰の入った体重の乗った、それこそ一発一発が一撃必殺の威力を持ったパンチを、無数に繰り出してくる。
「うおおおおおおおっ!!」
いつしか雄叫びまで上げながら、未来は今の自分のすべてを灯の掌に叩きつけた。
そうしてたっぷり十分はフル回転でパンチを繰り出し続け、汗だくになって息を切らして、彼はその場に腰を落とした。そんな彼に対して、灯は、
「よし! 未来! ナイスファイト!!」
ニヤリと笑みを浮かべつつ右手の親指を立てて称えた。すると未来も、ニッと笑って体を起こして、ピューっと川に向かって走り、そのまま飛び込んだ。
それを見届けて、灯は、
「痛てて……未来、強くなったなあ……」
赤くなった自分の両手を振りながら嬉しそうに笑ったのだった。
『お兄ちゃんなんだから我慢しなさい!』
とは言わない。ヤキモチの矛先をケイン達や黎明に向けることは許さないが。だからといってただ我慢を強いるわけでもない。
地球人の大人だって、一方的に我慢させられることを嫌ってたじゃないか。
『言いたいことも言えない世の中なんておかしい!』
とか言い訳して、自分とは何の関わりもない相手を罵っていたりしたじゃないか。そういうのは本来、『礼儀に反する』行いだっただろう? なのに、自分の鬱憤をぶつけようとする。それこそ、『我慢する』ことなく、な。
自分は我慢したくないが、他者には『我慢しろ』と? 随分とムシのいい話じゃないか。
で、
『お前らは我慢してないクセにこっちには我慢させようとする! ふざけんな!!』
とキレた奴がトラブルを起こしたりもする。
散々そういうことを繰り返してきたのに、まだ『自分は我慢したくないが他者には我慢させようとする』というのを続けるのか?
なんでそれで上手くいくと思えるんだ?
とは言え、鬱憤をぶつける相手や手段は選ばなくちゃいけない。灯は、それを未来に教えてくれてるんだよ。
今の時点では未来よりも強い自分に対して、ボクシングのトレーニングの<ミット打ち>的な形で、ヤキモチでむしゃくしゃしてる自分の鬱憤を叩き付ける。そんな未来を、
『メンドクサイ。そんなことしてられない』
なんて甘えたことは言わずに、灯は受け止めてくれる。
ビシッ!! バシッ!!
と、とても幼児が出す音とは思えない衝撃音をさせながら、未来は灯の掌を拳で打つ。
「まだまだ! そんなものか!? ドンドン来い!」
灯はそうハッパを掛けて、未来を鼓舞した。すると未来も、さらに回転を上げる。地球人のプロボクサー顔負けの腰の入った体重の乗った、それこそ一発一発が一撃必殺の威力を持ったパンチを、無数に繰り出してくる。
「うおおおおおおおっ!!」
いつしか雄叫びまで上げながら、未来は今の自分のすべてを灯の掌に叩きつけた。
そうしてたっぷり十分はフル回転でパンチを繰り出し続け、汗だくになって息を切らして、彼はその場に腰を落とした。そんな彼に対して、灯は、
「よし! 未来! ナイスファイト!!」
ニヤリと笑みを浮かべつつ右手の親指を立てて称えた。すると未来も、ニッと笑って体を起こして、ピューっと川に向かって走り、そのまま飛び込んだ。
それを見届けて、灯は、
「痛てて……未来、強くなったなあ……」
赤くなった自分の両手を振りながら嬉しそうに笑ったのだった。
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