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第四世代
深編 分かりやすい展開
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『もしかしたら、弦と別れた後に次のパートナーを見付けなかったのは、誉への想いがまだあったから?』
そんな地球人ならではのセンチメンタリズムも感じつつ、誉の姿を見た深がホッとしたような表情になったことについては、<二人の実の父親>としてもホッとするのと同時に、少し複雑な想いもないわけじゃない。
『焔と彩』や『新と凛』のことも頭によぎってしまってな。
<実の兄妹で番った四人>
というのもさることながら、焔と彩は今でも仲睦まじくうちの集落で暮らしていて、しかし新と凛については互いの考え方や価値観の違いから別れを選んでそれぞれの生き方を選んだというのも、なんとも複雑な気持ちにさせられるんだよ。
しかも、新はいまだにパートナーを見付けるでもなく、それでいてレトとルナという、血の繋がらない子供二人を育てていて、立派な父親としての姿を見せる一方、彩は同じレオンである侑と番い、按、萌、朗という三人の子を生して、レオンとしては真っ当な生き方をしているという人生模様を描き出しているしな。
そこにさらに、
『幼い頃の想いをずっと持ち続けていた』
みたいな話になると、いやはや、これまた地球人が大好きな<メロドラマ>的な展開だぞ?
とは思うものの、
「……」
「……」
誉は樹上から、深は地上から、お互いに黙って見つめ合うだけで、言葉を交わすとか、抱き合うとか、そういう、
<分かりやすい展開>
はなかった。
そりゃそうか。二人とも、地球人じゃないしな。人間よりもずっと野生の獣に近いしな。
二人の間にどんなやり取りがあったのかは見た目には分からなかったが、五分ほどそうして見つめ合うと、
「……」
深の方がフイっと踵を返して歩き出してしまった。だが、そこに不穏な気配は微塵もなく、むしろ、
『誉の顔を見られて満足した』
とでも言いたげな安らいだ空気感を漂わせているのが、俺にも分かった。
そんな彼女を見送ってから、誉も大儀そうに体を動かして、自分の群れの方に戻っていく。
何か分かりやすい展開でもあればもっと面白くなるのかもしれないにせよ、何度も言うように、<他者の人生>は、
<誰かを楽しませるためのエンターテイメント>
じゃない。だから当然、誉も深も、分かりやすく他者が見ても楽しめる交流を図る必要もない。当人同士が納得できればそれでいいんだ。
それで十分なんだよ。
ただ、親としては、これをきっかけに、
『誉が俺達のところに戻ってくるんじゃないか』
『完全にボスとして引退して轟に譲るんじゃないか』
と思ってしまったりもする。
そんな地球人ならではのセンチメンタリズムも感じつつ、誉の姿を見た深がホッとしたような表情になったことについては、<二人の実の父親>としてもホッとするのと同時に、少し複雑な想いもないわけじゃない。
『焔と彩』や『新と凛』のことも頭によぎってしまってな。
<実の兄妹で番った四人>
というのもさることながら、焔と彩は今でも仲睦まじくうちの集落で暮らしていて、しかし新と凛については互いの考え方や価値観の違いから別れを選んでそれぞれの生き方を選んだというのも、なんとも複雑な気持ちにさせられるんだよ。
しかも、新はいまだにパートナーを見付けるでもなく、それでいてレトとルナという、血の繋がらない子供二人を育てていて、立派な父親としての姿を見せる一方、彩は同じレオンである侑と番い、按、萌、朗という三人の子を生して、レオンとしては真っ当な生き方をしているという人生模様を描き出しているしな。
そこにさらに、
『幼い頃の想いをずっと持ち続けていた』
みたいな話になると、いやはや、これまた地球人が大好きな<メロドラマ>的な展開だぞ?
とは思うものの、
「……」
「……」
誉は樹上から、深は地上から、お互いに黙って見つめ合うだけで、言葉を交わすとか、抱き合うとか、そういう、
<分かりやすい展開>
はなかった。
そりゃそうか。二人とも、地球人じゃないしな。人間よりもずっと野生の獣に近いしな。
二人の間にどんなやり取りがあったのかは見た目には分からなかったが、五分ほどそうして見つめ合うと、
「……」
深の方がフイっと踵を返して歩き出してしまった。だが、そこに不穏な気配は微塵もなく、むしろ、
『誉の顔を見られて満足した』
とでも言いたげな安らいだ空気感を漂わせているのが、俺にも分かった。
そんな彼女を見送ってから、誉も大儀そうに体を動かして、自分の群れの方に戻っていく。
何か分かりやすい展開でもあればもっと面白くなるのかもしれないにせよ、何度も言うように、<他者の人生>は、
<誰かを楽しませるためのエンターテイメント>
じゃない。だから当然、誉も深も、分かりやすく他者が見ても楽しめる交流を図る必要もない。当人同士が納得できればそれでいいんだ。
それで十分なんだよ。
ただ、親としては、これをきっかけに、
『誉が俺達のところに戻ってくるんじゃないか』
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と思ってしまったりもする。
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