2,658 / 2,978
第五世代
陽編 自分達の平穏は自分達で守る
しおりを挟む
陽と和がこうやってパトロールに出ているのは、
『自分達の平穏は自分達で守る』
のを忘れないでもらうためだ。同時に、<獣人特有の攻撃衝動>を適度に発散し暴発させない目的もある。これは、ビクキアテグ村でも取り入れている方式だな。
俺の孫達は全員、『自分達の平穏は自分達で守る』というのもちゃんと理解してくれている。と同時に、
『攻撃性は仲間にじゃなく外敵に向けるものだ』
というのもな。
陽と和もその感覚は身に染みついていて、警戒対象が<レッド>だと判明するとすかさず弾倉を<スタン弾>から<実包>に交換、ヘッドセットに投影された対象に銃口を向ける。そこに映っていたのは間違いなくマンティアンの姿だった。どんなに隠密能力に長けているといってもあくまで野生動物でしかないマンティアンは、赤外線センサーをはじめとした<科学技術>の前には丸裸も同然だ。
そして、言葉が通じないマンティアン相手に<警告>はしない。いきなり実包を叩きこむのがむしろ警告だな。なにしろマンティアンの<天然の装甲>は自動小銃用の九ミリ弾程度じゃ突破できない。つまり実包がスタン弾替わりなんだ。
で、マンティアンもこちらを認識して襲い掛かる身構えをしているのを確認できたことで、
「ファイア」
光が命じると、陽も和も一瞬の躊躇いもなく引き金を引いた。さすがのマンティアンも目に当たると致命傷になりかねないのであくまで腹から下に向けてだが、それにしても機械的な冷淡さだ。しかし、これがこの世界で生きるためには必要なんだよな。決して同じ<人間>や<仲間>対して向けるものじゃない。
「パパパッ!」
という自動小銃ならでは射撃音と共にマンティアンがその場に膝をつく。いくら天然の装甲は破れないと言っても痛みはかなりなものだろうから当然だ。人間が硬球をぶつけられたのと同等程度だと推測されている。すると陽と和も射撃をやめ、光からの次の指示を待つ。
その二人の前で、マンティアンはわけも分からないままに何らかの攻撃を受けたのはさすがに察したようで、『これは分が悪い』と判断してくれたか、踵を返して遠ざかって行ってくれた。
「クリア。状況グリーン」
光が告げると陽も和もすかさず弾倉をスタン弾のそれに交換し、麗のところまで引き返してきた。そうして待機していたドーベルマンDK-aから実包が目一杯装填された弾倉を受け取り、自分達が使ったそれを引き渡す。
すると、
「じゃ、麗、そこの木の実のところまで行くか」
「おなか減ったもんね」
ようやくあどけない笑顔を見せたのだった。
『自分達の平穏は自分達で守る』
のを忘れないでもらうためだ。同時に、<獣人特有の攻撃衝動>を適度に発散し暴発させない目的もある。これは、ビクキアテグ村でも取り入れている方式だな。
俺の孫達は全員、『自分達の平穏は自分達で守る』というのもちゃんと理解してくれている。と同時に、
『攻撃性は仲間にじゃなく外敵に向けるものだ』
というのもな。
陽と和もその感覚は身に染みついていて、警戒対象が<レッド>だと判明するとすかさず弾倉を<スタン弾>から<実包>に交換、ヘッドセットに投影された対象に銃口を向ける。そこに映っていたのは間違いなくマンティアンの姿だった。どんなに隠密能力に長けているといってもあくまで野生動物でしかないマンティアンは、赤外線センサーをはじめとした<科学技術>の前には丸裸も同然だ。
そして、言葉が通じないマンティアン相手に<警告>はしない。いきなり実包を叩きこむのがむしろ警告だな。なにしろマンティアンの<天然の装甲>は自動小銃用の九ミリ弾程度じゃ突破できない。つまり実包がスタン弾替わりなんだ。
で、マンティアンもこちらを認識して襲い掛かる身構えをしているのを確認できたことで、
「ファイア」
光が命じると、陽も和も一瞬の躊躇いもなく引き金を引いた。さすがのマンティアンも目に当たると致命傷になりかねないのであくまで腹から下に向けてだが、それにしても機械的な冷淡さだ。しかし、これがこの世界で生きるためには必要なんだよな。決して同じ<人間>や<仲間>対して向けるものじゃない。
「パパパッ!」
という自動小銃ならでは射撃音と共にマンティアンがその場に膝をつく。いくら天然の装甲は破れないと言っても痛みはかなりなものだろうから当然だ。人間が硬球をぶつけられたのと同等程度だと推測されている。すると陽と和も射撃をやめ、光からの次の指示を待つ。
その二人の前で、マンティアンはわけも分からないままに何らかの攻撃を受けたのはさすがに察したようで、『これは分が悪い』と判断してくれたか、踵を返して遠ざかって行ってくれた。
「クリア。状況グリーン」
光が告げると陽も和もすかさず弾倉をスタン弾のそれに交換し、麗のところまで引き返してきた。そうして待機していたドーベルマンDK-aから実包が目一杯装填された弾倉を受け取り、自分達が使ったそれを引き渡す。
すると、
「じゃ、麗、そこの木の実のところまで行くか」
「おなか減ったもんね」
ようやくあどけない笑顔を見せたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる