1,740 / 2,979
第四世代
閑話休題 ドーベルマンMPM八号機
しおりを挟む
ドーベルマンMPMは、<マス・プロダクツ・モデル>の名の通り量産型であり、個体識別にはあまり意味がないものの、一応、番号は振られている。そして若い番号の機体であっても順次小改良は施され、ほぼ全機、大きな差異はない。
ゆえにこのドーベルマンMPM八号機も、最も新しく作られた機体と仕様は同じになっている。その一方で、若い番号の機体は、これまで起こった様々な出来事にも実際に対応しており、八号機については、夷嶽と牙斬の一件にも参加した機体だった。
その八号機の今の役目は、ビクキアテグ村で素戔嗚の相手をすること。
毎日毎日、自身の中に湧き上がる衝動を昇華するために勝負を挑んでくる素戔嗚の相手は、地球人には全く務まらないことだろう。これは、素戔嗚が『地球人よりも強い』というだけでなく、とにかく生真面目と言うか、相手をする側からすると『しつこい』。毎日毎日よく飽きもせずこんなに挑んでこれるものだと感心せずにはいられないだろうな。
けれどこれ自体、素戔嗚が持つ形質であり、彼そのものともいえる。しかも、ドーベルマンMPM数機を相手に時には気を失うまで全力を尽くすので、その強さはもはや異次元のレベルに達していると思われる。
無論それは、『レオンとしては』という意味ではあるが。
そんな素戔嗚の相手を、八号機は今日もこなす。人間であれば、
『もういい加減にしてくれ!』
と思わずにいられないところを、ただ淡々と。
すると素戔嗚は、単に衝動に任せた攻撃を繰り出すのではなく、フェイントを織り交ぜてフットワークを使って挑んできた。しかもそれが実に鋭い。普通の地球人であればもはや武術の達人であっても対処しきれないほどだと思われる。
何しろ、ドーベルマンMPMでようやく対処できるほどなのだ。
確かに、牙斬とはまったく比較にならないにしても、少なくとも並の野生動物相手であれば十分に脅威になるだろう。もしかすると、以前には対処しきれなかった猪竜とでも、今ならばいい勝負をするかもしれない。
とは言え、何もわざわざ危険な相手を探し出してまで力試しをする必要もない。地球人はとかく大きな力を得るとそれを使いたがる傾向があるが、これは結局のところ、自分が弱いことを無意識のうちにでも自覚しているからこそ、その力を試したくなり、そして強さが実感できてしまうと溺れてしまうのだろうと思われる。
そう、強大な力を求めるのは弱さの裏返しなのだと推測されているのだ。これを裏付けるような事例も無数にあった。
しかし素戔嗚には力に溺れなければいけない理由もない。彼はそもそも強いのだから。
それが、もう成体とそれほど違わない精悍さを備えた彼の姿にも表れている。
ゆえにこのドーベルマンMPM八号機も、最も新しく作られた機体と仕様は同じになっている。その一方で、若い番号の機体は、これまで起こった様々な出来事にも実際に対応しており、八号機については、夷嶽と牙斬の一件にも参加した機体だった。
その八号機の今の役目は、ビクキアテグ村で素戔嗚の相手をすること。
毎日毎日、自身の中に湧き上がる衝動を昇華するために勝負を挑んでくる素戔嗚の相手は、地球人には全く務まらないことだろう。これは、素戔嗚が『地球人よりも強い』というだけでなく、とにかく生真面目と言うか、相手をする側からすると『しつこい』。毎日毎日よく飽きもせずこんなに挑んでこれるものだと感心せずにはいられないだろうな。
けれどこれ自体、素戔嗚が持つ形質であり、彼そのものともいえる。しかも、ドーベルマンMPM数機を相手に時には気を失うまで全力を尽くすので、その強さはもはや異次元のレベルに達していると思われる。
無論それは、『レオンとしては』という意味ではあるが。
そんな素戔嗚の相手を、八号機は今日もこなす。人間であれば、
『もういい加減にしてくれ!』
と思わずにいられないところを、ただ淡々と。
すると素戔嗚は、単に衝動に任せた攻撃を繰り出すのではなく、フェイントを織り交ぜてフットワークを使って挑んできた。しかもそれが実に鋭い。普通の地球人であればもはや武術の達人であっても対処しきれないほどだと思われる。
何しろ、ドーベルマンMPMでようやく対処できるほどなのだ。
確かに、牙斬とはまったく比較にならないにしても、少なくとも並の野生動物相手であれば十分に脅威になるだろう。もしかすると、以前には対処しきれなかった猪竜とでも、今ならばいい勝負をするかもしれない。
とは言え、何もわざわざ危険な相手を探し出してまで力試しをする必要もない。地球人はとかく大きな力を得るとそれを使いたがる傾向があるが、これは結局のところ、自分が弱いことを無意識のうちにでも自覚しているからこそ、その力を試したくなり、そして強さが実感できてしまうと溺れてしまうのだろうと思われる。
そう、強大な力を求めるのは弱さの裏返しなのだと推測されているのだ。これを裏付けるような事例も無数にあった。
しかし素戔嗚には力に溺れなければいけない理由もない。彼はそもそも強いのだから。
それが、もう成体とそれほど違わない精悍さを備えた彼の姿にも表れている。
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる