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出逢い
凶竜の姫様、幼体を締め上げる
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岩の上からまるで錬義自身がカタパルトになったかのように、ミネルバを空中に放つ。ミネルバもプロペラを全開にし、飛行状態に移り、姿勢を安定させ、旋回を始めた。
一方、錬義は岩から飛び降りて地面を走り、ミネルバがその後を追う。そうして彼を追い越してから降下して地面を滑走。錬義はミネルバに追いつくと、座席に飛び乗った。と同時に、ミネルバは再び加速。上昇する。
『地上で停止しなければ着陸じゃない』
とでも言わんばかりの無茶苦茶な<曲芸>だった。しかしこれすら彼とミネルバにとっては日常であり、特別なことじゃない。鵺竜などがうろつく場所で呑気に地上にとどまっていられないからこそのものである。
そうして地上五メートルくらいを飛行し、サススクロファ竜の群れを目指す。いや、正確には、
『サススクロファ竜を狙う<凶竜の姫様>を目指す』
だが。
こうして一分足らずで駆け付けると、すでにそこでは、<凶竜の姫様>による狩りが始まっていた。
「ガアッッ!!」
「ガアアッッ!!」
凶竜の姫様の強襲を受けたサススクロファ竜は、群れで力を合わせて撃退を試みた。
サススクロファ竜は、
<角とフリルがない、豚面のトリケラトプス>
といった印象の亜竜だった。実は近似種に鵺竜に分類される大型のものがおり、そちらは角やフリルまで備えまさにトリケラトプスにそっくりである。
まあそれは余談として、凶竜の姫様はサススクロファ竜の幼体に狙いを付けたらしく、それに馬乗りになり、まさしく首に腕を回して絞め殺そうとでもしているかのようであった。幼体とはいえ、体長は優に三メートルを超えているにも拘わらず。
サススクロファ竜らはそんな凶竜の姫様を幼体から引き離そうとして、体をこすりつけたり、直接、凶竜の姫様に食らいつこうとする者もいた。
しかし、凶竜の姫様は幼体の首に腕を絡みつかせたまま体をひねり攻撃を躱し、時には脚を食らいつこうとした者の顔面に叩き付けたりもして、まったく怯む様子すらない。彼女にとってはこれが当たり前なのだろう。
そんな彼女の膂力は、サイのような分厚さに加えて細かい毛がびっしりと生えた表皮にがっちりと食い込み、確かに締め上げているのが分かるほどのものだった。幼体の方も、苦し気にもがく。
他のサススクロファ竜らは、何とか幼体を救おうと必死だった。簡単には諦めない。
が、そこに今度は、
「ギアウッッ!!」
「ギハアッッ!!」
ストルティオ竜が襲い掛かる。凶竜の姫様が首を締め上げていることで動きが鈍っている幼体を狙っているらしい。実に抜け目ない姿であった。
一方、錬義は岩から飛び降りて地面を走り、ミネルバがその後を追う。そうして彼を追い越してから降下して地面を滑走。錬義はミネルバに追いつくと、座席に飛び乗った。と同時に、ミネルバは再び加速。上昇する。
『地上で停止しなければ着陸じゃない』
とでも言わんばかりの無茶苦茶な<曲芸>だった。しかしこれすら彼とミネルバにとっては日常であり、特別なことじゃない。鵺竜などがうろつく場所で呑気に地上にとどまっていられないからこそのものである。
そうして地上五メートルくらいを飛行し、サススクロファ竜の群れを目指す。いや、正確には、
『サススクロファ竜を狙う<凶竜の姫様>を目指す』
だが。
こうして一分足らずで駆け付けると、すでにそこでは、<凶竜の姫様>による狩りが始まっていた。
「ガアッッ!!」
「ガアアッッ!!」
凶竜の姫様の強襲を受けたサススクロファ竜は、群れで力を合わせて撃退を試みた。
サススクロファ竜は、
<角とフリルがない、豚面のトリケラトプス>
といった印象の亜竜だった。実は近似種に鵺竜に分類される大型のものがおり、そちらは角やフリルまで備えまさにトリケラトプスにそっくりである。
まあそれは余談として、凶竜の姫様はサススクロファ竜の幼体に狙いを付けたらしく、それに馬乗りになり、まさしく首に腕を回して絞め殺そうとでもしているかのようであった。幼体とはいえ、体長は優に三メートルを超えているにも拘わらず。
サススクロファ竜らはそんな凶竜の姫様を幼体から引き離そうとして、体をこすりつけたり、直接、凶竜の姫様に食らいつこうとする者もいた。
しかし、凶竜の姫様は幼体の首に腕を絡みつかせたまま体をひねり攻撃を躱し、時には脚を食らいつこうとした者の顔面に叩き付けたりもして、まったく怯む様子すらない。彼女にとってはこれが当たり前なのだろう。
そんな彼女の膂力は、サイのような分厚さに加えて細かい毛がびっしりと生えた表皮にがっちりと食い込み、確かに締め上げているのが分かるほどのものだった。幼体の方も、苦し気にもがく。
他のサススクロファ竜らは、何とか幼体を救おうと必死だった。簡単には諦めない。
が、そこに今度は、
「ギアウッッ!!」
「ギハアッッ!!」
ストルティオ竜が襲い掛かる。凶竜の姫様が首を締め上げていることで動きが鈍っている幼体を狙っているらしい。実に抜け目ない姿であった。
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