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出逢い
錬義と斬竜、二人きりになる
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こうして錬義と斬竜がラーメンを食べ終わると、アンデルセンは、
「もし何か用があれば呼んでくれ」
やはり父親が息子に話し掛けるようにして告げて、部屋を出ていった。
「……」
斬竜は、アンデルセンが出ていったのを確認した後も、部屋のあちこちを見て回り、匂いを嗅いで回った。この時、彼女が身に着けていたのは、やはり錬義のシャツ一枚だった。つまり、その下には下着一枚着けていない。
そして、窓のところに行ってガラス(正確には植物のセルロースを薬品で固めたプラスティックの代用品)に手を触れて不思議そうに首を傾げる。
その様子に錬義は悟った。
「トイレ? トイレはこっちだよ」
そう。排泄するために外に出ようとしたことに気付いたのである。すると錬義は庭に出るための窓を開けて、裸足のまま庭の下り、片隅にあった小屋のドアを開けた。それはトイレだった。しかもなぜか、便座が向かい合うようにして二つある。
これは、斬竜のように人間としての知識を持たない者にトイレの使い方を学んでもらうための専用のトイレだった。
自らの巣に強い臭いを付けないようにするために、排泄は巣の外に行う動物も少なくない。斬竜もそうだった。自分が巣にしている場所から少し離れたところで用を足す習性があった。
すると錬義がズボンを下げて便座に座り、そのまま小便を始めた。斬竜に使い方を教えるためだ。そんな彼の姿を見て斬竜もシャツをたくし上げて尻を出し便座に座り、ジョボボボと音を立てて小便を始めた。
それが終わると、錬義はトイレットペーパーをちぎってたたんで彼女に渡す。それを受け取って斬竜は自分の股間を拭って床に捨てた。
「これはね、この中に捨ててね、ここをこう引くんだ」
斬竜が床に捨てたトイレットペーパーを拾い上げて便器の中に捨て、そしてタンクのレバーを操作し、水を流す。
「!?」
突然、便器の中を勢いよく水が流れたことに驚いた斬竜だったものの、
「大丈夫だよ。心配要らない」
錬義が彼女の体をそっと撫でながら言うと、すぐに落ち着いた様子に戻った。彼女の錬義への信頼が見える姿だっただろう。
このようにしてトイレの使い方を教えるためのトイレということだ。
言葉で説明するよりもやってみせるのが確実ということである。もちろん、手本を示せばそれを理解できる相手用ということではあるが。
ちなみに部屋の中にもトイレはもちろんあるものの、
『巣から少し離れたところにする』
という習性を持つ相手にはすぐにそれが理解できないこともあるので、このような設備も用意されているのである。
「もし何か用があれば呼んでくれ」
やはり父親が息子に話し掛けるようにして告げて、部屋を出ていった。
「……」
斬竜は、アンデルセンが出ていったのを確認した後も、部屋のあちこちを見て回り、匂いを嗅いで回った。この時、彼女が身に着けていたのは、やはり錬義のシャツ一枚だった。つまり、その下には下着一枚着けていない。
そして、窓のところに行ってガラス(正確には植物のセルロースを薬品で固めたプラスティックの代用品)に手を触れて不思議そうに首を傾げる。
その様子に錬義は悟った。
「トイレ? トイレはこっちだよ」
そう。排泄するために外に出ようとしたことに気付いたのである。すると錬義は庭に出るための窓を開けて、裸足のまま庭の下り、片隅にあった小屋のドアを開けた。それはトイレだった。しかもなぜか、便座が向かい合うようにして二つある。
これは、斬竜のように人間としての知識を持たない者にトイレの使い方を学んでもらうための専用のトイレだった。
自らの巣に強い臭いを付けないようにするために、排泄は巣の外に行う動物も少なくない。斬竜もそうだった。自分が巣にしている場所から少し離れたところで用を足す習性があった。
すると錬義がズボンを下げて便座に座り、そのまま小便を始めた。斬竜に使い方を教えるためだ。そんな彼の姿を見て斬竜もシャツをたくし上げて尻を出し便座に座り、ジョボボボと音を立てて小便を始めた。
それが終わると、錬義はトイレットペーパーをちぎってたたんで彼女に渡す。それを受け取って斬竜は自分の股間を拭って床に捨てた。
「これはね、この中に捨ててね、ここをこう引くんだ」
斬竜が床に捨てたトイレットペーパーを拾い上げて便器の中に捨て、そしてタンクのレバーを操作し、水を流す。
「!?」
突然、便器の中を勢いよく水が流れたことに驚いた斬竜だったものの、
「大丈夫だよ。心配要らない」
錬義が彼女の体をそっと撫でながら言うと、すぐに落ち着いた様子に戻った。彼女の錬義への信頼が見える姿だっただろう。
このようにしてトイレの使い方を教えるためのトイレということだ。
言葉で説明するよりもやってみせるのが確実ということである。もちろん、手本を示せばそれを理解できる相手用ということではあるが。
ちなみに部屋の中にもトイレはもちろんあるものの、
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という習性を持つ相手にはすぐにそれが理解できないこともあるので、このような設備も用意されているのである。
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