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第四世代
光編 茶番
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新暦〇〇三六年十一月二十四日
かつての、いや、俺が暮らしていた当時でも地球人社会では、育児に関わろうとしない父親は少なくなかったそうだ。
確かに、ここの獣人達の多くも、雌の方がそもそも雄に関わらせようとしないのは多い。だが、何度も言うように、
『人間は他の動物とは違う』
と驕るなら、『人間は人間のやり方をするべき』なんじゃないのか?
そもそも、人間社会はあまりにも複雑で覚えないといけないことが多く対処が難しいから、普通に考えても母親だけじゃ対応しきれないだろう。そういう現実を理解していれば、
『母親だけに任せておけばいい』
なんていう発想は浮かんでこないと思うんだがな。また、『野生の動物と同じでいい』と考えるなら、人間として生きようとするのはおかしいだろう。人間の社会も文明も捨てて野生の動物として生きるべきなんじゃないのか? それが嫌なら人間としての生き方を在り方を考えるべきだと思うけどな。
とにかく人間の社会ってのは、
『ただ生き延びればいい』
ってわけじゃないだろう? 野生と違って。何のためにやたらと大きな脳と思考能力を得たんだよ。野生の世界とは違う社会を作り上げるためだろうが。だったら野生の生き方がそのまま当てはまるわけがないことくらい、ちょっと考えれば分かるんじゃないのか?
ここで生きているからこそそれを実感させられるよ。
父親が積極的に関わってさえ大変だからこそメイトギアも開発されたしな。それを改めて俺自身で検証する。
が、きつい……つらい……眠たい……頭がぼーっとする。合計の睡眠時間そのものは最低でも六時間を確保しているが、連続でぐっすり眠れないと人間の体ってのはもうダメなんだと思い知らされる。
もちろん、体質的に<ショートスリーパー>だったり何回にも分けて睡眠をとることに適応できる人間も中にはいるだろうが、そんなのは決して多数派じゃないだろうしな。
こんなことを母親一人にやらせてて、よく平気だな。『愛している』から結婚したんじゃないのかよ? <愛する相手>がこんなつらい思いをしてるのによく平気でいられるな? 俺には無理だ。そして、
「あんまり無理しないで、錬是」
シモーヌも俺を気遣ってくれる。彼女はまあ、おっぱい以外の錬慈の世話は俺に任せ、家事についてはセシリアに任せてるから、出産のダメージの回復に集中すればいい。だから俺のことを気遣ってくれる余裕もあるんだと思う。
「ああ、分かってる。なに、俺が本当にダメな時にはエレクシアが助けてくれるさ」
そう言った俺を、エレクシアがいつも通りの冷淡な目で見ている。彼女からすれば、それこそひどい<茶番>に見えるだろうな。
かつての、いや、俺が暮らしていた当時でも地球人社会では、育児に関わろうとしない父親は少なくなかったそうだ。
確かに、ここの獣人達の多くも、雌の方がそもそも雄に関わらせようとしないのは多い。だが、何度も言うように、
『人間は他の動物とは違う』
と驕るなら、『人間は人間のやり方をするべき』なんじゃないのか?
そもそも、人間社会はあまりにも複雑で覚えないといけないことが多く対処が難しいから、普通に考えても母親だけじゃ対応しきれないだろう。そういう現実を理解していれば、
『母親だけに任せておけばいい』
なんていう発想は浮かんでこないと思うんだがな。また、『野生の動物と同じでいい』と考えるなら、人間として生きようとするのはおかしいだろう。人間の社会も文明も捨てて野生の動物として生きるべきなんじゃないのか? それが嫌なら人間としての生き方を在り方を考えるべきだと思うけどな。
とにかく人間の社会ってのは、
『ただ生き延びればいい』
ってわけじゃないだろう? 野生と違って。何のためにやたらと大きな脳と思考能力を得たんだよ。野生の世界とは違う社会を作り上げるためだろうが。だったら野生の生き方がそのまま当てはまるわけがないことくらい、ちょっと考えれば分かるんじゃないのか?
ここで生きているからこそそれを実感させられるよ。
父親が積極的に関わってさえ大変だからこそメイトギアも開発されたしな。それを改めて俺自身で検証する。
が、きつい……つらい……眠たい……頭がぼーっとする。合計の睡眠時間そのものは最低でも六時間を確保しているが、連続でぐっすり眠れないと人間の体ってのはもうダメなんだと思い知らされる。
もちろん、体質的に<ショートスリーパー>だったり何回にも分けて睡眠をとることに適応できる人間も中にはいるだろうが、そんなのは決して多数派じゃないだろうしな。
こんなことを母親一人にやらせてて、よく平気だな。『愛している』から結婚したんじゃないのかよ? <愛する相手>がこんなつらい思いをしてるのによく平気でいられるな? 俺には無理だ。そして、
「あんまり無理しないで、錬是」
シモーヌも俺を気遣ってくれる。彼女はまあ、おっぱい以外の錬慈の世話は俺に任せ、家事についてはセシリアに任せてるから、出産のダメージの回復に集中すればいい。だから俺のことを気遣ってくれる余裕もあるんだと思う。
「ああ、分かってる。なに、俺が本当にダメな時にはエレクシアが助けてくれるさ」
そう言った俺を、エレクシアがいつも通りの冷淡な目で見ている。彼女からすれば、それこそひどい<茶番>に見えるだろうな。
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