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第四世代
シモーヌ編 パートナーとする決断
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「本というのは読まれてこそですからね。あなたが大切にしてくれてたのなら、それはもうあなたのものです」
シオも、シモーヌとほとんど同じことを口にする。思うところはいろいろとあるんだろうが、自分の絵本を大切にしてくれていたことを実感して、安心したというのもあるようだ。そんな彼女に、光も、
「ありがとうございます。大切にします」
深く頭を下げた。これで懸念の一つが解消されたな。シモーヌにも『それはもうあなたのものよ』と言ってもらえていたとはいえ、シオはまた別なわけで。
そこに待ちかねたように、
「シオもシモーヌなの?」
和が問い掛けると、
「うん。私もシモーヌ。だけど、シオでいいですよ」
丁寧に応えてくれる。
「こっちもシモーヌ、あっちもシモーヌ。不思議だ!」
陽が驚いたようにそう声を上げたのにも、
「そうですね。私も不思議です」
少し苦笑いながらも微笑んでくれた。
そんな彼女に、俺は、
「ざっと資料を見てもらったように、ここの人間は成長が早くて、和はまだ満八歳。陽はまだ満七歳なんだ。振る舞いが幼いのはご容赦願いたい」
と補足する。
「はい。分かります。問題ありません」
とも言ってくれた。理性的な対応に感謝しかない。
さりとて、十枚アレクセイというパートナーがいて瑠衣という子供までもうけておきながら俺と結婚したシモーヌに対する複雑な感情についてはまさにこれからだ。
少々、大人として突っ込んだ話をすることになるのを察して、光は和と陽を連れて席を外してくれた。当然、麗も陽に抱き付いてその場を離れる。
こうして、シオとシモーヌと俺と、さらにはタブレットを通じてではあるもののビアンカと久利生も参加し、一番の懸念について話し合いの席を設ける。
そしてまずシモーヌは、シオに向き直り、
「私は今でもレックスのことは愛してる。けれど、今、彼は私の傍にはいないのも事実。連絡も取れない。会うこともできない。だから私にとっては彼は亡くなったのと同じなんだ。その上で錬是と共に暮らした。錬是は、この世界に寄る辺のなかった私にとっては支えだったし、<良き隣人>だった。レックスのことは大切だけど、彼はここにはいないんだ……」
真っ直ぐに見詰めながら、ゆっくりと、けれどはっきりと、そう告げてくれた。
『私は今でもレックスのことは愛してる』
自分のパートナーがそういうことを口にするのについては複雑な気持ちがないと言ったら嘘になる。だが、シモーヌがレックスのことを今でも愛していることを知りつつ、俺は彼女をパートナーとする決断をしたんだ。
『レックスを愛している事実ごと』
彼女を愛してるんだよ。
シオも、シモーヌとほとんど同じことを口にする。思うところはいろいろとあるんだろうが、自分の絵本を大切にしてくれていたことを実感して、安心したというのもあるようだ。そんな彼女に、光も、
「ありがとうございます。大切にします」
深く頭を下げた。これで懸念の一つが解消されたな。シモーヌにも『それはもうあなたのものよ』と言ってもらえていたとはいえ、シオはまた別なわけで。
そこに待ちかねたように、
「シオもシモーヌなの?」
和が問い掛けると、
「うん。私もシモーヌ。だけど、シオでいいですよ」
丁寧に応えてくれる。
「こっちもシモーヌ、あっちもシモーヌ。不思議だ!」
陽が驚いたようにそう声を上げたのにも、
「そうですね。私も不思議です」
少し苦笑いながらも微笑んでくれた。
そんな彼女に、俺は、
「ざっと資料を見てもらったように、ここの人間は成長が早くて、和はまだ満八歳。陽はまだ満七歳なんだ。振る舞いが幼いのはご容赦願いたい」
と補足する。
「はい。分かります。問題ありません」
とも言ってくれた。理性的な対応に感謝しかない。
さりとて、十枚アレクセイというパートナーがいて瑠衣という子供までもうけておきながら俺と結婚したシモーヌに対する複雑な感情についてはまさにこれからだ。
少々、大人として突っ込んだ話をすることになるのを察して、光は和と陽を連れて席を外してくれた。当然、麗も陽に抱き付いてその場を離れる。
こうして、シオとシモーヌと俺と、さらにはタブレットを通じてではあるもののビアンカと久利生も参加し、一番の懸念について話し合いの席を設ける。
そしてまずシモーヌは、シオに向き直り、
「私は今でもレックスのことは愛してる。けれど、今、彼は私の傍にはいないのも事実。連絡も取れない。会うこともできない。だから私にとっては彼は亡くなったのと同じなんだ。その上で錬是と共に暮らした。錬是は、この世界に寄る辺のなかった私にとっては支えだったし、<良き隣人>だった。レックスのことは大切だけど、彼はここにはいないんだ……」
真っ直ぐに見詰めながら、ゆっくりと、けれどはっきりと、そう告げてくれた。
『私は今でもレックスのことは愛してる』
自分のパートナーがそういうことを口にするのについては複雑な気持ちがないと言ったら嘘になる。だが、シモーヌがレックスのことを今でも愛していることを知りつつ、俺は彼女をパートナーとする決断をしたんだ。
『レックスを愛している事実ごと』
彼女を愛してるんだよ。
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