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歴史上最も忌むべき悪女
生かす者を選ぶ
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ミカが果断なく行った大規模な改革により豊かになったセヴェルハムト帝国ではあったものの、さすがに<百年に一度レベルの大凶作>ともなれば、すべてが帳消しになるしかなかった。
無論、こういう事態に備えて小麦などについては備蓄していたものの、すでに夏の間からそれを取り崩すしかないほどに食糧事情が逼迫。せめて数年、今回のことがずれていたならまだ何とかなりそうだったのが、準備が整う前に発生してしまったということだ。
周辺諸国では、食料の奪い合いで暴動に発展したところまであると、<友人>を通じてミカに情報がもたらされた。
その友人も、ミカのアドバイスを活かして小麦などを備蓄し、こういう時にこそそれを売り抜けて大儲けをと考えていたが、自分達が食べる分の確保すら危ういということで、当分の間はおとなしく耐え忍ぶことにしたという。
しかし、中には好機と捉えて溜め込んでいたものを高値で売り抜けて利益を上げた者もいた。
が、その者達も、自分達が食べる分さえ売ってしまったことで、
『金はあるのにそれで買える食料がそもそもない』
という状況に陥って、次々と自滅していったそうだ。
そして、冬が近付いてくるとさらに状況は悪化。備蓄も心許なくなり、ミカは改めて計算した。
その結果は、
『国民の全員が無事に冬を越えるのは不可能』
というものだった。
「ミカ様……!」
硬い声で自分の名を呼ぶネイサンに、
「情けない声を出すな…! こういう時こそ我等は決断しなければならない。
全員を生かせないのなら、生かす者を選ぶしかない」
ミカは彼を真っ直ぐに見詰め返して、そう断言した。
しかし、『生かす者を選ぶ』とは言っても、どう選ぶのか……
ネイサンが唇を噛み締めていたところへ、
「報告します! ボリントン領にて大規模な暴動が発生した模様!」
と、伝令を運んできた兵士が息も絶え絶えで王宮に転がり込んできた。
<ボリントン領>
ボリントン卿が治める領地で、今ひとつ勤勉さに掛ける農民が多かったところに、農に真摯に向き合う者達に農地を貸し借地料を得るという形で生産性を高めた地域の一つだった。
だがそのボリントン領も例外なく今回の異常気象の影響を受け、そこで農地を借りて大規模に農業を行っていた者達が、早々に見切りをつけ、本来の自分達の農地のみに全力を傾ける決断をしたことで、今期の収穫量がほぼゼロという事態に至っていたのである。
こうなっては、いくら借地料を取っていても、その金で買える食糧がなくなる。
領内各地で僅かに残ったそれを、何とか金で買い取ろうとしたものの、貯えていた者達は自分達が食べるために取っておいたのだったため、いくら金を積まれても売ろうとはせず、焦れた者達が遂には力尽くでそれを強奪するという事件に至ったのだった。
無論、こういう事態に備えて小麦などについては備蓄していたものの、すでに夏の間からそれを取り崩すしかないほどに食糧事情が逼迫。せめて数年、今回のことがずれていたならまだ何とかなりそうだったのが、準備が整う前に発生してしまったということだ。
周辺諸国では、食料の奪い合いで暴動に発展したところまであると、<友人>を通じてミカに情報がもたらされた。
その友人も、ミカのアドバイスを活かして小麦などを備蓄し、こういう時にこそそれを売り抜けて大儲けをと考えていたが、自分達が食べる分の確保すら危ういということで、当分の間はおとなしく耐え忍ぶことにしたという。
しかし、中には好機と捉えて溜め込んでいたものを高値で売り抜けて利益を上げた者もいた。
が、その者達も、自分達が食べる分さえ売ってしまったことで、
『金はあるのにそれで買える食料がそもそもない』
という状況に陥って、次々と自滅していったそうだ。
そして、冬が近付いてくるとさらに状況は悪化。備蓄も心許なくなり、ミカは改めて計算した。
その結果は、
『国民の全員が無事に冬を越えるのは不可能』
というものだった。
「ミカ様……!」
硬い声で自分の名を呼ぶネイサンに、
「情けない声を出すな…! こういう時こそ我等は決断しなければならない。
全員を生かせないのなら、生かす者を選ぶしかない」
ミカは彼を真っ直ぐに見詰め返して、そう断言した。
しかし、『生かす者を選ぶ』とは言っても、どう選ぶのか……
ネイサンが唇を噛み締めていたところへ、
「報告します! ボリントン領にて大規模な暴動が発生した模様!」
と、伝令を運んできた兵士が息も絶え絶えで王宮に転がり込んできた。
<ボリントン領>
ボリントン卿が治める領地で、今ひとつ勤勉さに掛ける農民が多かったところに、農に真摯に向き合う者達に農地を貸し借地料を得るという形で生産性を高めた地域の一つだった。
だがそのボリントン領も例外なく今回の異常気象の影響を受け、そこで農地を借りて大規模に農業を行っていた者達が、早々に見切りをつけ、本来の自分達の農地のみに全力を傾ける決断をしたことで、今期の収穫量がほぼゼロという事態に至っていたのである。
こうなっては、いくら借地料を取っていても、その金で買える食糧がなくなる。
領内各地で僅かに残ったそれを、何とか金で買い取ろうとしたものの、貯えていた者達は自分達が食べるために取っておいたのだったため、いくら金を積まれても売ろうとはせず、焦れた者達が遂には力尽くでそれを強奪するという事件に至ったのだった。
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