75 / 96
出逢い
総合研究施設アンデルセン、強攻試験モードに移行する
しおりを挟む
こうして<強攻試験モード>に移行した<総合研究施設アンデルセン>から、錬義に連絡が届いた。
「錬義。エレクシアが目覚めた。彼女直々に<強攻試験>を行うそうだ。さすがに竜女帝の血族ともなれば、早々に評価を下さないといけないという判断だ」
アンデルセンのその言葉に、錬義の表情が一瞬険しくなるものの、
「分かった。エレクシア様の意向なら仕方ない。僕も協力します。もちろん、斬竜の味方としてね」
そう応えた。そんな彼に、
「錬義……」
ミネルバの声はどこか心配げにも聞こえる。けれど、彼は、
「ああ、これは僕が斬竜を錬是に連れてくるのを決めた時から覚悟してたことだ。それに、エレクシア様と手合わせできるとか、こんな機会はもうないかもしれないしね」
拳を握り締め、少し緊張した様子ながら笑みを浮かべていた。でも、その前に、
「その前に、斬竜をお風呂に入れてあげたいんだけど、いいかな? エレクシア様の前に出るんだから、やっぱり綺麗にしてあげたいし」
と口にする。それに対してアンデルセンは、
「ああ、是非そうしてあげてくれ。斬竜の晴れ姿でもあるからな」
淡々と返した。そして錬義は、斬竜に対して、
「ラーメン食べようか。それと、水浴びしよう」
そう告げる。
<ラーメン>という言葉についてはあの<美味いもの>のことであるとは斬竜も理解していて、
「!!」
嬉しそうな表情になる。それから最初のコテージに戻って、カップラーメンを三個、用意した。それにカセットコンロで沸かした湯を注ぎ、
「ちょっと待っててね。すぐにできるから」
「? ……?」
<痛い水>を入れただけでまた見えなくした錬義に困ったような表情を見せた斬竜を、彼は優しく見つめ、スッと腰を浮かせて彼女に顔を寄せ、唇を重ねてみせた。
「!?」
錬義のその突然の振る舞いに斬竜も驚いた様子だったものの、決して嫌がってはいなかった。なぜそんなことをしたのか意図が掴めず、戸惑っていただけである。
けれど、自分を見つめてくる彼に、今度は斬竜の方から唇を寄せて重ね、さらに舌で彼の唇を舐め始めた。どうやらそういう形の<挨拶>だと思ったらしい。しかも彼女はそれを気に入ったようだ。
だから錬義の方も負けじと舌を出し、彼女の舌を迎え入れた。そして互いの舌を舐め合い、絡ませ、味わう。
が、不意に錬義の方がスッと体を下げて、距離を取る。そんな彼に斬竜は少し不満そうな表情をしてみせた。けれども、
「ラーメン、できたからね」
そう言ってカップラーメンの蓋を開け、水を灌ぐ。
瞬間、
「!!」
斬竜も嬉しそうに笑顔になったのだった。
「錬義。エレクシアが目覚めた。彼女直々に<強攻試験>を行うそうだ。さすがに竜女帝の血族ともなれば、早々に評価を下さないといけないという判断だ」
アンデルセンのその言葉に、錬義の表情が一瞬険しくなるものの、
「分かった。エレクシア様の意向なら仕方ない。僕も協力します。もちろん、斬竜の味方としてね」
そう応えた。そんな彼に、
「錬義……」
ミネルバの声はどこか心配げにも聞こえる。けれど、彼は、
「ああ、これは僕が斬竜を錬是に連れてくるのを決めた時から覚悟してたことだ。それに、エレクシア様と手合わせできるとか、こんな機会はもうないかもしれないしね」
拳を握り締め、少し緊張した様子ながら笑みを浮かべていた。でも、その前に、
「その前に、斬竜をお風呂に入れてあげたいんだけど、いいかな? エレクシア様の前に出るんだから、やっぱり綺麗にしてあげたいし」
と口にする。それに対してアンデルセンは、
「ああ、是非そうしてあげてくれ。斬竜の晴れ姿でもあるからな」
淡々と返した。そして錬義は、斬竜に対して、
「ラーメン食べようか。それと、水浴びしよう」
そう告げる。
<ラーメン>という言葉についてはあの<美味いもの>のことであるとは斬竜も理解していて、
「!!」
嬉しそうな表情になる。それから最初のコテージに戻って、カップラーメンを三個、用意した。それにカセットコンロで沸かした湯を注ぎ、
「ちょっと待っててね。すぐにできるから」
「? ……?」
<痛い水>を入れただけでまた見えなくした錬義に困ったような表情を見せた斬竜を、彼は優しく見つめ、スッと腰を浮かせて彼女に顔を寄せ、唇を重ねてみせた。
「!?」
錬義のその突然の振る舞いに斬竜も驚いた様子だったものの、決して嫌がってはいなかった。なぜそんなことをしたのか意図が掴めず、戸惑っていただけである。
けれど、自分を見つめてくる彼に、今度は斬竜の方から唇を寄せて重ね、さらに舌で彼の唇を舐め始めた。どうやらそういう形の<挨拶>だと思ったらしい。しかも彼女はそれを気に入ったようだ。
だから錬義の方も負けじと舌を出し、彼女の舌を迎え入れた。そして互いの舌を舐め合い、絡ませ、味わう。
が、不意に錬義の方がスッと体を下げて、距離を取る。そんな彼に斬竜は少し不満そうな表情をしてみせた。けれども、
「ラーメン、できたからね」
そう言ってカップラーメンの蓋を開け、水を灌ぐ。
瞬間、
「!!」
斬竜も嬉しそうに笑顔になったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる