何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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人間には、建前とか美辞麗句の為に本気になれる者はそんなに多くない

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「なるほどそれで、我々の噂を耳にして、利用なさろうとされたわけですな」

クレフリータが遠慮なく核心を突く。しかし青年陛下も、

「その通りです。私も手に入れた情報を精査してみましたが、あなた方の持つ知識や技術は、大変に利用価値が高いものだと思いました。それを亡き者にしようなど、短絡的な老害には本当にものの価値というものが理解できないようです」

困ったように微笑みながら、彼はゆるゆると頭を振った。

『ああ、やっぱり、この人も自分が正しいと思うことの為なら平然と人を殺せるタイプだ』

改めてそう実感する。

だけど、こういう、戦争が当たり前の世界では特に、国のトップに立つ人物にはそういう部分も求められるんだろうというのは私にだって分かる。だからこの青年陛下を責めるつもりもない。私に価値を見出してくれてるというのなら、こっちもそれを利用させてもらうだけだ。

この手の人は、必要とあれば戦争だって容赦なく起こすだろうけど、逆を言えば、戦争を起こす意味がないと判断してくれれば、戦争で得られるものよりも、それを回避することで得られるものの方が大きいと判断すれば、回避してくれるっていうのも確かだと思う。しがらみとか、国家のメンツとか、そういうもの以上の<国益>になるものを提示すれば、ね。

でも……

「ただ、我がムッフクボルド共和国内にも、まだ、旧態依然とした短絡的な価値観がはびこっていることも事実なのです。現に、一部の者達は既に戦争の準備を始めた。

だが、私は、戦争によって民や領土を疲弊させることが国の為になるとは思えない。彼らは、民の不満が自分達に向くのを恐れて、外に<敵>を作り、戦争によって憂さを晴らさせようとしているだけなのです。

幸い、私の領地ではそういう者達を抑えることもできた。しかし、民が飢えてしまえばやはり不満が高まり、それを外へと向けなくてはならなくなる。そこであなたの力が必要なのです。ノーラカリン侯」

とのことだった。

けど、それこそこっちとしても望むところ。

「事情は分かりました。私どもとしても、それが商売に繋がるのであれば拒む理由はありません。では早速、今からでも間に合う手を打ちましょう。飢えは人の心を荒ませます。私の郷里に『衣食足りて礼節を知る』という言葉もあります。

陛下が、民の腹を満たし、善政をもってこの国を治めた誉れ高き国主として後々も讃えられるように、私どもも全力を尽くしましょう」

と、あくまで『陛下の名誉の為に』というていで話を進めることにした。これは、今までもそうしてきたものだ。

人間には、建前とか美辞麗句の為に本気になれる者はそんなに多くない。『そうすることが結局は自分の為』っていう実感がないと結局は頑張れないっていうのも事実だと、私はこれまで学んできたんだ。

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