145 / 535
謁見の間でのやり取りはあくまでただの<儀礼>で、本当に話したいことがある時は
しおりを挟む
タレスリレウト、もといペテルソンエスに先導されて、私達は王宮へと向かった。
そこで待ち構えていたのは、私が想像してたのとはまったく違う、ひどく線の細い、一瞬、女性かと思うような美麗な青年だった。
ただ、その表情も含めて、私は何か得体のしれない違和感を覚えてしまった。まるで作りものみたいな……?
「此度の我らの要請に応じてのご足労、大儀であった」
発せられたその声に聞き覚えがあって、ハッとなってしまう。
『タレスリレウトの声…?』
それに気付いた途端、陛下の顔つきが彼に似ていることに気付いてしまった。
『どういうこと…? 兄弟か何かってこと?』
疑問を覚えながらもそれは口にしない。こういうところでは余計なことは言わないのが鉄則というのを学んできたからだ。謁見の間でのやり取りはあくまでただの<儀礼>で、本当に話したいことがある時はまた別にその為の席が設けられるんだ。
だから今はとにかく儀礼的なやり取りに終始する。
「陛下にお目に掛かれて恐悦至極に存じます」
と、私達を亡き者にしようとした国の領主だということはさて置いて、<礼>は尽くす。
そんな私を、クレフリータは満足そうな目で見ていた。この手の場所での対応も板についてきたのが分かったからなんだろうな。敢えて彼女が発言しないのが何よりの証拠だったと思う。私に任せておけば大丈夫だって思ってくれたんだろう。
で、案の定、謁見の後で案内された貴賓室らしい部屋で、平服に着替えたアルバミスト・ルェン・フォーサリス・メトラカリオス陛下と面会することになった。
「ああ、構いません。気楽になさっててください」
陛下が部屋に入ってきたことで立ち上がって迎えようとした私達を、彼は困ったような笑みを浮かべながら制した。
「では、お言葉に甘えて」
私もそれを受けて席に座りなおす。もちろん、クレフリータとルイスベントもだ。バンクレンチ達は別室で控えてる。万が一の時にはいつでも動けるように気は引き締めて。
私達をもてなすために用意された食事を勧めながら、彼はまず深々と頭を下げた。
「まずは、先代による非礼をお詫びしなければなりません」
って。
それに対し、クレフリータが口を開く。
「私達を暗殺しようとした件についてですかな?」
やや失礼かなという物言いにも拘らず、陛下は申し訳なさそうに笑いながら言った。
「はい。おっしゃる通りです。先代は、非情に短絡的な人物でしたので」
「…仮にも先の元首に対してそれはいささか手厳しいですな」
今度はクレフリータが苦笑いをする番だった。当然か。どんなに外からの評判が悪い人物だったとしても、自分の国の王族を、他人の前で貶めるような発言はしないのが普通だったからね。
そこで待ち構えていたのは、私が想像してたのとはまったく違う、ひどく線の細い、一瞬、女性かと思うような美麗な青年だった。
ただ、その表情も含めて、私は何か得体のしれない違和感を覚えてしまった。まるで作りものみたいな……?
「此度の我らの要請に応じてのご足労、大儀であった」
発せられたその声に聞き覚えがあって、ハッとなってしまう。
『タレスリレウトの声…?』
それに気付いた途端、陛下の顔つきが彼に似ていることに気付いてしまった。
『どういうこと…? 兄弟か何かってこと?』
疑問を覚えながらもそれは口にしない。こういうところでは余計なことは言わないのが鉄則というのを学んできたからだ。謁見の間でのやり取りはあくまでただの<儀礼>で、本当に話したいことがある時はまた別にその為の席が設けられるんだ。
だから今はとにかく儀礼的なやり取りに終始する。
「陛下にお目に掛かれて恐悦至極に存じます」
と、私達を亡き者にしようとした国の領主だということはさて置いて、<礼>は尽くす。
そんな私を、クレフリータは満足そうな目で見ていた。この手の場所での対応も板についてきたのが分かったからなんだろうな。敢えて彼女が発言しないのが何よりの証拠だったと思う。私に任せておけば大丈夫だって思ってくれたんだろう。
で、案の定、謁見の後で案内された貴賓室らしい部屋で、平服に着替えたアルバミスト・ルェン・フォーサリス・メトラカリオス陛下と面会することになった。
「ああ、構いません。気楽になさっててください」
陛下が部屋に入ってきたことで立ち上がって迎えようとした私達を、彼は困ったような笑みを浮かべながら制した。
「では、お言葉に甘えて」
私もそれを受けて席に座りなおす。もちろん、クレフリータとルイスベントもだ。バンクレンチ達は別室で控えてる。万が一の時にはいつでも動けるように気は引き締めて。
私達をもてなすために用意された食事を勧めながら、彼はまず深々と頭を下げた。
「まずは、先代による非礼をお詫びしなければなりません」
って。
それに対し、クレフリータが口を開く。
「私達を暗殺しようとした件についてですかな?」
やや失礼かなという物言いにも拘らず、陛下は申し訳なさそうに笑いながら言った。
「はい。おっしゃる通りです。先代は、非情に短絡的な人物でしたので」
「…仮にも先の元首に対してそれはいささか手厳しいですな」
今度はクレフリータが苦笑いをする番だった。当然か。どんなに外からの評判が悪い人物だったとしても、自分の国の王族を、他人の前で貶めるような発言はしないのが普通だったからね。
0
あなたにおすすめの小説
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる