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第四世代
光編 人間という生き物にとっては必要なもの
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新暦〇〇三七年三月六日
ところで、例のヒト蛇がどうなったかと言えば、実はマイクロチップが外れて消息が掴めなくなっていた。あの巨体だからそうそう隠れられる場所もない気がするが、濁った河に潜られたり密林に潜まれると空からじゃ発見が難しくなる。
実際、誘導した後でドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱがヘリで離脱後、河に入ったり密林に入ったりしていたのは確認されていたんだ。しかし、マイクロチップがついていた鱗が剥がれ落ちていたのが確認されて以降は、河に入った痕跡を最後に発見できていない。
なるべく早急に見付け出して改めてマイクロチップを付けなきゃいけない。
それと同時進行で、破壊されたホビットMk-Ⅱの回収も行う。再資源化のためだ。加えて、バッテリーを放置すると周囲を汚染するしな。
回収されたホビットMk-Ⅱはいずれも酷い状態で、まったく修理ができるようなものじゃなかった。
「ありがとう、お疲れさん」
回収された様子をタブレット越しに見ながらそう労ったが、これはまあ、単に俺自身の気分の問題だな。ロボットは労いの言葉なんかなくてもまったく気にしないわけで。
しかし、光も、
「お疲れ様」
と口にしてくれていた。人間が人間らしくいるためにはこういう感覚が必要なんだとしみじみ思う。合理性の上に、そんな<無駄>とも思える感覚が乗っているのが人間という生き物なんじゃないかな。
野生の生き物は本当に合理的だからな。まあ中にはものすごく非合理的にも思えるような生態を持ったのもいたりしつつも、そいつにとってはきっと合理的だったんだろう。その状態で生き延びてこられたというのなら生存戦略としては正解だったわけで。
それで言うと、人間の非合理的に見える部分も、
<人間という生き物にとっては必要なもの>
なんだろうな。
何しろ、『他者を敬う』『他者を気遣う』ということができるからこそ穏当に社会を維持していけるんだし。それが希薄になった社会がどんなものだったかは、当時、そういう社会に生きていた人間にはそれこそ実感できるんじゃないか?
だいたい、<法律>なんてもの自体が<矛盾と非合理性の権化>みたいなものだしなあ。
法律は社会秩序を維持するためには必要でありつつ、それによってある種の不合理な抑圧を強いることになるから、従えないのも出てくるわけで。
その<法律に従えない奴>を排除すればいいという<合理的な考え方>とは致命的に矛盾してるんだよ。
そしてそんな<一部の人間にとって都合のいい合理性>ばかりを追求するとまたテロが横行する。
いやはや、厄介な話だ。
ところで、例のヒト蛇がどうなったかと言えば、実はマイクロチップが外れて消息が掴めなくなっていた。あの巨体だからそうそう隠れられる場所もない気がするが、濁った河に潜られたり密林に潜まれると空からじゃ発見が難しくなる。
実際、誘導した後でドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱがヘリで離脱後、河に入ったり密林に入ったりしていたのは確認されていたんだ。しかし、マイクロチップがついていた鱗が剥がれ落ちていたのが確認されて以降は、河に入った痕跡を最後に発見できていない。
なるべく早急に見付け出して改めてマイクロチップを付けなきゃいけない。
それと同時進行で、破壊されたホビットMk-Ⅱの回収も行う。再資源化のためだ。加えて、バッテリーを放置すると周囲を汚染するしな。
回収されたホビットMk-Ⅱはいずれも酷い状態で、まったく修理ができるようなものじゃなかった。
「ありがとう、お疲れさん」
回収された様子をタブレット越しに見ながらそう労ったが、これはまあ、単に俺自身の気分の問題だな。ロボットは労いの言葉なんかなくてもまったく気にしないわけで。
しかし、光も、
「お疲れ様」
と口にしてくれていた。人間が人間らしくいるためにはこういう感覚が必要なんだとしみじみ思う。合理性の上に、そんな<無駄>とも思える感覚が乗っているのが人間という生き物なんじゃないかな。
野生の生き物は本当に合理的だからな。まあ中にはものすごく非合理的にも思えるような生態を持ったのもいたりしつつも、そいつにとってはきっと合理的だったんだろう。その状態で生き延びてこられたというのなら生存戦略としては正解だったわけで。
それで言うと、人間の非合理的に見える部分も、
<人間という生き物にとっては必要なもの>
なんだろうな。
何しろ、『他者を敬う』『他者を気遣う』ということができるからこそ穏当に社会を維持していけるんだし。それが希薄になった社会がどんなものだったかは、当時、そういう社会に生きていた人間にはそれこそ実感できるんじゃないか?
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その<法律に従えない奴>を排除すればいいという<合理的な考え方>とは致命的に矛盾してるんだよ。
そしてそんな<一部の人間にとって都合のいい合理性>ばかりを追求するとまたテロが横行する。
いやはや、厄介な話だ。
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